真っ赤な愛にくちづけ
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「たなかー。英語の教科書貸してくんね?次担任だからぜってー怒られる」
「え!教科書?」
「ねえならいいんだけど」
「いえ、貸します!」
授業の合間の休み時間。わたしの教室までやってきた丸井くんに思わず心臓がうるさくなったのはここだけの話。教科書を貸して欲しいってことだけど、なんか変な落書きとかしてないかな…。寝ぼけてるときって何してるか覚えてないからすこし怖かったりして。ああもういいや!
「どうぞ!」
「さんきゅー」
教科書を受け取ってにっこり笑顔と共にお礼を言った丸井くんはまるで太陽みたいだった。わたしには手の届かないような、そんな存在。教室を出ていく彼を見送りながらも、丸井くんのことを考えてしまうせいで、その後の授業にはあまり集中出来なかった。なんか、学校に来て彼を見るだけで幸せな気持ちになれるなんて、わたしも単純だなあ。
*
「お前、何これ?」
次の休み時間。半笑いで教科書を返しにやってきた丸井くんは、あるページを開いてわたしに見せてきた。そこには寝ぼけながら書いていたのか、ふにゃふにゃした文字が連なっていた。自分でも分からないほどの文字をしかめっつらで見ながら必死に思い出していると、丸井くんがふと口を開いた。
「ま…?」
丸井くんの口から出てきた"ま"という文字ではっきりと思い出して、わたしは慌てて彼から教科書を奪い取った。そんなわたしを驚いた様子で目をぱちくりさせながら見遣る丸井くんに思わず赤面した。それと同時に授業の始まりのチャイムが鳴って、少なからずほっとした。
「ほ、ほら!早く教室戻らないと怒られちゃうよ!」
「やべ、じゃあな!」
心臓をばくばく鳴らしながらも教室から出て行った丸井くんを確認して、はあ、と溜息を漏らした。"まるいくん"。教科書には確かに寝ぼけながらもそう書いた記憶が蘇ったから。教科書にまで丸井くんを出すなんて片思いとしてなんだか申し訳ない。っていうかなんでよりによって英語の教科書に書き込んだんだあの時のわたし!その時のことを後悔しながらも一人落ち込んでいたけど、丸井くんは気付いてないみたいだったからとりあえずはセーフ…だよね。結局、心臓がばくばくとうるさいままに放課後を迎えた。帰る支度を済ませて教室から出ると、丸井くんの後ろ姿を見つけた。今から部活に行くんだろうけど、声をかける勇気はなかった。ううん、帰る前に姿を見れただけでも運が良かったんだよね。そんなことを自分に言い聞かせていると、突然振り返った丸井くんに心臓が跳びはねた。彼の背中をじっと見つめていたわたしは当然彼と目が合うわけで。
「お、帰んの?」
「あ、うん」
わたしに気付いた丸井くんがこっちに向かって歩いてきたことで、自然と背筋がぴんと伸びた。じゃあ途中まで一緒に行こうぜ、と笑った丸井くんの言葉に遠慮がちに頷いた。下までとはいえ、一緒に帰れることはすごく嬉しかった。隣を歩く丸井くんの背はわたしよりも高くて、男を意識させられるには充分だ。他愛のない話をしながら階段を降りると、すぐに下足ロッカーが近くなった。
「部活頑張ってね」
「おう。任せとけ!」
丸井くんはそう言ったのと同時に前から歩いてくる男の人二人に、げ、と呟いて嫌そうな視線を向けた。あ、この人たちって、テニス部の仁王くんと、たしか中等部の切原くん…?私には関係のない人たちだと思っていたからちゃんと見たことがなかったけど、やっぱり近くで見ると全然違う。遠くから見るよりももっとかっこいい。わたしが二人に見とれていると、お二人はにやにやしたご様子で丸井くんを小突いた。
「何いっちょ前に女の子と歩いとるんじゃ」
「いつの間に彼女出来たんスか!?俺ら聞いてねぇっスよ!」
「か、彼女じゃねえよ…」
か、彼女…!そのあまりに素晴らしい響きにわたしは一瞬目眩がした。すぱっと否定されたものの、いつか彼女になれたらいいなあなんて有り得もしない願望が頭を過ぎった。
「名前なんて言うんスか?」
「あ、たなかはなって言います」
「はな先輩っスね、メモメモ…」
「いや、メモすんな!」
「ブンちゃんと仲良くしてやっての、はなちゃん」
「え、は、はい!」
「何言ってんだよ、仁王!」
正直テニス部の方たちは近寄りがたいイメージがあったけど、実際話してみて印象がころっと変わってしまった。あ、丸井くんのときと同じ。わたしまた人のこと、悪いように思い込んでた。気をつけないと、と考えていると、丸井くんと仁王くんたちとのやり取りが視界に入って思わず笑みが零れた。
ずっと変わらない太陽の隣で
これから先も一緒に笑っていたいという願いは我 儘 ですか?
