第十一話 予期せぬ窮地
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翌週の土曜
教えたはずのない家の前に現れた迎えの車に乗って、一度別の店で、お見合いに相応しい装いに着替えさせられ
それから連れて来られたのは、いかにも高級そうなレストラン
うーん……明らかに高校生の小娘が入ってはいけないような……
とても場違い感がするし、許されるならもう帰ってしまっていいだろうか
体調が悪くなりました、とか適当に理由をつけて
「伊達夕華さんですか?」
どうすればいいのか、ついでにどうやって理由をつけて帰ろうかと迷っていたとき
背後から柔らかい声が聞こえてきた
「あ……
はい、そうです」
声のする方向を振り向いて
……驚いた
白く柔らかな髪、そして紫色のフレームの眼鏡
儚げな美人──そう評したいくらいあるけれど、それは外見だけだ
この人の中身は、全く儚くも何ともない
「あなたは……!」
「やはり、記憶があるようだね……
竜姫・伊達夕華君」
「……豊臣軍軍師……
竹中半兵衛……!」
違うと思っていたのに……
本当に竹中半兵衛だったなんて
最悪だ、これじゃあ体調不良って嘘も秒でバレてしまうではないか
……いや、さすがにそれは冗談だけど
「こうして相見えるのは初めてだね
君の武勇は聞いていたよ、夕華君」
「……私の武勇がどのようなものかは存じ上げませんが、光栄です、とだけお答えしておきます」
「ふふ、謙遜だね、立てた手柄は君がよく分かっているだろうに」
「………」
「……まだ君は、成実君のことを待っているのかい?」
出方を窺っていた矢先のそれに、思わず動揺を出してしまった
誰にも言っていない……少なくとも、豊臣側には知り合いすらいないんだから、知っているはずがないのに、どうして
「なんで、それを……」
「先週のカフェ……二人で逢瀬を楽しんでいたそうだね?
偶然、僕の部下が同じ店にいたらしくてね
君には記憶がありそうだが、伊達成実には記憶はない、との報告が上がってきたよ」
竹中半兵衛を睨み付ける
だったらなぜこんな席を設けたんだろう
私が成実さん以外の人に流れることなんかないのに
一体、誰との見合いをさせようとしているのか
「そう怒らないでくれ
ただ、僕はこう言いたいだけだ
今は今、過去は過去だ……とね」
「……どういうことですか」
「聡い君なら分かっているだろうが──伊達成実に、恋人がいる可能性は捨てきれない
というか、その可能性が高いだろう
なにせ彼は伊達一門の第二席、本家の次に力を持った家の長男だ」
……やはりか、と大した驚きはなかった
生まれも、立場も、前世から変わっていない
私だけが変わった……元通りになった、ということなのかもしれない
「……つまり?」
「つまり、君が伊達成実を待つ道理はない
この見合いは決まったも同然なんだよ
君が快諾したときからね
君にはこの見合いを断る理由がない
そうだろう?」
思わず一歩後ろに下がってしまった
だってそうだ、私は末席の娘
成実さんと結ばれるなんて……一門の常識からして、有り得ない
だから、断る理由も、建前も、私には初めから存在しない
「そして海夜にも悪いけど……
夕華君、君には三成君に嫁いでもらうよ」
「なっ……!?」
「安心したまえ、彼に記憶はない
きっと君を悪いようにはしないよ
彼はあれで優しい男だからね」
「そんな問題じゃ……っ!」
逃げ出したい
受けなきゃよかった、こんな話
嫌だ、石田三成となんて
海夜を裏切ることにもなる
あんなに……ずっと、待ってる海夜を……私が裏切るなんて、そんなこと
「……私、帰ります」
「悪いけれど、それはできないよ
今日は会うだけでいい
けれど、近いうちに返事を聞かせてもらうよ」
「……っ」
会うだけだ
後で断ればいい
言い聞かせて、お店に入る
私には成実さんだけだと
そう言ってしまえばいい
いや、そもそも私なんかとくっついたって、何のメリットもないんだし
私の家が豊臣に近しい人間とかならいざ知らず、我が家はどっぷりと、そりゃ末席だけど、伊達の人間だ
そして、伊達と豊臣はいわばライバル企業──
良好な関係を築くにしたって、私じゃ本家との繋がりは薄すぎる、というかほとんど無いに等しい
……あれ、じゃあ何で私なんだろう?
