第二十二話 兄と従者と姫
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「うっわあ……」
原田さんの運転する車から降りて、そのお屋敷を見上げる
なんというか……いつ見ても思うけど……
「ヤクザが仕事してそうな日本家屋の大豪邸……」
「この近辺でも有名ですよ
小十郎様がいらっしゃるからでしょうか」
「ヤクザ顔ですもんねえ……」
ていうか極殺になったら完全にヤクザだもんね……
私は小十郎さんと一緒に出陣することは本当に少なかったから、極殺状態の小十郎さんを見ることは無かったけれど
「では、どうぞ
政宗様もお待ちですよ」
「あれ、原田さん……」
「はい?」
「兄様のこと、殿呼びじゃないんですね……」
「ええ、まぁ……時代が時代ですからね」
そっか……と、どことなく寂しい気持ちになる
なんだか、やっぱり変わってしまうのは避けられないんだな
原田さんの髪の毛も短くなっちゃってるしなしぁ……
ちょっと残念、という気持ちに蓋をして、原田さんの後に続いて敷地の中を歩いていく
駐車場からご自宅のある塀の中へは、本邸をぐるりと回って洋式の門を通るんだとか
言われた通りに本邸を塀の外から見上げながらぐるりと半周して、いざ敷地の中に入ると、聞いていた通りの洋風のお家と小さな門が見えてきた
「あれ?
本邸じゃなくていいんですか?」
「ええ……そうですね
元々、本邸に行くことも少ないので」
確執か、と合点がいく
やっぱり、和解は無理だったのかもしれない
私が死んだ後の話は聞いていないから、その後の兄様とお東様の関係も分からず仕舞いだ
「ただいま戻りました」
「あ、えっと、お邪魔します……」
ドアを開けた先の玄関には誰もいないけれど、とりあえず原田さんに倣ってそう言ってみた
……しばらくして、ドタバタと走ってくる足音が聞こえてきて
「……いたのか……」
「原田さん?」
隣で原田さんが本気のため息を漏らした
居てほしくない人でもいたんだろうか……?
あの優しい原田さんに限って、そんな人がいるのかなぁ……?
悶々と考えてしまった瞬間、バターン!と奥に繋がるドアが開く
開くというか、足で蹴られていた気がする
「姫様ぁー!!」
一瞬でため息の理由を理解した
そうだね、そうですよね、なんたって原田さんの直属の部下だったんだもん
原田さんが手を焼いていたのは私も知っている
「……留守さん」
「うす!
留守です!
お久しぶりっす!」
「政景……!
ドアを足で蹴って開けるなと、あれ程……!!」
「失念してました!
大丈夫っすよ、あれくらいじゃ壊れないんで」
「そういう問題ではない、政景」
留守さんの背後からそんな声が聞こえたかと思うと、その留守さんが突然スリッパで頭を叩かれた
……スリッパで?
「白石!
スリッパってのは人を叩くもんじゃねぇだろ!」
「お前がうるさいから叩いただけだ、姫も驚いていらっしゃるだろう」
「つーか、誰のスリッパだよそれ」
「さっき脱げたお前のスリッパだが」
「ひっで……」
留守さんが黙って白石さんからスリッパを受け取って、そのまま履く
「お帰りなさいませ、原田さん
それから……お久しぶりです、姫
お元気そうで何より」
「あはは……お久しぶりですね、白石さん」
相変わらずの無表情だ……
それでも、私との再会を快く思ってくださっているのは、なんとなく伝わってきてほっとした
というか、みんな変わらないよなぁ
「ったく……うるせぇぞ、留守」
「あ、筆頭!」
留守さんが二階を振り返る
階段の上の手すりから、兄様が私たちを見下ろしていた
「……兄様」
思わず声を掛けてしまって青ざめる
そう、そうだ……兄様は、記憶があるか分からない……
これだけ記憶がある人達との再会が続いて、思わず兄様もあるんだと思ってしまったけど
「……お前にそう呼ばれる日が、本当に来るとはな」
「──え」
「おい、なんで驚いてる?
