弱虫な僕ら
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高校二年生になってまだ数ヶ月だった頃。立海大附属高校に通っていたわたしは、父の転勤によって突然東京へと引っ越すことになってしまった。二年生になってやっとクラスにも慣れてきたという時だったのに、高校はあっさりと氷帝学園に変わってしまった。それだけじゃない。小さな頃からずっと隣に住んでいた、幼なじみのブン太ともお別れをしなくちゃならなかった。まだ高校生のわたしはブン太と離れたくないという理由だけでその場に残してもらえるはずもなく、さようならをすることになってしまった。氷帝学園とは言えど、会えない距離でもないし、わたしとブン太が仲良しの幼なじみということは何も変わらないと思ってた。だけど、わたしたち家族が引越しをする当日。突然ブン太に好きだと告げられた。わたしもブン太が好きだったからすごく嬉しかったけど、その「好き」には恋愛感情は含まれていなかった。ずっと一緒にいたから、その愛情は家族愛のようなものだった。だからこれからも幼なじみでいようね、なんてブン太の気持ちを少しも考えずに無神経なことを言って。だけどブン太も笑顔で当たり前だろって言ってくれたから、大丈夫だと思ってた。これからも何も変わらないんだって、思ってた。
だけど、引越しした途端に連絡は一切取らなくなって、会いに行くにも何故だか気まずくて行けなかった。気がつけばわたしの頭の中には寂しさが充満して、この気持ちが恋なんだということを初めて知った。だからわたしは一つの目標を作った。たくさん勉強して、大学は絶対に立海に戻るんだって。そして、自分の気持ちをブン太に伝えるんだと決意した。
そして迎えた春。わたしは両親に許可を得て一人暮らしを始めると同時に立海大へと入学した。待ちに待った入学式でもあり、高校から少し離れた敷地内にある大学のキャンパスに行くと同時に胸が高鳴った。学校に来るまでの途中で見た高校の校舎が、わたしに昔のことを思い出させてくれた。友達とマラソンを頑張ったこととか、先生に叱られたりとか、ブン太と一緒に帰ったことだとか。また同じような生活が送れるのかと思うと嬉しくてたまらなくて、思わず笑みが零れる。大学のキャンパスには見学でしか来たことがなかったから、入学式を行うメインホールがどこにあるのかなんてまったくわからなかった。
「うう、どこなの…」
まさかこんなにも悩むなんて思ってなかった。人気 もないし、もしかしなくてももう入学式始まっちゃってるよね。必死に歩き回った結果、裏庭の方に行くと何やら声が聞こえた。やった、誰かいる。メインホールの場所を聞けるチャンスだ。
「あの、入学式ってどこで…」
そのことしか頭の中に無く、何も考えないで曲がり角から裏庭にひょこっと顔を出すと、思ってもいなかった光景に目を疑った。
「…ほら、イけよっ」
女の子が壁に手をついて、男の子が後ろから…って…!状況を痛いほどに理解したわたしは、ばっと顔を逸らして急いで建物の陰に隠れた。そして一気に熱くなった顔を両手で覆う。こんなところで何やってんの、入学早々!あまりにも混乱していたせいか、わたしはその男の子の髪の毛が赤かったことを見逃していたことに気がつかなかった。
しばらく思考回路が停止して立ち尽くしていたけど、その場から離れて脳裏に焼き付いた光景を振り払うように無我夢中で走った。するとだいぶ先の方でスーツを着たたくさんの人だかりが目に入った。あ、やっぱり入学式終わっちゃったんだ。入学式の次はどこかの講堂でオリエンテーションって前家に送られてきたスケジュールに書いてあったっけ。とりあえず人がいてよかった。何事もなかったかのように人込みに紛れ込むと、あとは前に歩く人たちに着いていこうと思い足を早めた。そのまま廊下を歩いていると後ろから肩をとんとんと叩かれて、反射的に振り返ると懐かしい顔が目に入った。
「はな?」
「え、あ、りな!」
「やっぱりはなだ!久しぶりだね」
「久しぶり!嬉しいなあ、戻って来たって感じがする」
久しぶりに大好きな親友に会えて笑みが止まらなかった。何より敷地は違うけど自分の通っていた学校に戻って来られて、ブン太にも会えるし、今のわたしは最高に幸せ者だ。友人と他愛ない話をしながら廊下を進んでいると、少し先に見えた赤い髪に思わず声が漏れた。
「あ!」
あれ、絶対ブン太だ。赤い髪なんてブン太以外にいるはずがない。そう思った途端に心臓が跳びはねて、妙に動悸が早くなった。ずっと会いたかった、一番会いたかった彼に、やっと会える。
「ちょっと行ってくる!」
「え、ちょっと…!ったく相変わらず落ち着きないんだから…そういやあの子丸井のこと知ってんのかしら」
りながわたしを呼び止めた声に気を掛けずに、廊下いっぱいになっている人込みを掻き分けて赤い髪を目指した。あれ、背伸びたのかな。たくましくなったブン太の背中を見つめることを惜しみながらも、彼の腕を引いた。
