弱虫な僕ら
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「ブン太!」
「………」
彼に無視されるのはこれで何度目だろうか。あの日からわたしは意地でもブン太と話してやろうと思って声を掛け続けているけど、彼の顔色はまったくと言っていいほど変わらない。彼の目にわたしは映らない。何度も泣きそうになったけど、諦めちゃったらここで終わりだ。本当にわたしたちは何の関係もなくなってしまう。何か理由があるはずなんだから、それを確かめないと。よし、こうなったらテニスサークルが終わるのを待って男子更衣室の前で待ち伏せしてやろう。それなら嫌でもわたしと顔を合わせなければならないんだから。
放課後、教室でテニスサークルの練習終わるのを見計らって更衣室に向かった。もうテニスコートにはだれもいなくて、少し寂しく感じた。それと引き換えに更衣室の中からは賑やかな声が聞こえた。多分その中にはブン太の声も含まれてる。こんなに近くにいるのにブン太の笑った顔も見れないなんて、結構辛いな…少し離れたところで待っていると、ガチャッとドアが開く音が聞こえて顔をあげた。先頭にいたのがブン太だったのをいいことに駆け寄ると、笑っていたブン太の表情がすぐに硬くなった。
「…ブン太」
「どけよ」
「やだ」
わたしが彼をこんな表情にさせているのかと思うと一気に悲しくなった。だけど諦めたくない。そんなに軽い気持ちでここに戻ってきたんじゃないんだもん。それを彼に、分かってもらいたい。
「ブン太が好き」
「…は?」
「わたし、それが言いたくて立海に戻ってきたの」
ブン太の目をまっすぐ見ながら伝えたその言葉は少し震えてしまった。語尾に近付くにつれて、目を逸らしそうになるのをぐっと堪える。今、彼の瞳にはわたしはどんな風に映ってるんだろう。
「笑わせんなよ」
「え…」
「違う違う。お前のそれは家族愛だって」
ははっ、と可笑しそうに笑ったブン太に、自身の涙の気配すら感じられなかった。本当にわたしの知ってるブン太なの?そう疑ってしまうほどに、最後に会った彼とは掛け離れている。なんで?どうして?男子更衣室の前で立ち尽くすわたしに、周りの人たちの視線は一気に集中した。ああ、わたしきっと今、哀れな奴なんだろうなあ。片思いして、猛アタックして、告白して、見事に玉砕。本当に、単純にそれだけだったらよかったのに。
「何突っ立ってんだよ、ジャッカル。早く帰ろうぜ」
「あ、ああ」
桑原くんは言葉を失くしたわたしに気を遣いながらも、先に歩き出したブン太の後ろを追い掛けていった。無意識に俯いた瞬間視界に広がった地面は、滲んできた涙でぼやけていた。
「はな」
「ゆ、きむら」
「頑張ったね」
「っ、うえっ…」
幸村は優しい声でそう言いながら、わたしの頭をぽんぽんと撫でてくれた。こんなにまっすぐな優しさに久しぶりに触れた気がして、涙が止まらなかった。ブン太だってすごく優しかったのに。なのに、もうその優しさを忘れてしまった。傷付けられたんじゃない、わたしが勝手に傷付いただけ。あれがブン太にとっての普通の態度なんだ。
「はな。本気なら諦めちゃ駄目だよ」
「…う、ん」
諦めたくなんかない。そんな軽い気持ちなら立海になんて戻って来なかったよ。せめて、理由が知りたい。ブン太がこうなってしまった原因が。
次の日の昼休み、わたしは廊下を走って彼を探していた。まともに話を聞いてくれないなら、彼と対等になればいい。そんな考えを抱きながらもふと通った教室のドアの窓から、見慣れた赤い髪が目に入った。ドア越しに見つけた女の子といるブン太に、今すぐにでもドアを開けて声を掛けてしまいたい衝動に駆られたけど、二人が重なっている姿を見ると自然と足がすくんだ。あれ、この感じ、前にも味わったことがある気がする。入学式の時だ。あの時は驚いててまったく気がつかなかったけど、…なんだ。あの時から見てたんだ、わたし。しばらく教室の前で座り込んでいると、ドアががらっと開く音がした。
「わ、びっくりした」
「……」
「あ、最近よく噂されてるストーカーさん?盗み見なんて趣味悪いね」
教室から出て来た綺麗な身なりの女の子は、くすくすと笑いながらどこかへ行ってしまった。彼氏でもない人とセックスする方が趣味悪いよ。そう言ってやりたかったけれど、その言葉は同時にブン太のことも否定する言葉だと思ったから言わなかった。ブン太がどこかに行ってしまう前にと、重い体を立ち上がらせて教室の中へ入っていった。そこには床に座り込んで壁に凭れながら制服を着直しているブン太がいて、思わず胸が痛んだ。
「…またお前かよぃ」
ブン太はよいしょ、と怠そうに立ち上がると、こちらに目をやることもなくわたしの隣を横切って教室から出ていこうとした。それを制するように私は彼の腕を両手で掴んだ。
「待って!」
「…何だよ」
「わたしにも…同じことしてよ」
