弱虫な僕ら
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汗をかくのは好きだ。セックスも嫌いじゃねぇけど、やっぱり俺はテニスをしてる時が一番楽しい。嫌なことも何も考えなくて済む。
今日も練習を終えて着替えも済ませて。帰りにみんなでマックでも寄ってこーぜーなんて話してて。そんな俺の日常は更衣室から出た瞬間に崩れた。
はなが引っ越してから高校を卒業するまでの日常にはいなかった彼女
が、明らかに怒った顔をして立っていた。ぱちりと目が合って思わず表情が強張る。こいつの目を見ると、すぐに昔の自分に戻ってしまう気がした。それが今の俺にとっては恐怖でしかない。いつものように彼女の隣を通ってとっとと帰ろうとした時、思いもよらない言葉が聞こえて思わず足が止まった。
「ブン太が好き」
「…は?」
「わたし、それが言いたくて立海に戻ってきたの」
夢にまで見た、ずっと聞きたかったはずの言葉。それが虚しくも頭に響き渡って消えていった。その後、すぐにあの女の言葉が頭に浮かぶ。すぐに我に返って乾いた笑いが溢れた。
「笑わせんなよ」
「え…」
「違う違う。お前のそれは家族愛だって」
こいつは優しいから。きっと俺に対して罪悪感でも生まれたんだ。もう期待なんかしない。してはいけない。もうこいつだけを想っていた時の俺とは違うんだから。あれこれ言い訳をして歩を進める。
直後、はなの泣き声が聞こえてきて、眉を顰 める。不覚にも泣きそうになった。自分のことを棚に上げてはなのせいにして何事もなかったことのようにして。彼女の気持ちを蔑ろにしてしまった。怖くて逃げてるだけなんだ、俺は。
*
「仁王」
「何じゃ」
「俺、EDかも」
「は?」
あの天下のブンちゃんが?と笑いを抑えることなく、くつくつと楽しそうに肩を揺らしていた。何が面白いんだか。
あれから、セックスの流れになってもはなの顔が浮かぶようになった。初めはそのままはなの顔を思い浮かべながらしてたけど、その女は結局彼女ではないんだと思うと萎えていくことが多くなった。
「あいつら段々俺を独り占めしようとしてくるから面倒だったし、別にいんだけど。もっとテニス練習しろってことかな」
「原因は間違いなく、はなじゃろ」
「…違えし」
違う、とは言い切れなかった。仕方ねえだろ?ずっと好きだった女が急に目の前に現れて、でも状況は昔とは全然違っていて。狼狽 えない方がおかしい。
「面白いこと考えた」
「何?」
「俺がはなとセフレになっちゃろうか。ブンちゃんにも貸してやるき」
「やめろよ!」
自分でも引くほどの怒声がその場に響いた。周囲が一気にこちらに注目してるのが分かる。仁王も珍しく目を丸くした後、フッと笑みをこぼした。
「おー、こわ。冗談に決まっちょろう」
「…悪りぃ」
「はあ…素直じゃないのう」
はなをそんなに汚いモノに染めたくない。やっぱり俺に関わると彼女が変わっていきそうな気がして怖かった。
*
女に呼ばれたからいつもの部屋で事を始めようとキスをしたけど、そのキスは気持ち良くもなんともないし自身は何の反応もしなかった。
「今日も無理かも」
「えー」
ぶつぶつと文句を言いながら女が部屋から出ていくと、代わりにはなが入ってきた。さっきの女に乱された胸元を直しながら立ち上がると、彼女の方を見ないようにして部屋から出ようと歩を進めた。
「待って!」
「…何だよ」
「わたしにも…同じことしてよ」
「…は?」
「わたしのこともセフレにしてって言ったの」
思ってもみなかった提案に思わず間抜けな声が溢れる。何を言ってるのか分かってんのか?いや、ここまで彼女を追い込んだのは紛れもなく俺だ。純粋なはなにこんなことを言わせるなんて、どうかしてる。
「…何でお前を?わけわかんねえし」
「わたしには同じように出来ないってことはやっぱりわたしが関係してるわけ?」
「……」
図星を突かれて思わず黙ってしまった。そうだよ。俺はお前のことになると一気に弱くなるんだ。くだらない女のくだらない口車に乗せられてしまうくらいに。
「別にいいぜ。ま、お前じゃ体もたねえだろうけど」
「え…」
「俺のこと追ってきたってのが本当なら、どうせ処女だろい?」
半ばヤケクソになってはなの腰を引き寄せて早急に唇を防ぐ。ずっと夢見ていた、はなとのキス。理想と違って優しくはしてやれないけれど。他の女と違って不思議と甘い味がする気がした。それだけでさっきとは打って変わって自身が反応する。彼女は息苦しくなったのか、必死に俺の胸を押し返そうとしたけどそんなことは許さない。先に煽ってきたのははなの方だ。