お前のことを覚えてなけりゃ、俺がお前をここに呼ぶわけねぇだろうが」
「……にい、さま?」
瞬間──すべてが繋がった
兄様はきっと、最初から分かっていた、覚えていたんだ
だからあの日、私に対して寂しそうな顔をした
だから私のために弁護士さんを送ってくれて……
きっと留守さんと白石さんを呼んだのだって、私を呼んだから──
原田さんの運転する車から降りて、そのお屋敷を見上げる
なんというか……いつ見ても思うけど……
「ヤクザが仕事してそうな日本家屋の大豪邸……」
「この近辺でも有名ですよ
小十郎様がいらっしゃるからでしょうか」
「ヤクザ顔ですもんねえ……」
ていうか極殺になったら完全にヤクザだもんね……
私は小十郎さんと一緒に出陣することは本当に少なかったから、極殺状態の小十郎さんを見ることは無かったけれど
「では、どうぞ
政宗様もお待ちですよ」
「あれ、原田さん……」
「はい?」
「兄様のこと、殿呼びじゃないんですね……」
「ええ、まぁ……時代が時代ですからね」
そっか……と、どことなく寂しい気持ちになる
なんだか、やっぱり変わってしまうのは避けられないんだな
原田さんの髪の毛も短くなっちゃってるしなしぁ……
ちょっと残念、という気持ちに蓋をして、原田さんの後に続いて敷地の中を歩いていく
駐車場からご自宅のある塀の中へは、本邸をぐるりと回って洋式の門を通るんだとか
言われた通りに本邸を塀の外から見上げながらぐるりと半周して、いざ敷地の中に入ると、聞いていた通りの洋風のお家と小さな門が見えてきた
「あれ?
本邸じゃなくていいんですか?」
「ええ……そうですね
元々、本邸に行くことも少ないので」
確執か、と合点がいく
やっぱり、和解は無理だったのかもしれない
私が死んだ後の話は聞いていないから、その後の兄様とお東様の関係も分からず仕舞いだ
「ただいま戻りました」
「あ、えっと、お邪魔します……」
ドアを開けた先の玄関には誰もいないけれど、とりあえず原田さんに倣ってそう言ってみた
……しばらくして、ドタバタと走ってくる足音が聞こえてきて
「……いたのか……」
「原田さん?」
隣で原田さんが本気のため息を漏らした
居てほしくない人でもいたんだろうか……?
あの優しい原田さんに限って、そんな人がいるのかなぁ……?
悶々と考えてしまった瞬間、バターン!と奥に繋がるドアが開く
開くというか、足で蹴られていた気がする
「姫様ぁー!!」
一瞬でため息の理由を理解した
そうだね、そうですよね、なんたって原田さんの直属の部下だったんだもん
原田さんが手を焼いていたのは私も知っている
「……留守さん」
「うす!
留守です!
お久しぶりっす!」
「政景……!
ドアを足で蹴って開けるなと、あれ程……!!」
「失念してました!
大丈夫っすよ、あれくらいじゃ壊れないんで」
「そういう問題ではない、政景」
留守さんの背後からそんな声が聞こえたかと思うと、その留守さんが突然スリッパで頭を叩かれた
……スリッパで?
「白石!
スリッパってのは人を叩くもんじゃねぇだろ!」
「お前がうるさいから叩いただけだ、姫も驚いていらっしゃるだろう」
「つーか、誰のスリッパだよそれ」
「さっき脱げたお前のスリッパだが」
「ひっで……」
留守さんが黙って白石さんからスリッパを受け取って、そのまま履く
「お帰りなさいませ、原田さん
それから……お久しぶりです、姫
お元気そうで何より」
「あはは……お久しぶりですね、白石さん」
相変わらずの無表情だ……
それでも、私との再会を快く思ってくださっているのは、なんとなく伝わってきてほっとした
というか、みんな変わらないよなぁ
「ったく……うるせぇぞ、留守」
「あ、筆頭!」
留守さんが二階を振り返る
階段の上の手すりから、兄様が私たちを見下ろしていた
「……兄様」
思わず声を掛けてしまって青ざめる
そう、そうだ……兄様は、記憶があるか分からない……
これだけ記憶がある人達との再会が続いて、思わず兄様もあるんだと思ってしまったけど
「……お前にそう呼ばれる日が、本当に来るとはな」
「──え」
「おい、なんで驚いてる?
お前のことを覚えてなけりゃ、俺がお前をここに呼ぶわけねぇだろうが」
「……にい、さま?」
瞬間──すべてが繋がった
兄様はきっと、最初から分かっていた、覚えていたんだ
だからあの日、私に対して寂しそうな顔をした
だから私のために弁護士さんを送ってくれて……
きっと留守さんと白石さんを呼んだのだって、私を呼んだから──
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