恋模様の花冠
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一通り館内を見終えて、敷地内にある練習用のテニスコートもちゃんと見学した後の率直な意見は、とにかく綺麗。もう大満足。いつもありえないほどケチなオサムちゃんを思い出すと、大人の事情を考えちゃったわたしは立海の先生方に申し訳なくなった。ないない。オサムちゃんがこんな素敵で高そうな場所をセレクトするなんて、まずないでしょうよ。
「あ、スマホ鳴ってる。謙也だ。もしもし?」
『おー、下見どない?』
「やばいよ!もうすごい綺麗なの!あ、あと、駅でね」
『俺らもあと一時間ちょいで練習終わるからそろそろ帰ってきー』
「……え」
『帰って来なさい言うてんの。ほなな』
余韻に浸ることすら出来ないままにぶちっと切られたスマホはつーつーと一定音を鳴らしていた。立ち尽くすわたしに声を掛けてきたのは、全国大会のときに派手に暴れていた1年生の子。今はもう2年生だろうけど。切原くん、だっけな。彼は心ここにあらずなわたしの目の前で手をひらひらさせた。
「大丈夫っすかー?」
「あ、一応…もう帰らないといけなくて」
「そうなんすか?まあ明日からよろしくっす」
人懐っこい彼の笑顔に思わずきゅんとしてしまった。こんなにかわいいのに、試合が始まるところっと変わっちゃうもんだから困ったものだ。あ、いけない。早く帰らないと謙也に角が生えてしまう。わたしはホテルのロビーにいた幸村くんと真田くんを見つけると、すぐに駆け付けた。なんていうか、二人だけでいるとものすごく近寄りがたいっていうか…絵になるというか。
「あ、たなかさん」
「今日はありがとうございました!わたしそろそろ帰りますね」
「そうだね。暗くなる前に帰った方がいい。今日はお疲れ様」
「はい、ではまた明日!」
敷地内から出るまでに見つけた人に挨拶をしたけれど、最後まで丸井くんを見つけることはなかった。お菓子のお礼もう一度言いたかったのにな。ううん、明日から5日間も一緒にいれるんだから文句言ってちゃ駄目だよね。わたしは門から出ると、すぐに駅までの道を歩き始めた。しかしなんでこんなに山道なんだろう。行き道では黙ってたけど、微妙に坂になってるし。まあ帰り道は楽かな?でもやっぱりこんな山道の中にあんな綺麗な合宿所があるなんてまだ信じられない。この合宿の費用のこと、オサムちゃんに聞き出してみようかな。なんて思っていると、いきなり隣にあった茂みが動き出した。
「よっす!」
「きゃっ、て、ままま!丸井くん!」
「んな驚くなよ…。俺が変質者みてぇだろぃ」
「あ、ごめ…」
だって茂みの中からっていうあまりにも普通じゃないところから出て来たら誰だって驚くよ。けど、え、なんで丸井くんがここにいるの?
「ど、どうしたの?」
「んー?一人で帰ったっつーから追い掛けてきた」
「え…?」
「いくら暗くないっつっても危ねえだろぃ。あいつら気利かねえよな」
わたしが丸井くんの言葉を理解出来ずに一人でわたわたしていると、行くぞ、と言って歩き始めてしまった。これって、送ってくれるってこと…?うわ、もったいない。わたし今ウルトラ幸せ者だ!