「え!教科書?」
「ねえならいいんだけど」
「いえ、貸します!」
授業の合間の休み時間。わたしの教室までやってきた丸井くんに思わず心臓がうるさくなったのはここだけの話。教科書を貸して欲しいってことだけど、なんか変な落書きとかしてないかな…。寝ぼけてるときって何してるか覚えてないからすこし怖かったりして。ああもういいや!
「どうぞ!」
「さんきゅー」
教科書を受け取ってにっこり笑顔と共にお礼を言った丸井くんはまるで太陽みたいだった。わたしには手の届かないような、そんな存在。教室を出ていく彼を見送りながらも、丸井くんのことを考えてしまうせいで、その後の授業にはあまり集中出来なかった。なんか、学校に来て彼を見るだけで幸せな気持ちになれるなんて、わたしも単純だなあ。
*
「お前、何これ?」
次の休み時間。半笑いで教科書を返しにやってきた丸井くんは、あるページを開いてわたしに見せてきた。そこには寝ぼけながら書いていたのか、ふにゃふにゃした文字が連なっていた。自分でも分からないほどの文字をしかめっつらで見ながら必死に思い出していると、丸井くんがふと口を開いた。
「ま…?」
丸井くんの口から出てきた"ま"という文字ではっきりと思い出して、わたしは慌てて彼から教科書を奪い取った。そんなわたしを驚いた様子で目をぱちくりさせながら見遣る丸井くんに思わず赤面した。それと同時に授業の始まりのチャイムが鳴って、少なからずほっとした。
「ほ、ほら!早く教室戻らないと怒られちゃうよ!」
「やべ、じゃあな!」
心臓をばくばく鳴らしながらも教室から出て行った丸井くんを確認して、はあ、と溜息を漏らした。"まるいくん"。教科書には確かに寝ぼけながらもそう書いた記憶が蘇ったから。教科書にまで丸井くんを出すなんて片思いとしてなんだか申し訳ない。っていうかなんでよりによって英語の教科書に書き込んだんだあの時のわたし!その時のことを後悔しながらも一人落ち込んでいたけど、丸井くんは気付いてないみたいだったからとりあえずはセーフ…だよね。結局、心臓がばくばくとうるさいままに放課後を迎えた。帰る支度を済ませて教室から出ると、丸井くんの後ろ姿を見つけた。今から部活に行くんだろうけど、声をかける勇気はなかった。ううん、帰る前に姿を見れただけでも運が良かったんだよね。そんなことを自分に言い聞かせていると、突然振り返った丸井くんに心臓が跳びはねた。彼の背中をじっと見つめていたわたしは当然彼と目が合うわけで。
「お、帰んの?」
「あ、うん」
わたしに気付いた丸井くんがこっちに向かって歩いてきたことで、自然と背筋がぴんと伸びた。じゃあ途中まで一緒に行こうぜ、と笑った丸井くんの言葉に遠慮がちに頷いた。下までとはいえ、一緒に帰れることはすごく嬉しかった。隣を歩く丸井くんの背はわたしよりも高くて、男を意識させられるには充分だ。他愛のない話をしながら階段を降りると、すぐに下足ロッカーが近くなった。
「部活頑張ってね」
「おう。任せとけ!」
丸井くんはそう言ったのと同時に前から歩いてくる男の人二人に、げ、と呟いて嫌そうな視線を向けた。あ、この人たちって、テニス部の仁王くんと、たしか中等部の切原くん…?私には関係のない人たちだと思っていたからちゃんと見たことがなかったけど、やっぱり近くで見ると全然違う。遠くから見るよりももっとかっこいい。わたしが二人に見とれていると、お二人はにやにやしたご様子で丸井くんを小突いた。
「何いっちょ前に女の子と歩いとるんじゃ」
「いつの間に彼女出来たんスか!?俺ら聞いてねぇっスよ!」
「か、彼女じゃねえよ…」
か、彼女…!そのあまりに素晴らしい響きにわたしは一瞬目眩がした。すぱっと否定されたものの、いつか彼女になれたらいいなあなんて有り得もしない願望が頭を過ぎった。
「名前なんて言うんスか?」
「あ、たなかはなって言います」
「はな先輩っスね、メモメモ…」
「いや、メモすんな!」
「ブンちゃんと仲良くしてやっての、はなちゃん」
「え、は、はい!」
「何言ってんだよ、仁王!」
正直テニス部の方たちは近寄りがたいイメージがあったけど、実際話してみて印象がころっと変わってしまった。あ、丸井くんのときと同じ。わたしまた人のこと、悪いように思い込んでた。気をつけないと、と考えていると、丸井くんと仁王くんたちとのやり取りが視界に入って思わず笑みが零れた。
ずっと変わらない太陽の隣で
これから先も一緒に笑っていたいという願いは