逃げられないように彼女の後頭部に手を回して、舌を追いかけるように舌を絡めると、彼女は諦めたように体から力が抜けていった。そんな仕草すら愛おしい。
「はっ…んんっ…」
「何、怖いの?」
「ち、が…!」
「じゃあ抵抗すんなよ」
「ちょっ…待っ…」
甘い声が直接耳に響いて頭がおかしくなりそうだった。慣れているはずの行為なのに相手がはなとなると全く違うことのように感じる。体温も声も体の柔らかさも。全てが新しく感じ取るもののような気がした。
カーディガンのボタンに手をかけると、はなが震えているのに気がついて我に返った。当たり前だ。他の女とも俺とも違って、こんな経験したことがないんだろうから。唇を離すと、はなは荒い息遣いを繰り返していた。その瞳にはじわりと浮かぶ涙。こんな顔をさせたいわけじゃないのに。
「…やっぱ無理」
「え…」
「お前じゃ勃たねえわ」
お願いだから、早く俺を嫌いになってくれ。はなの潤んだ瞳に俺の顔が映る。今俺は一体どのように彼女の瞳に映っているんだろうか。怖くなって目を逸らすと、俺はその場から離れた。
*
いつもの裏庭に呼び出されて仕方なく向かったけど、今日は初めからやる気がなくてもう関係を断つつもりだった。俺が来たことで嬉しそうに表情を変えた女が俺の元に駆け寄ってくる。
「丸井くん、遅いよー」
「それなんだけどさ、しばらく良いわ。なんか調子悪りぃんだよ」
「えー、つまんない。しようよー」
俺の言葉を無視して、無理矢理俺を引っ張って唇を重ねてきた。こいつ、女のくせに力強いな。全然気持ち良くもないキスに思わず表情が歪む。手を振り払うと、女は分かりやすく不機嫌な表情になった。
「やめろって言ってんだろい」
「もー!ノリ悪いなぁ!良いよ、他当たるから」
駄目だ、最近寄ってくる女が鬱陶しいとしか思えない。仁王に言った通り、もういい加減テニスに集中するしかないのかもしれない。
そんなことを考えながらキャンパスの角を曲がると、見覚えのある男…跡部と女がキスをしていた。後ろ姿でもすぐ分かる彼女…はなと。その後跡部が彼女を抱きしめると、彼女の肩越しに俺を睨んでいた。
「丸井、こんな所にいたのか」
「…おう」
「え…」
跡部の声にはなはびくっと身体を震わせた。もしかしなくてもまたさっきのキスを見られてしまったのかもしれない。
「い、行こ、景吾」
「ああ。早く来いよ、丸井」
はなはこちらを振り返ることなく跡部の手を引いて去って行った。そうだよ。これで良いんだ。これが俺がずっと願ってた最善の流れなんじゃないのか?
なのに何で俺、泣いてんだよ。
今日も練習を終えて着替えも済ませて。帰りにみんなでマックでも寄ってこーぜーなんて話してて。そんな俺の日常は更衣室から出た瞬間に崩れた。
はなが引っ越してから高校を卒業するまでの日常にはいなかった彼女
が、明らかに怒った顔をして立っていた。ぱちりと目が合って思わず表情が強張る。こいつの目を見ると、すぐに昔の自分に戻ってしまう気がした。それが今の俺にとっては恐怖でしかない。いつものように彼女の隣を通ってとっとと帰ろうとした時、思いもよらない言葉が聞こえて思わず足が止まった。
「ブン太が好き」
「…は?」
「わたし、それが言いたくて立海に戻ってきたの」
夢にまで見た、ずっと聞きたかったはずの言葉。それが虚しくも頭に響き渡って消えていった。その後、すぐにあの女の言葉が頭に浮かぶ。すぐに我に返って乾いた笑いが溢れた。
「笑わせんなよ」
「え…」
「違う違う。お前のそれは家族愛だって」
こいつは優しいから。きっと俺に対して罪悪感でも生まれたんだ。もう期待なんかしない。してはいけない。もうこいつだけを想っていた時の俺とは違うんだから。あれこれ言い訳をして歩を進める。
直後、はなの泣き声が聞こえてきて、眉を
*
「仁王」
「何じゃ」
「俺、EDかも」
「は?」
あの天下のブンちゃんが?と笑いを抑えることなく、くつくつと楽しそうに肩を揺らしていた。何が面白いんだか。
あれから、セックスの流れになってもはなの顔が浮かぶようになった。初めはそのままはなの顔を思い浮かべながらしてたけど、その女は結局彼女ではないんだと思うと萎えていくことが多くなった。
「あいつら段々俺を独り占めしようとしてくるから面倒だったし、別にいんだけど。もっとテニス練習しろってことかな」
「原因は間違いなく、はなじゃろ」
「…違えし」
違う、とは言い切れなかった。仕方ねえだろ?ずっと好きだった女が急に目の前に現れて、でも状況は昔とは全然違っていて。
「面白いこと考えた」
「何?」
「俺がはなとセフレになっちゃろうか。ブンちゃんにも貸してやるき」