ぴたりと立ち止まったブン太は、驚いた顔をわたしに向けた。ブン太と対等になるにはこれしかない。わたしの考えの結果はこれだった。
「………」
彼に無視されるのはこれで何度目だろうか。あの日からわたしは意地でもブン太と話してやろうと思って声を掛け続けているけど、彼の顔色はまったくと言っていいほど変わらない。彼の目にわたしは映らない。何度も泣きそうになったけど、諦めちゃったらここで終わりだ。本当にわたしたちは何の関係もなくなってしまう。何か理由があるはずなんだから、それを確かめないと。よし、こうなったらテニスサークルが終わるのを待って男子更衣室の前で待ち伏せしてやろう。それなら嫌でもわたしと顔を合わせなければならないんだから。
放課後、教室でテニスサークルの練習終わるのを見計らって更衣室に向かった。もうテニスコートにはだれもいなくて、少し寂しく感じた。それと引き換えに更衣室の中からは賑やかな声が聞こえた。多分その中にはブン太の声も含まれてる。こんなに近くにいるのにブン太の笑った顔も見れないなんて、結構辛いな…少し離れたところで待っていると、ガチャッとドアが開く音が聞こえて顔をあげた。先頭にいたのがブン太だったのをいいことに駆け寄ると、笑っていたブン太の表情がすぐに硬くなった。
「…ブン太」
「どけよ」
「やだ」
わたしが彼をこんな表情にさせているのかと思うと一気に悲しくなった。だけど諦めたくない。そんなに軽い気持ちでここに戻ってきたんじゃないんだもん。それを彼に、分かってもらいたい。
「ブン太が好き」
「…は?」
「わたし、それが言いたくて立海に戻ってきたの」
ブン太の目をまっすぐ見ながら伝えたその言葉は少し震えてしまった。語尾に近付くにつれて、目を逸らしそうになるのをぐっと堪える。今、彼の瞳にはわたしはどんな風に映ってるんだろう。
「笑わせんなよ」
「え…」
「違う違う。お前のそれは家族愛だって」
ははっ、と可笑しそうに笑ったブン太に、自身の涙の気配すら感じられなかった。本当にわたしの知ってるブン太なの?そう疑ってしまうほどに、最後に会った彼とは掛け離れている。なんで?どうして?男子更衣室の前で立ち尽くすわたしに、周りの人たちの視線は一気に集中した。ああ、わたしきっと今、哀れな奴なんだろうなあ。片思いして、猛アタックして、告白して、見事に玉砕。本当に、単純にそれだけだったらよかったのに。
「何突っ立ってんだよ、ジャッカル。早く帰ろうぜ」
「あ、ああ」
桑原くんは言葉を失くしたわたしに気を遣いながらも、先に歩き出したブン太の後ろを追い掛けていった。無意識に俯いた瞬間視界に広がった地面は、滲んできた涙でぼやけていた。
「はな」
「ゆ、きむら」
「頑張ったね」
「っ、うえっ…」
幸村は優しい声でそう言いながら、わたしの頭をぽんぽんと撫でてくれた。こんなにまっすぐな優しさに久しぶりに触れた気がして、涙が止まらなかった。ブン太だってすごく優しかったのに。なのに、もうその優しさを忘れてしまった。傷付けられたんじゃない、わたしが勝手に傷付いただけ。あれがブン太にとっての普通の態度なんだ。
「はな。本気なら諦めちゃ駄目だよ」
「…う、ん」
諦めたくなんかない。そんな軽い気持ちなら立海になんて戻って来なかったよ。せめて、理由が知りたい。ブン太がこうなってしまった原因が。
次の日の昼休み、わたしは廊下を走って彼を探していた。まともに話を聞いてくれないなら、彼と対等になればいい。そんな考えを抱きながらもふと通った教室のドアの窓から、見慣れた赤い髪が目に入った。ドア越しに見つけた女の子といるブン太に、今すぐにでもドアを開けて声を掛けてしまいたい衝動に駆られたけど、二人が重なっている姿を見ると自然と足がすくんだ。あれ、この感じ、前にも味わったことがある気がする。入学式の時だ。あの時は驚いててまったく気がつかなかったけど、…なんだ。あの時から見てたんだ、わたし。しばらく教室の前で座り込んでいると、ドアががらっと開く音がした。
「わ、びっくりした」
「……」
「あ、最近よく噂されてるストーカーさん?盗み見なんて趣味悪いね」
教室から出て来た綺麗な身なりの女の子は、くすくすと笑いながらどこかへ行ってしまった。彼氏でもない人とセックスする方が趣味悪いよ。そう言ってやりたかったけれど、その言葉は同時にブン太のことも否定する言葉だと思ったから言わなかった。ブン太がどこかに行ってしまう前にと、重い体を立ち上がらせて教室の中へ入っていった。そこには床に座り込んで壁に凭れながら制服を着直しているブン太がいて、思わず胸が痛んだ。
「…またお前かよぃ」
ブン太はよいしょ、と怠そうに立ち上がると、こちらに目をやることもなくわたしの隣を横切って教室から出ていこうとした。それを制するように私は彼の腕を両手で掴んだ。
「待って!」
「…何だよ」
「わたしにも…同じことしてよ」
ぴたりと立ち止まったブン太は、驚いた顔をわたしに向けた。ブン太と対等になるにはこれしかない。わたしの考えの結果はこれだった。
