恋模様の花冠
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
誰もいない部屋の中で大きく深呼吸をした。丸井くんと話せた喜びもあるけれど、それ以上にずっと謙也の言葉が頭の中でぐわんぐわんと響いていた。
謙也からの告白はとても信じられないものだったけれど、謙也はそんな嘘をつくわけない。何より、あの見たこともない表情が証拠だ。いつも丸井くんの話をして、ずっと彼を苦しめていたという罪悪感。もう前みたいに友達でいられなくなるのかもしれないという不安。色んな感情が頭の中でぐちゃぐちゃになっていた。
その日は結局文字通り一睡も出来なかった。これほどまでに謙也のことを考えるなんて初めてだった。
*
朝食を取るために会場に向かっていると、曲がり角でばったり光と出会 した。彼はわたしの顔を見るなり、珍しく目をまんまるにした。
「先輩なんスか、その目の下のクマ。また笑かそうとしてんスか」
「笑ってくれるなら本望だよ」
「全然笑えんスわ」
そんな会話をしていると、光の後ろから謙也が歩いて来るのが見えた。思わず光の後ろに隠れてしまう。
「何してんスか、先輩」
「お願い、何も言わずに隠れさせて」
「残念やけどはみ出しまくりや。はな、ちょっとこっち来い」
そんな私を気にかけることもなく、謙也は私にちょいちょいと手でこっちに来いと合図する。光の後ろで動けないでいると、何かを察したのか、虚しくも彼によってあっけなく謙也の前に差し出されてしまった。
「はい、どーぞ」
「あ、光の裏切り者!」
「いいから行くで」
私は身を縮こませて謙也のあとについていった。廊下の端っこ、誰も来ない場所で謙也は壁にもたれかかってわたしに目線を向けたけれど、わたしは昨日のことを思い出して気恥ずかしくてつい顔を逸らしてしまう。目が見れない。こんなこと、初めてだ。
「何でそんなクマ作っとんねん」
「な、何でって…」
「考えろとは言ったけど…考えすぎやろ」
「だ、だって、仕方ないでしょ!」
「俺、お前のこと困らせたくて告ったわけやないんやけど。まあ困るわな」
謙也もわたしから視線を外すと、ふうとため息をついた。謙也が勇気を出して告白してくれたんだから、わたしも逃げずに真剣に返事をしないといけない。
「一晩考えたけど、わたし…」
「おん」
「謙也のことは友達として好きだけど、やっぱり恋愛ってなると違うって言うか…」
「…まあ知ってるけど」
「ご、ごめん…」
言いながら、自然と涙が滲んだ。言葉にした途端、何か大切なものを失ってしまったような、もう後戻りが出来なくなってしまったような。
「何や、俺も自分の気持ち言うてスッキリしたわ。だからお前が泣く必要ないんやで」
「わ、わたし達って、これからどうなるの…?」
「どうって、今まで通り元に戻るだけや」
「と、友達でいられるってこと…?」
そう言いながら声が情けなく震えていた。それを察知して謙也は慌てだす。私の考えていたことが分かったのか、頭をぐしゃぐしゃと撫でてくれた。わたしは卑怯だ。謙也の気持ちに応えられないくせに、離れていってしまうのは嫌だと思ってしまう。
「そら俺かて最初は気まずいと思うで?一応ちゃんと好きやってんからな」
「…うん」
「でもはなとこれからも友達でおりたいっちゅーんは、俺も同じ気持ちや」
そう言ってニカッと笑った彼の笑顔はとても眩しかった。わたしが思っていた以上に謙也は強い。
「なあ、はな」
「うん…」
「最後に、一回だけ抱きしめてもええ?」
「えっ!ええと…い、良いよ」
大きな身体に抱きしめられて初めて分かった。謙也は、わたしが思っていたよりも、ずっとずっと"男の子"だった。
彼はわたしからそっと手を離すとさっきと同じくらい距離を取って、ふーっと一息ついた。
「とびっきりええ彼女作って、絶対後悔させたるからな」
「うん…謙也なら絶対良い子が現れるよ」
「当たり前や!ほな、先行っとくで」