「やめろよ!」
自分でも引くほどの怒声がその場に響いた。周囲が一気にこちらに注目してるのが分かる。仁王も珍しく目を丸くした後、フッと笑みをこぼした。
「おー、こわ。冗談に決まっちょろう」
「…悪りぃ」
「はあ…素直じゃないのう」
はなをそんなに汚いモノに染めたくない。やっぱり俺に関わると彼女が変わっていきそうな気がして怖かった。
*
女に呼ばれたからいつもの部屋で事を始めようとキスをしたけど、そのキスは気持ち良くもなんともないし自身は何の反応もしなかった。
「今日も無理かも」
「えー」
ぶつぶつと文句を言いながら女が部屋から出ていくと、代わりにはなが入ってきた。さっきの女に乱された胸元を直しながら立ち上がると、彼女の方を見ないようにして部屋から出ようと歩を進めた。
「待って!」
「…何だよ」
「わたしにも…同じことしてよ」
「…は?」
「わたしのこともセフレにしてって言ったの」
思ってもみなかった提案に思わず間抜けな声が溢れる。何を言ってるのか分かってんのか?いや、ここまで彼女を追い込んだのは紛れもなく俺だ。純粋なはなにこんなことを言わせるなんて、どうかしてる。
「…何でお前を?わけわかんねえし」
「わたしには同じように出来ないってことはやっぱりわたしが関係してるわけ?」
「……」
図星を突かれて思わず黙ってしまった。そうだよ。俺はお前のことになると一気に弱くなるんだ。くだらない女のくだらない口車に乗せられてしまうくらいに。
「別にいいぜ。ま、お前じゃ体もたねえだろうけど」
「え…」
「俺のこと追ってきたってのが本当なら、どうせ処女だろい?」
半ばヤケクソになってはなの腰を引き寄せて早急に唇を防ぐ。ずっと夢見ていた、はなとのキス。理想と違って優しくはしてやれないけれど。他の女と違って不思議と甘い味がする気がした。それだけでさっきとは打って変わって自身が反応する。彼女は息苦しくなったのか、必死に俺の胸を押し返そうとしたけどそんなことは許さない。先に煽ってきたのははなの方だ。
逃げられないように彼女の後頭部に手を回して、舌を追いかけるように舌を絡めると、彼女は諦めたように体から力が抜けていった。そんな仕草すら愛おしい。
「はっ…んんっ…」
「何、怖いの?」
「ち、が…!」
「じゃあ抵抗すんなよ」
「ちょっ…待っ…」
甘い声が直接耳に響いて頭がおかしくなりそうだった。慣れているはずの行為なのに相手がはなとなると全く違うことのように感じる。体温も声も体の柔らかさも。全てが新しく感じ取るもののような気がした。
カーディガンのボタンに手をかけると、はなが震えているのに気がついて我に返った。当たり前だ。他の女とも俺とも違って、こんな経験したことがないんだろうから。唇を離すと、はなは荒い息遣いを繰り返していた。その瞳にはじわりと浮かぶ涙。こんな顔をさせたいわけじゃないのに。
「…やっぱ無理」
「え…」
「お前じゃ勃たねえわ」
お願いだから、早く俺を嫌いになってくれ。はなの潤んだ瞳に俺の顔が映る。今俺は一体どのように彼女の瞳に映っているんだろうか。怖くなって目を逸らすと、俺はその場から離れた。
*
いつもの裏庭に呼び出されて仕方なく向かったけど、今日は初めからやる気がなくてもう関係を断つつもりだった。俺が来たことで嬉しそうに表情を変えた女が俺の元に駆け寄ってくる。
「丸井くん、遅いよー」
「それなんだけどさ、しばらく良いわ。なんか調子悪りぃんだよ」
「えー、つまんない。しようよー」
俺の言葉を無視して、無理矢理俺を引っ張って唇を重ねてきた。こいつ、女のくせに力強いな。全然気持ち良くもないキスに思わず表情が歪む。手を振り払うと、女は分かりやすく不機嫌な表情になった。
「やめろって言ってんだろい」
「もー!ノリ悪いなぁ!良いよ、他当たるから」
駄目だ、最近寄ってくる女が鬱陶しいとしか思えない。仁王に言った通り、もういい加減テニスに集中するしかないのかもしれない。
そんなことを考えながらキャンパスの角を曲がると、見覚えのある男…跡部と女がキスをしていた。後ろ姿でもすぐ分かる彼女…はなと。その後跡部が彼女を抱きしめると、彼女の肩越しに俺を睨んでいた。
「丸井、こんな所にいたのか」
「…おう」
「え…」
跡部の声にはなはびくっと身体を震わせた。もしかしなくてもまたさっきのキスを見られてしまったのかもしれない。
「い、行こ、景吾」
「ああ。早く来いよ、丸井」
はなはこちらを振り返ることなく跡部の手を引いて去って行った。そうだよ。これで良いんだ。これが俺がずっと願ってた最善の流れなんじゃないのか?
なのに何で俺、泣いてんだよ。