「あの、あ、ありがとう」
「気にすんなって。俺お前と話してみたいって思ってたし」
「わ、わたしと…?」
「おう。ほら、前の全国大会んときすげぇインパクトだったしよ」
「お、覚えてるの!?」
「あれで忘れる方がおかしいだろぃ」
あれってもしかしなくても、やっぱりあれだよね。あの、また会う日まで!とかいうやつ。うわあ、恥ずかしい。顔から火が出るってまさにこんな時に使う言葉だよ、きっと。でも、そっか。覚えててくれてたんだ。あの時は自分のことが恨めしいって思ってたけど、今となっては褒めてあげたい。薄暗い中に明かりが見えてきたかとおもうと、いつの間にか駅に着いてしまっていた。もっとゆっくり歩きたかったな。
「切符買って来いよ。待っててやるから」
「あ、ありがとう」
あーもう、さっきから吃 りっぱなしだよわたし。同い年なんだから普通にしなくちゃ。吃ってばっかりだと変に思われちゃうし、変な奴だって思われたくないし。券売機にお金を入れてここに来た時と同じ値段が書かれたボタンを押すと、ひらっと一枚の切符が落ちてきた。もう帰らなくちゃ駄目なんだな。明日から合宿なのに、なんだか寂しい。
「じゃあ…明日からシクヨロ。俺人一倍こき使うから!」
「え、嘘!」
「うん、嘘」
「………」
愛くるしい笑顔に見送られながら、わたしは改札に切符を通すのだった。またな、っていう言葉がやけに身に染みた。また会えるんだって、実感出来たから。とりあえず学校に帰ったらみんなに話を聞いてもらおう。
「あ、スマホ鳴ってる。謙也だ。もしもし?」
『おー、下見どない?』
「やばいよ!もうすごい綺麗なの!あ、あと、駅でね」
『俺らもあと一時間ちょいで練習終わるからそろそろ帰ってきー』
「……え」
『帰って来なさい言うてんの。ほなな』
余韻に浸ることすら出来ないままにぶちっと切られたスマホはつーつーと一定音を鳴らしていた。立ち尽くすわたしに声を掛けてきたのは、全国大会のときに派手に暴れていた1年生の子。今はもう2年生だろうけど。切原くん、だっけな。彼は心ここにあらずなわたしの目の前で手をひらひらさせた。
「大丈夫っすかー?」
「あ、一応…もう帰らないといけなくて」
「そうなんすか?まあ明日からよろしくっす」
人懐っこい彼の笑顔に思わずきゅんとしてしまった。こんなにかわいいのに、試合が始まるところっと変わっちゃうもんだから困ったものだ。あ、いけない。早く帰らないと謙也に角が生えてしまう。わたしはホテルのロビーにいた幸村くんと真田くんを見つけると、すぐに駆け付けた。なんていうか、二人だけでいるとものすごく近寄りがたいっていうか…絵になるというか。
「あ、たなかさん」
「今日はありがとうございました!わたしそろそろ帰りますね」
「そうだね。暗くなる前に帰った方がいい。今日はお疲れ様」
「はい、ではまた明日!」
敷地内から出るまでに見つけた人に挨拶をしたけれど、最後まで丸井くんを見つけることはなかった。お菓子のお礼もう一度言いたかったのにな。ううん、明日から5日間も一緒にいれるんだから文句言ってちゃ駄目だよね。わたしは門から出ると、すぐに駅までの道を歩き始めた。しかしなんでこんなに山道なんだろう。行き道では黙ってたけど、微妙に坂になってるし。まあ帰り道は楽かな?でもやっぱりこんな山道の中にあんな綺麗な合宿所があるなんてまだ信じられない。この合宿の費用のこと、オサムちゃんに聞き出してみようかな。なんて思っていると、いきなり隣にあった茂みが動き出した。
「よっす!」
「きゃっ、て、ままま!丸井くん!」
「んな驚くなよ…。俺が変質者みてぇだろぃ」
「あ、ごめ…」
だって茂みの中からっていうあまりにも普通じゃないところから出て来たら誰だって驚くよ。けど、え、なんで丸井くんがここにいるの?
「ど、どうしたの?」
「んー?一人で帰ったっつーから追い掛けてきた」
「え…?」
「いくら暗くないっつっても危ねえだろぃ。あいつら気利かねえよな」
わたしが丸井くんの言葉を理解出来ずに一人でわたわたしていると、行くぞ、と言って歩き始めてしまった。これって、送ってくれるってこと…?うわ、もったいない。わたし今ウルトラ幸せ者だ!
「あの、あ、ありがとう」
「気にすんなって。俺お前と話してみたいって思ってたし」
「わ、わたしと…?」
「おう。ほら、前の全国大会んときすげぇインパクトだったしよ」
「お、覚えてるの!?」
「あれで忘れる方がおかしいだろぃ」
あれってもしかしなくても、やっぱりあれだよね。あの、また会う日まで!とかいうやつ。うわあ、恥ずかしい。顔から火が出るってまさにこんな時に使う言葉だよ、きっと。でも、そっか。覚えててくれてたんだ。あの時は自分のことが恨めしいって思ってたけど、今となっては褒めてあげたい。薄暗い中に明かりが見えてきたかとおもうと、いつの間にか駅に着いてしまっていた。もっとゆっくり歩きたかったな。
「切符買って来いよ。待っててやるから」
「あ、ありがとう」
あーもう、さっきから
「じゃあ…明日からシクヨロ。俺人一倍こき使うから!」
「え、嘘!」
「うん、嘘」
「………」
愛くるしい笑顔に見送られながら、わたしは改札に切符を通すのだった。またな、っていう言葉がやけに身に染みた。また会えるんだって、実感出来たから。とりあえず学校に帰ったらみんなに話を聞いてもらおう。
