第十二話 願いと祈りと
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「君やご両親の命を奪うことなんて、造作もないことだ」
竹中半兵衛の声が響く
どこにいるかも分からない声が反響して
ねっとりと、締め付けるような空気が私にまとわりつく
「なに、なんなの」
「君やご両親の命を奪うことなんて、造作もないことだ」
「やめて……」
目の前が暗くなって、瞬間どこからか悲鳴が響く
「お願いします、夕華だけは!」
「あの子の命だけは、どうか!」
「命乞いは無駄だよ
そうしたのは──君たちの娘だ」
私が、そうした……?
どうして、私がそんなことするはず……
「お父さん、お母さん、どこ!?」
怖くなって……何もかもが恐ろしくて、足が勝手に走り出す
「ごらん、夕華君
君が抗ったばかりに、君の大切なご両親は死んでしまった」
真っ暗なはずなのに、やけにそれだけは鮮明だった
水たまりのように溢れている──血の池が
その中心で倒れている二つの人影が
「や……やだ、こんな……こんなの……!」
「君が抗ったせいだよ?
自業自得だろう」
「やだ、やだ……!
お父さん!お母さん!!」
「まったく……使えないね
立場というものを理解したまえ
──まぁ、死に往く者に、理解なんて必要ないかな?」
直後、身体を穿つ何か
目の前を赤が飛び散って、身体が言うことを聞かなくなる
「可哀想に
君は成実君のみならず、自分の命まで取りこぼしてしまったんだね」
コツリ、コツリ
足音が遠ざかる
「お……と、さ……かあ、さ……」
ああ、どうして……どうしてこうなってしまうんだろう
失えない、失いたくない……今度こそはって思っていたのに
どうして……私は、どうして──
* * *
「──っ、いやぁ……っ!!」
跳ね起きて肩で息をする
ここは──
「私の、部屋……
夢……夢か……」
冷静になった頭が、ズキズキと痛みを訴える
部屋の中はまだ暗い
スマホをつけると、時刻は深夜の二時だった
ベッドに入ったのは日付が変わってすぐだから、まだ二時間しか眠れていないことになる
倒れ込んで、身体を丸める
……怖い
どうしようもない恐怖が、すぐそこで手招きをしている
こんなに死ぬことが怖かったことなんて、今までなかった
それは、誰かが必ず助けてくれたから
でも、今は……助けてくれる人は、誰もいない
「……っ、う、うぅ……
こわい……っ!
怖いよぉ……!!」
大丈夫だ、心配するな──そんな声を掛けてくれる人は、誰もいない
俺が守ってやる、そう言ってくれる力強い声も……今の私には、ない
* * *
──賭けが始まって二日
「……っ」
今日も一睡もできなかった
寝ようとしても、あの時の竹中さんの言葉が頭の中を駆け回るだけ
目を閉じても、脳内で反響する脅迫の文言
陽の光が恨めしい
何も進展がないまま、刻一刻と約束の日が近付いてくる
朝ごはんを食べる気力すら起きなくて、今日も朝食を抜きで学校に向かうことにした
こんな生活が続けば、賭けがどうこうの前に私が死んでしまいそうだ
「……それでも、いいかな」
どちらにしろ、待っているものに希望はない
だったら、もう……いいか、死んでしまっても
立ち止まると、度々おこる立ちくらみ
思わずくらりとした時──
「危なっ……!」
誰かに背中を抱きとめられた
「大丈夫!?」
「あ……海夜……」
受け止めてくれたのは海夜だった
「どうしたのよ、最近……」
「ごめん……ちょっと色々あって……」
「ちょっとじゃないでしょ、馬鹿
あなたは元から一人でため込むタイプなんだから、周りに相談しなさいよ」
「うん……ごめんね」
「……だから、謝るくらいなら相談しなさいってば」
その言葉に首を振る
相談できるような話ではない
こんな話……海夜に言えるはず、ない
「ごめん、それはできない……」
「私じゃ頼りないの……?」
消え入りそうな海夜の声
慌てて首を振ると、視界が揺れて海夜にしがみ付くしかなかった
「そうじゃなくて……!
その、あんまり簡単に人に話せることじゃないから……
でもその気持ちだけでも十分嬉しいよ
ありがとう、海夜」
海夜が少しだけ笑みを見せてくれて、そっと肩を支えてくれた
向かう先は高校だ
「いつから寝てないの?」
「一昨日の土曜の夜
昨日も結局寝れなかった」
「本当に、大丈夫なの?」
「大丈夫
体力だけは自信あるから」
「さっきフラフラしてた人が言ったって、説得力の欠片もないわよ」
「……だよねぇ」
海夜は心から心配してくれていて
だからこそ心配をかけたくないと思ってしまう
人に迷惑をかけたくないから、結局吐き出せないまま心の奥
悪循環だと分かってはいる
分かってるけど……
抜け出す術は、私にはない
竹中半兵衛の声が響く
どこにいるかも分からない声が反響して
ねっとりと、締め付けるような空気が私にまとわりつく
「なに、なんなの」
「君やご両親の命を奪うことなんて、造作もないことだ」
「やめて……」
目の前が暗くなって、瞬間どこからか悲鳴が響く
「お願いします、夕華だけは!」
「あの子の命だけは、どうか!」
「命乞いは無駄だよ
そうしたのは──君たちの娘だ」
私が、そうした……?
