真っ赤な愛にくちづけ
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人をこんなにも好きになる日が来るなんて、このときのわたしは考えたこともなかった。
立海テニス部のレギュラー陣って近寄りがたいよね。
いつだったかは忘れてしまったけど、ある日誰かがそう言った。人を見た目で判断するのはどうかと思ったけど、彼らを好きな人たちはファンクラブなんて作って応援を楽しんでいる。けれど、どちらかと言うとわたしの感覚も前者と同じだった。
*
「なんでわたしがこんなこと…」
もう授業はとっくの前に終わっていて、一人でいる教室はものすごく広く感じた。もう冬本番という季節だからか、ちょっとした隙間風さえとても冷たく感じる。教室にたった一人だけ、というこの状況ではエアコンなんて付けてはくれなかった。私立なんだからそこはケチらないでほしい。先生に頼まれた進路のしおり作りは、受験先の大学とか、そこの授業料とかが印刷された何枚ものプリントを一枚ずつ重ねて、仕上げにホッチキスで止めるという作業。それ以前にどうしてこの作業がわたし一人に任されたのか。原因は自分の断れない性格にあるんだと自覚してさらに肩が落ちた。
「こんなの、いつまで経っても終わるわけ…」
そう呟いたのと同時に、今まで静かだった廊下に足音が響いた。誰だろうかと身を固くしていると、次の瞬間にはわたしのいる教室のドアががらっと音を立てて開けられた。ドアの方に顔を向けると、そこに立っていた人物と目が合って思わずまた体が震えた。まさに"近寄りがたそう"と思っていた立海テニス部レギュラー陣のうちの一人、丸井ブン太くん。
「お前、たなか…?」
「ま、丸井くん」
何故か反射的に体がびくついてしまった。こういうのって、壁を作ってると気付かれたら失礼だよね?そう考えたわたしはなるべく平常心を保つように深呼吸をした。大丈夫、大丈夫。有名人といえど丸井くんだってわたしと同じ人間、人の子なんだから!丸井くんは教室の中に入ってくると、わたしの座っている机の前に立って並べられたたくさんの紙を珍しそうに眺めていた。
「こんな時間に何やってんだよ?」
「先生にしおり作り頼まれちゃって…。ほら、進路の」
「進路?ほとんど立海大行くんじゃねぇの?しかもまだ一年なのにな」
「そうだよね」
うんうん、いい感じだよわたし。ていうか丸井くんが部活終わったってことは、うわ、やっぱり外はもう暗闇に近付いている。まだあと半分以上あるっていうのに。やっぱり今のやり方だと時間掛かるのかな。でも手っ取り早いやり方なんてことを考えてる間にまた時間が経っちゃう。ああ、いっそのこと投げ出してしまいたい。
「なあ」
一人頭の中で担任に対して怒りを抱いていると、ふと聞こえた丸井くんの声に鈍い反応しか返せなかった。さっきまで机の前に立っていた丸井くんの顔が、いきなりわたしの視界を大幅に埋め尽くした。
「なんかお菓子持ってる?」
「え」
「腹減ってよー。なんか持ってたらくれねぇ?」
「あ、うん。いいよ」
わたしの答えに満足したのか、にかっと笑ってわたしから離れると、嬉しそうに伸びをした。うわ、かわいい。丸井くんってこんなに無邪気に笑う子だったんだ。
「よし」
「え…」
「手伝い料ってことで。手伝ってやるよ」
そう言ってわたしの隣に座った丸井くんに、思わず心臓が跳ね上がった。え、いや、ないない。わたしそんなにちょろい女じゃないもん。気のせいに違いない、うん。とりあえず、彼のおかげで先生から与えられた仕事は投げ出さなくて済みそうだ。
人を見た目で判断してはいけません
世の中、話してみないとわからないこともあるものなのです
立海テニス部のレギュラー陣って近寄りがたいよね。
いつだったかは忘れてしまったけど、ある日誰かがそう言った。人を見た目で判断するのはどうかと思ったけど、彼らを好きな人たちはファンクラブなんて作って応援を楽しんでいる。けれど、どちらかと言うとわたしの感覚も前者と同じだった。
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「なんでわたしがこんなこと…」
もう授業はとっくの前に終わっていて、一人でいる教室はものすごく広く感じた。もう冬本番という季節だからか、ちょっとした隙間風さえとても冷たく感じる。教室にたった一人だけ、というこの状況ではエアコンなんて付けてはくれなかった。私立なんだからそこはケチらないでほしい。先生に頼まれた進路のしおり作りは、受験先の大学とか、そこの授業料とかが印刷された何枚ものプリントを一枚ずつ重ねて、仕上げにホッチキスで止めるという作業。それ以前にどうしてこの作業がわたし一人に任されたのか。原因は自分の断れない性格にあるんだと自覚してさらに肩が落ちた。
「こんなの、いつまで経っても終わるわけ…」
そう呟いたのと同時に、今まで静かだった廊下に足音が響いた。誰だろうかと身を固くしていると、次の瞬間にはわたしのいる教室のドアががらっと音を立てて開けられた。ドアの方に顔を向けると、そこに立っていた人物と目が合って思わずまた体が震えた。まさに"近寄りがたそう"と思っていた立海テニス部レギュラー陣のうちの一人、丸井ブン太くん。
「お前、たなか…?」
「ま、丸井くん」
何故か反射的に体がびくついてしまった。こういうのって、壁を作ってると気付かれたら失礼だよね?そう考えたわたしはなるべく平常心を保つように深呼吸をした。大丈夫、大丈夫。有名人といえど丸井くんだってわたしと同じ人間、人の子なんだから!丸井くんは教室の中に入ってくると、わたしの座っている机の前に立って並べられたたくさんの紙を珍しそうに眺めていた。
「こんな時間に何やってんだよ?」
「先生にしおり作り頼まれちゃって…。ほら、進路の」
「進路?ほとんど立海大行くんじゃねぇの?しかもまだ一年なのにな」
「そうだよね」
うんうん、いい感じだよわたし。ていうか丸井くんが部活終わったってことは、うわ、やっぱり外はもう暗闇に近付いている。まだあと半分以上あるっていうのに。やっぱり今のやり方だと時間掛かるのかな。でも手っ取り早いやり方なんてことを考えてる間にまた時間が経っちゃう。ああ、いっそのこと投げ出してしまいたい。
「なあ」
一人頭の中で担任に対して怒りを抱いていると、ふと聞こえた丸井くんの声に鈍い反応しか返せなかった。さっきまで机の前に立っていた丸井くんの顔が、いきなりわたしの視界を大幅に埋め尽くした。
「なんかお菓子持ってる?」
「え」
「腹減ってよー。なんか持ってたらくれねぇ?」
「あ、うん。いいよ」
わたしの答えに満足したのか、にかっと笑ってわたしから離れると、嬉しそうに伸びをした。うわ、かわいい。丸井くんってこんなに無邪気に笑う子だったんだ。
「よし」
「え…」
「手伝い料ってことで。手伝ってやるよ」
そう言ってわたしの隣に座った丸井くんに、思わず心臓が跳ね上がった。え、いや、ないない。わたしそんなにちょろい女じゃないもん。気のせいに違いない、うん。とりあえず、彼のおかげで先生から与えられた仕事は投げ出さなくて済みそうだ。
人を見た目で判断してはいけません
世の中、話してみないとわからないこともあるものなのです
