ブレイクスルー
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ある日の屋上、お馴染みメンバー、そして丸井くんで円を作るかのようにしてお昼休みを迎える。そしてきっちりと正座をするわたしは、非常に悩んでいた。これからお昼ご飯を食べようというときに気付いた丸井くんの状態。目の前の彼は、お金を忘れ、お弁当を忘れ、あげくの果てにはわたしのあげたお菓子さえもすべて食べ切ってしまった状態。心無しか丸井くんの周りを取り囲むのは負のオーラ。柳と柳生はそんな彼を気にすることなく自身のお弁当をそれはそれはおいしそうに食していた。丸井くんはまるでお預けを喰らったわんこのようだ。しゅんと沈んだ彼を救おうと思い口を開いたのは他のだれでもないわたし。
「丸井くん、わたしのお弁当どうぞ!」
「え、いいの?」
「わたしはこの程度の空腹では死にませんから!」
今にも灰になってしまいそうだった丸井くんは、さっきとは打って変わって目をきらきらと輝かせてわたしのお弁当箱を見つめた。そうさ、わたしはあと2時間授業を受けたら家に帰って何かしらご飯を食べられるけど、丸井くんは部活があるからそういうわけにはいかない。ただ気にする点があるといえば授業中にお腹鳴らないかな、ってことだけど、大丈夫。わたしはお腹が鳴らないようにする方法知ってますから!丸井くんは怖ず怖ずとわたしのお弁当を受け取って素早く蓋を開けると同時にぴたっと動きを止めた。それはもう一時停止ボタンを押したのではないだろうかというほど綺麗にぴたりと。うん、まあ無理もないかな。
「なあ、はな」
「な、何か?」
「これって食べられんの?」
「…少なくともわたしは食べようと思って持ってきました」
本来、お弁当とは綺麗な色合いをしているはず。だけどわたしの作ったお弁当の中身は、基本的には茶色で、奇跡的に本来の色を保っているのは卵焼きだけ。わたしが彼にお弁当をあげるかあげまいかで悩んでいたのはこれが原因。だいぶ前に丸井くんがお弁当を作っているという事実に少なからずショックを受けたわたしは、それから自分でお弁当を作っている。今はまだまだ修行段階だから彼にあげるなんて有り得ないと思っていたけど、この状況は例外でしょう。柳は丸井くんがぽかんとしている横からお箸を伸ばして、唯一綺麗に仕上がっていた卵焼きを取って口に運んだ。ああ、わたしの数少ない自信作。
「…塩と砂糖を間違えた確率98%というところだな」
「残りの2%は信じてくれてるんですね」
「いや、俺は信じていない」
「くうっ…」
分かってますとも、残りの2%は「もしかしたら砂糖じゃなくて何か他のものかもしれない」という疑いだということは。柳とわたしがぎゃーぎゃーと騒いでいる間、柳生はまるで私は関係ないとでもいうように自分のお弁当を黙々と食べていた。何気なく横目で丸井くんをちらっと盗み見ると、柳のように文句も言わずに、黙々とわたしのお弁当を口の中に収めていた。え、えええ…!作った張本人が言うのもなんだけど、このお弁当を食べて文句の一つも零れないなんて、それこそおかしい。今までわたしが自分のお弁当を食べてまずいと呟いたのは何回だっただろうと頭の片隅で思い出していたけど、回数なんて覚えてない。
「丸井くん?」
「もぐもぐ、なに?」
「ま、まずくないの?」
「んぐっ」
わたしがそう問うと、丸井くんは口の中にあったものを喉を鳴らしてごっくんと飲み干すと、口角を上げてわたしの大好きな笑顔を作った。
「まあちょっと味はあれだけど、お前が一生懸命作った弁当がまずいわけないじゃん」
初めはその言葉をお世辞かと疑ったけれど、厭味のない笑顔を信じようとわたしも笑った。横で柳がお弁当そっちのけでノートになにか書いていたけど、そんなことはどうでもよかった。この人を好きになれてよかったって思えたから。
ブレイクスルー
ていうか誰もお弁当取らないから少しくらい会話に入ろうよ、柳生くん
「丸井くん、わたしのお弁当どうぞ!」
「え、いいの?」
「わたしはこの程度の空腹では死にませんから!」
今にも灰になってしまいそうだった丸井くんは、さっきとは打って変わって目をきらきらと輝かせてわたしのお弁当箱を見つめた。そうさ、わたしはあと2時間授業を受けたら家に帰って何かしらご飯を食べられるけど、丸井くんは部活があるからそういうわけにはいかない。ただ気にする点があるといえば授業中にお腹鳴らないかな、ってことだけど、大丈夫。わたしはお腹が鳴らないようにする方法知ってますから!丸井くんは怖ず怖ずとわたしのお弁当を受け取って素早く蓋を開けると同時にぴたっと動きを止めた。それはもう一時停止ボタンを押したのではないだろうかというほど綺麗にぴたりと。うん、まあ無理もないかな。
「なあ、はな」
「な、何か?」
「これって食べられんの?」
「…少なくともわたしは食べようと思って持ってきました」
本来、お弁当とは綺麗な色合いをしているはず。だけどわたしの作ったお弁当の中身は、基本的には茶色で、奇跡的に本来の色を保っているのは卵焼きだけ。わたしが彼にお弁当をあげるかあげまいかで悩んでいたのはこれが原因。だいぶ前に丸井くんがお弁当を作っているという事実に少なからずショックを受けたわたしは、それから自分でお弁当を作っている。今はまだまだ修行段階だから彼にあげるなんて有り得ないと思っていたけど、この状況は例外でしょう。柳は丸井くんがぽかんとしている横からお箸を伸ばして、唯一綺麗に仕上がっていた卵焼きを取って口に運んだ。ああ、わたしの数少ない自信作。
「…塩と砂糖を間違えた確率98%というところだな」
「残りの2%は信じてくれてるんですね」
「いや、俺は信じていない」
「くうっ…」
分かってますとも、残りの2%は「もしかしたら砂糖じゃなくて何か他のものかもしれない」という疑いだということは。柳とわたしがぎゃーぎゃーと騒いでいる間、柳生はまるで私は関係ないとでもいうように自分のお弁当を黙々と食べていた。何気なく横目で丸井くんをちらっと盗み見ると、柳のように文句も言わずに、黙々とわたしのお弁当を口の中に収めていた。え、えええ…!作った張本人が言うのもなんだけど、このお弁当を食べて文句の一つも零れないなんて、それこそおかしい。今までわたしが自分のお弁当を食べてまずいと呟いたのは何回だっただろうと頭の片隅で思い出していたけど、回数なんて覚えてない。
「丸井くん?」
「もぐもぐ、なに?」
「ま、まずくないの?」
「んぐっ」
わたしがそう問うと、丸井くんは口の中にあったものを喉を鳴らしてごっくんと飲み干すと、口角を上げてわたしの大好きな笑顔を作った。
「まあちょっと味はあれだけど、お前が一生懸命作った弁当がまずいわけないじゃん」
初めはその言葉をお世辞かと疑ったけれど、厭味のない笑顔を信じようとわたしも笑った。横で柳がお弁当そっちのけでノートになにか書いていたけど、そんなことはどうでもよかった。この人を好きになれてよかったって思えたから。
ブレイクスルー
ていうか誰もお弁当取らないから少しくらい会話に入ろうよ、柳生くん