「ぶ、ブン太!久しぶり!」
久しぶりの対面に緊張しながらもわたしが彼の腕を引いて声を掛けたにも関わらず、ブン太は返事を返すどころか目も合わせてくれないまま前へと歩いていってしまった。まるでわたしなんか見えていないかのような態度。気のせいかな…?立ち尽くすわたしを避けて人込みは進んでいく。いつのまにかわたしに追い付いたりなが隣にいて、そこでやっと我に返った。
「いきなり走るな、ばか!」
「あ、ご、ごめん…」
「何かあったの?」
「ううん、何でもない」
彼の瞳にわたしが映っていなくて、一瞬ものすごく怖くなった。だけど、あれが気のせいなわけない。もしかしたら、私の知らない間に何かが大きく変わってしまったのかもしれない。
だけど、引越しした途端に連絡は一切取らなくなって、会いに行くにも何故だか気まずくて行けなかった。気がつけばわたしの頭の中には寂しさが充満して、この気持ちが恋なんだということを初めて知った。だからわたしは一つの目標を作った。たくさん勉強して、大学は絶対に立海に戻るんだって。そして、自分の気持ちをブン太に伝えるんだと決意した。
そして迎えた春。わたしは両親に許可を得て一人暮らしを始めると同時に立海大へと入学した。待ちに待った入学式でもあり、高校から少し離れた敷地内にある大学のキャンパスに行くと同時に胸が高鳴った。学校に来るまでの途中で見た高校の校舎が、わたしに昔のことを思い出させてくれた。友達とマラソンを頑張ったこととか、先生に叱られたりとか、ブン太と一緒に帰ったことだとか。また同じような生活が送れるのかと思うと嬉しくてたまらなくて、思わず笑みが零れる。大学のキャンパスには見学でしか来たことがなかったから、入学式を行うメインホールがどこにあるのかなんてまったくわからなかった。
「うう、どこなの…」
まさかこんなにも悩むなんて思ってなかった。
「あの、入学式ってどこで…」
そのことしか頭の中に無く、何も考えないで曲がり角から裏庭にひょこっと顔を出すと、思ってもいなかった光景に目を疑った。
「…ほら、イけよっ」
女の子が壁に手をついて、男の子が後ろから…って…!状況を痛いほどに理解したわたしは、ばっと顔を逸らして急いで建物の陰に隠れた。そして一気に熱くなった顔を両手で覆う。こんなところで何やってんの、入学早々!あまりにも混乱していたせいか、わたしはその男の子の髪の毛が赤かったことを見逃していたことに気がつかなかった。
しばらく思考回路が停止して立ち尽くしていたけど、その場から離れて脳裏に焼き付いた光景を振り払うように無我夢中で走った。するとだいぶ先の方でスーツを着たたくさんの人だかりが目に入った。あ、やっぱり入学式終わっちゃったんだ。入学式の次はどこかの講堂でオリエンテーションって前家に送られてきたスケジュールに書いてあったっけ。とりあえず人がいてよかった。何事もなかったかのように人込みに紛れ込むと、あとは前に歩く人たちに着いていこうと思い足を早めた。そのまま廊下を歩いていると後ろから肩をとんとんと叩かれて、反射的に振り返ると懐かしい顔が目に入った。
「はな?」
「え、あ、りな!」
「やっぱりはなだ!久しぶりだね」
「久しぶり!嬉しいなあ、戻って来たって感じがする」
久しぶりに大好きな親友に会えて笑みが止まらなかった。何より敷地は違うけど自分の通っていた学校に戻って来られて、ブン太にも会えるし、今のわたしは最高に幸せ者だ。友人と他愛ない話をしながら廊下を進んでいると、少し先に見えた赤い髪に思わず声が漏れた。
「あ!」
あれ、絶対ブン太だ。赤い髪なんてブン太以外にいるはずがない。そう思った途端に心臓が跳びはねて、妙に動悸が早くなった。ずっと会いたかった、一番会いたかった彼に、やっと会える。
「ちょっと行ってくる!」
「え、ちょっと…!ったく相変わらず落ち着きないんだから…そういやあの子丸井のこと知ってんのかしら」
りながわたしを呼び止めた声に気を掛けずに、廊下いっぱいになっている人込みを掻き分けて赤い髪を目指した。あれ、背伸びたのかな。たくましくなったブン太の背中を見つめることを惜しみながらも、彼の腕を引いた。
「ぶ、ブン太!久しぶり!」
久しぶりの対面に緊張しながらもわたしが彼の腕を引いて声を掛けたにも関わらず、ブン太は返事を返すどころか目も合わせてくれないまま前へと歩いていってしまった。まるでわたしなんか見えていないかのような態度。気のせいかな…?立ち尽くすわたしを避けて人込みは進んでいく。いつのまにかわたしに追い付いたりなが隣にいて、そこでやっと我に返った。
「いきなり走るな、ばか!」
「あ、ご、ごめん…」
「何かあったの?」
「ううん、何でもない」
彼の瞳にわたしが映っていなくて、一瞬ものすごく怖くなった。だけど、あれが気のせいなわけない。もしかしたら、私の知らない間に何かが大きく変わってしまったのかもしれない。
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