弱虫な僕ら
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わたしにも、同じことして
嫌にしんとした教室の中に響いたこの言葉に、ブン太は少なからず驚いたらしい。時間が止まったのかと思うほどに動きの止まったブン太の口が、わずかに開いた。は?と言ったブン太は、それを言うことすら精一杯だったみたいだけど、わたしは彼に構わずに続けた。
「わたしのこともセフレにしてって言ったの」
「…何でお前を?わけわかんねえし」
状況を理解して我に返ったのか、ブン太は乾いた声で笑って、頭をがしがしと掻いた。わたしにはそれが自身を落ち着かせようとしてるようにしか思えなくて、出そうになった言葉を飲み込んだ。
「わたしには同じように出来ないってことはやっぱりわたしが関係してるわけ?」
「………」
「わたしへの態度もよく考えたらおかしいよね。関係ないなら無視なんてする?」
ブン太はわたしのその言葉にまた黙り込んでしまった。だって、その通りだよ。わたしが全く関係してないなら、また違う関係を作り上げることなんて簡単なことでしょ。
「別にいいぜ。ま、お前じゃ体もたねえだろうけど」
「え…」
「俺のこと追ってきたってのが本当なら、どうせ処女だろぃ?」
完全にわたしの方に向いたブン太の身体は、徐々にわたしとの距離を埋めていった。そのブン太の目にはいつもと同じようにわたしは映っていなくて、恐怖を感じた。やっぱりやめて欲しいだなんて言葉が出そうになったけど、ここで引いちゃ駄目だ。少しでもブン太の心に近づくためなんだから。恐怖からかその場から動けずにいると、いつのまにか目の前にいたブン太に腰を引き寄せられた。
「……っ!」
何が起こったのかも考えられないほどの早さだった。ただ、目を閉じる間もなく唇が重なって、初めの内から舌が入り込んできた。処女どころなんかじゃない。誰かと付き合ったこともないんだから、キスだってまだに決まってる。独特な舌の感触と息苦しさに夢中でブン太の胸を押し返すと、私の要望とは逆に後頭部に手を回されてさっきよりもさらに深い口付けに変わってしまった。
「はっ…んんっ…」
「何、怖いの?」
「ち、が…!」
「じゃあ抵抗すんなよ」
「ちょっ…待っ…」
いつの間にかわたしの後ろには壁があって、ブン太は再びわたしに口付けながらカーディガンのボタンに手をやった。必死に目を瞑って堪えていると、塞がれたままだった口内に一気に空気が入ってきた。咄嗟に目を開けると、顔をしかめたブン太と視線がぶつかった。
「…やっぱ無理」
「え…」
「お前じゃ勃たねえわ」
じゃあな、と言いながら教室から出て行ったブン太の後ろ姿を見届けると、身体全体に無駄に入っていた力が抜けていって、床にへたり込んでしまった。
「こわか、った…」
どうせ生きてる間にいつかはすることなんだし、平気だと思ってたけど、怖かった…それと同時に嫉妬もした。こんな風に何人もの女の子と何度もしてきたんだと思うと、あらためて悲しい気持ちになった。
「うっ……」
自然と溢れてきた涙を押し込むように目元をごしごし擦っていると、学校のチャイムが耳に響いた。授業に出る気分になんかなれなくて、わたしは初めて声をあげて泣いた。