手を振って会場に向かって行った謙也の背中は、とても男らしかった。自分の気持ちにちゃんと逃げずに向き合って、丸井くんを好きだと言うわたしにきもちを伝えてくれた。そんな彼からわたしも勇気を貰えた。
わたしも絶対に逃げない。ちゃんと丸井くんに気持ちを伝えるから。
謙也からの告白はとても信じられないものだったけれど、謙也はそんな嘘をつくわけない。何より、あの見たこともない表情が証拠だ。いつも丸井くんの話をして、ずっと彼を苦しめていたという罪悪感。もう前みたいに友達でいられなくなるのかもしれないという不安。色んな感情が頭の中でぐちゃぐちゃになっていた。
その日は結局文字通り一睡も出来なかった。これほどまでに謙也のことを考えるなんて初めてだった。
*
朝食を取るために会場に向かっていると、曲がり角でばったり光と
「先輩なんスか、その目の下のクマ。また笑かそうとしてんスか」
「笑ってくれるなら本望だよ」
「全然笑えんスわ」
そんな会話をしていると、光の後ろから謙也が歩いて来るのが見えた。思わず光の後ろに隠れてしまう。
「何してんスか、先輩」
「お願い、何も言わずに隠れさせて」
「残念やけどはみ出しまくりや。はな、ちょっとこっち来い」
そんな私を気にかけることもなく、謙也は私にちょいちょいと手でこっちに来いと合図する。光の後ろで動けないでいると、何かを察したのか、虚しくも彼によってあっけなく謙也の前に差し出されてしまった。
「はい、どーぞ」
「あ、光の裏切り者!」
「いいから行くで」
私は身を縮こませて謙也のあとについていった。廊下の端っこ、誰も来ない場所で謙也は壁にもたれかかってわたしに目線を向けたけれど、わたしは昨日のことを思い出して気恥ずかしくてつい顔を逸らしてしまう。目が見れない。こんなこと、初めてだ。
「何でそんなクマ作っとんねん」
「な、何でって…」
「考えろとは言ったけど…考えすぎやろ」
「だ、だって、仕方ないでしょ!」
「俺、お前のこと困らせたくて告ったわけやないんやけど。まあ困るわな」
謙也もわたしから視線を外すと、ふうとため息をついた。謙也が勇気を出して告白してくれたんだから、わたしも逃げずに真剣に返事をしないといけない。
「一晩考えたけど、わたし…」
「おん」
「謙也のことは友達として好きだけど、やっぱり恋愛ってなると違うって言うか…」
「…まあ知ってるけど」
「ご、ごめん…」
言いながら、自然と涙が滲んだ。言葉にした途端、何か大切なものを失ってしまったような、もう後戻りが出来なくなってしまったような。
「何や、俺も自分の気持ち言うてスッキリしたわ。だからお前が泣く必要ないんやで」
「わ、わたし達って、これからどうなるの…?」
「どうって、今まで通り元に戻るだけや」
「と、友達でいられるってこと…?」
そう言いながら声が情けなく震えていた。それを察知して謙也は慌てだす。私の考えていたことが分かったのか、頭をぐしゃぐしゃと撫でてくれた。わたしは卑怯だ。謙也の気持ちに応えられないくせに、離れていってしまうのは嫌だと思ってしまう。
「そら俺かて最初は気まずいと思うで?一応ちゃんと好きやってんからな」
「…うん」
「でもはなとこれからも友達でおりたいっちゅーんは、俺も同じ気持ちや」
そう言ってニカッと笑った彼の笑顔はとても眩しかった。わたしが思っていた以上に謙也は強い。
「なあ、はな」
「うん…」
「最後に、一回だけ抱きしめてもええ?」
「えっ!ええと…い、良いよ」
大きな身体に抱きしめられて初めて分かった。謙也は、わたしが思っていたよりも、ずっとずっと"男の子"だった。
彼はわたしからそっと手を離すとさっきと同じくらい距離を取って、ふーっと一息ついた。
「とびっきりええ彼女作って、絶対後悔させたるからな」
「うん…謙也なら絶対良い子が現れるよ」
「当たり前や!ほな、先行っとくで」
手を振って会場に向かって行った謙也の背中は、とても男らしかった。自分の気持ちにちゃんと逃げずに向き合って、丸井くんを好きだと言うわたしにきもちを伝えてくれた。そんな彼からわたしも勇気を貰えた。
わたしも絶対に逃げない。ちゃんと丸井くんに気持ちを伝えるから。