そこまで考えたところで、テーブルに座る石田三成が見えてしまって、一気に胃が痛くなった
教えたはずのない家の前に現れた迎えの車に乗って、一度別の店で、お見合いに相応しい装いに着替えさせられ
それから連れて来られたのは、いかにも高級そうなレストラン
うーん……明らかに高校生の小娘が入ってはいけないような……
とても場違い感がするし、許されるならもう帰ってしまっていいだろうか
体調が悪くなりました、とか適当に理由をつけて
「伊達夕華さんですか?」
どうすればいいのか、ついでにどうやって理由をつけて帰ろうかと迷っていたとき
背後から柔らかい声が聞こえてきた
「あ……
はい、そうです」
声のする方向を振り向いて
……驚いた
白く柔らかな髪、そして紫色のフレームの眼鏡
儚げな美人──そう評したいくらいあるけれど、それは外見だけだ
この人の中身は、全く儚くも何ともない
「あなたは……!」
「やはり、記憶があるようだね……
竜姫・伊達夕華君」
「……豊臣軍軍師……
竹中半兵衛……!」
違うと思っていたのに……
本当に竹中半兵衛だったなんて
最悪だ、これじゃあ体調不良って嘘も秒でバレてしまうではないか
……いや、さすがにそれは冗談だけど
「こうして相見えるのは初めてだね
君の武勇は聞いていたよ、夕華君」
「……私の武勇がどのようなものかは存じ上げませんが、光栄です、とだけお答えしておきます」
「ふふ、謙遜だね、立てた手柄は君がよく分かっているだろうに」
「………」
「……まだ君は、成実君のことを待っているのかい?」
出方を窺っていた矢先のそれに、思わず動揺を出してしまった
誰にも言っていない……少なくとも、豊臣側には知り合いすらいないんだから、知っているはずがないのに、どうして
「なんで、それを……」
「先週のカフェ……二人で逢瀬を楽しんでいたそうだね?
偶然、僕の部下が同じ店にいたらしくてね
君には記憶がありそうだが、伊達成実には記憶はない、との報告が上がってきたよ」
竹中半兵衛を睨み付ける
だったらなぜこんな席を設けたんだろう
私が成実さん以外の人に流れることなんかないのに
一体、誰との見合いをさせようとしているのか
「そう怒らないでくれ
ただ、僕はこう言いたいだけだ
今は今、過去は過去だ……とね」
「……どういうことですか」
「聡い君なら分かっているだろうが──伊達成実に、恋人がいる可能性は捨てきれない
というか、その可能性が高いだろう
なにせ彼は伊達一門の第二席、本家の次に力を持った家の長男だ」
……やはりか、と大した驚きはなかった
生まれも、立場も、前世から変わっていない
私だけが変わった……元通りになった、ということなのかもしれない
「……つまり?」
「つまり、君が伊達成実を待つ道理はない
この見合いは決まったも同然なんだよ
君が快諾したときからね
君にはこの見合いを断る理由がない
そうだろう?」
思わず一歩後ろに下がってしまった
だってそうだ、私は末席の娘
成実さんと結ばれるなんて……一門の常識からして、有り得ない
だから、断る理由も、建前も、私には初めから存在しない
「そして海夜にも悪いけど……
夕華君、君には三成君に嫁いでもらうよ」
「なっ……!?」
「安心したまえ、彼に記憶はない
きっと君を悪いようにはしないよ
彼はあれで優しい男だからね」
「そんな問題じゃ……っ!」
逃げ出したい
受けなきゃよかった、こんな話
嫌だ、石田三成となんて
海夜を裏切ることにもなる
あんなに……ずっと、待ってる海夜を……私が裏切るなんて、そんなこと
「……私、帰ります」
「悪いけれど、それはできないよ
今日は会うだけでいい
けれど、近いうちに返事を聞かせてもらうよ」
「……っ」
会うだけだ
後で断ればいい
言い聞かせて、お店に入る
私には成実さんだけだと
そう言ってしまえばいい
いや、そもそも私なんかとくっついたって、何のメリットもないんだし
私の家が豊臣に近しい人間とかならいざ知らず、我が家はどっぷりと、そりゃ末席だけど、伊達の人間だ
そして、伊達と豊臣はいわばライバル企業──
良好な関係を築くにしたって、私じゃ本家との繋がりは薄すぎる、というかほとんど無いに等しい
……あれ、じゃあ何で私なんだろう?
そこまで考えたところで、テーブルに座る石田三成が見えてしまって、一気に胃が痛くなった
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