どうして、私がそんなことするはず……
「お父さん、お母さん、どこ!?」
怖くなって……何もかもが恐ろしくて、足が勝手に走り出す
「ごらん、夕華君
君が抗ったばかりに、君の大切なご両親は死んでしまった」
真っ暗なはずなのに、やけにそれだけは鮮明だった
水たまりのように溢れている──血の池が
その中心で倒れている二つの人影が
「や……やだ、こんな……こんなの……!」
「君が抗ったせいだよ?
自業自得だろう」
「やだ、やだ……!
お父さん!お母さん!!」
「まったく……使えないね
立場というものを理解したまえ
──まぁ、死に往く者に、理解なんて必要ないかな?」
直後、身体を穿つ何か
目の前を赤が飛び散って、身体が言うことを聞かなくなる
「可哀想に
君は成実君のみならず、自分の命まで取りこぼしてしまったんだね」
コツリ、コツリ
足音が遠ざかる
「お……と、さ……かあ、さ……」
ああ、どうして……どうしてこうなってしまうんだろう
失えない、失いたくない……今度こそはって思っていたのに
どうして……私は、どうして──
* * *
「──っ、いやぁ……っ!!」
跳ね起きて肩で息をする
ここは──
「私の、部屋……
夢……夢か……」
冷静になった頭が、ズキズキと痛みを訴える
部屋の中はまだ暗い
スマホをつけると、時刻は深夜の二時だった
ベッドに入ったのは日付が変わってすぐだから、まだ二時間しか眠れていないことになる
倒れ込んで、身体を丸める
……怖い
どうしようもない恐怖が、すぐそこで手招きをしている
こんなに死ぬことが怖かったことなんて、今までなかった
それは、誰かが必ず助けてくれたから
でも、今は……助けてくれる人は、誰もいない
「……っ、う、うぅ……
こわい……っ!
怖いよぉ……!!」
大丈夫だ、心配するな──そんな声を掛けてくれる人は、誰もいない
俺が守ってやる、そう言ってくれる力強い声も……今の私には、ない
* * *
──賭けが始まって二日
「……っ」
今日も一睡もできなかった
寝ようとしても、あの時の竹中さんの言葉が頭の中を駆け回るだけ
目を閉じても、脳内で反響する脅迫の文言
陽の光が恨めしい
何も進展がないまま、刻一刻と約束の日が近付いてくる
朝ごはんを食べる気力すら起きなくて、今日も朝食を抜きで学校に向かうことにした
こんな生活が続けば、賭けがどうこうの前に私が死んでしまいそうだ
「……それでも、いいかな」
どちらにしろ、待っているものに希望はない
だったら、もう……いいか、死んでしまっても
立ち止まると、度々おこる立ちくらみ
思わずくらりとした時──
「危なっ……!」
誰かに背中を抱きとめられた
「大丈夫!?」
「あ……海夜……」
受け止めてくれたのは海夜だった
「どうしたのよ、最近……」
「ごめん……ちょっと色々あって……」
「ちょっとじゃないでしょ、馬鹿
あなたは元から一人でため込むタイプなんだから、周りに相談しなさいよ」
「うん……ごめんね」
「……だから、謝るくらいなら相談しなさいってば」
その言葉に首を振る
相談できるような話ではない
こんな話……海夜に言えるはず、ない
「ごめん、それはできない……」
「私じゃ頼りないの……?」
消え入りそうな海夜の声
慌てて首を振ると、視界が揺れて海夜にしがみ付くしかなかった
「そうじゃなくて……!
その、あんまり簡単に人に話せることじゃないから……
でもその気持ちだけでも十分嬉しいよ
ありがとう、海夜」
海夜が少しだけ笑みを見せてくれて、そっと肩を支えてくれた
向かう先は高校だ
「いつから寝てないの?」
「一昨日の土曜の夜
昨日も結局寝れなかった」
「本当に、大丈夫なの?」
「大丈夫
体力だけは自信あるから」
「さっきフラフラしてた人が言ったって、説得力の欠片もないわよ」
「……だよねぇ」
海夜は心から心配してくれていて
だからこそ心配をかけたくないと思ってしまう
人に迷惑をかけたくないから、結局吐き出せないまま心の奥
悪循環だと分かってはいる
分かってるけど……
抜け出す術は、私にはない
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