ブレイクスルー
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まだリアルに覚えている。あの頬っぺたに触れた生々しいほどに柔らかい感触と、彼の食べていたグリーンアップルガムの香りと、あの時視界に広がった光景とか耳に入ってきた雑音とか。いや、忘れられるほうがおかしいだろう。というか昨日の紹介という名の儀式は結局何だったのだろうか。そんなことを考えながら靴を履きかえようと下駄箱に手を掛けた。上履きに履きかえて教室に向かおうとすると、肩をぽんと叩かれた。
「おはよう、たなかさん」
「あ、幸村くん!おはよう」
普通に並んで歩いてるけど、わたしなんかが天下の幸村くんとご一緒しちゃっていいんだろうか。あ!そうだそうだ。頑張って仲良くなってりなちゃん宛にサイン書いてもらっちゃおっと。なんか今、ものすごく人のために何かをしてあげたい気分!
「それにしても、昨日は驚いたな」
「え、何が?」
「ブン太がみんなにたなかさんを紹介したこと」
「え、昨日の儀式って珍しいものなの!?」
わたしがそう言うと、幸村くんは一瞬驚いたように目を見開かせて、次の瞬間には可笑しそうに笑った。
「儀式…?珍しいも何も、昨日みたいなのは初めてだよ」
「そそそ、そうなの?へ、へえー。そうなんだー」
「みんなに紹介したいほど、君がお気に入りなんじゃない?」
「え!お、お気に入り!?ってそんなわけ…いや、あったらいいですけど…っ」
幸村くんと別れて教室に入ると、すぐに柳生が目に入った。いつも通り眼鏡をきらりと光らせて、だけどその奥の視線がわたしに向けられているということはすぐにわかった。またいらないこと言ってきそうだな…。いやこれはきっとわたしが丸井くんを好きな以上避けては通れない道なんだよね。受けてたとうじゃないか柳生くん。
「おはよう、柳生」
「おはようございます。どうですか?今の心境は」
「え?」
何を言い出すかと思えば、今の心境って。さっき幸村くんから言われたこととかを思い出すとそりゃ嬉しいし、けれど喜んでいいことなのかはよく分からない。でもやっぱり頬っぺにキスはなかなか味わえないと思う。にやにやし始めたわたしを柳生は変な目で見据えた。
「やはりあなたは理解していないようですね…」
「え、なにを」
「丸井くんはたなかさんを『お菓子をくれる人』としか思っていませんよ。みんなにそう紹介したわけですから」
昨日特別だと言われていましたね。あれは、そうですね。つまりあなたはお菓子をたくさんくれる特別な人だということです。丸井くんはきっとあなたのことをそれ以上ともそれ以下とも見ていません。進展する確率は0に近い、いや、もしかしたらマイナスかもしれませんね。それでですね、丸井くんは、うんたらかんたら…。
…また始まった。これ意外と傷付くっていうこと、伝えた方がいいんだろうか。そんなことは痛いほど分かってる。だけど、ちょっと前までは話すこともできない関係だったんだから、それって進展したってことなんじゃないの?今はそれで我慢、いやいや、充分だよ。
「柳生」
「どうしました?」
「わたし、長期戦でいくから、気にしないことにしたの」
「そうですか…」
多分誰に何を言われたって諦められないだろうし、まだまだ時間はあるんだし。結果がどうなろうと最善を尽くすまで。
「そこまで言うならわたしも温かく見守ってあげましょう」
「すごく上からだね」
うん、がんばろう。いつかお菓子をくれるっていう意味の特別じゃなくて、恋愛対象での特別になるように。
ブレイクスルー
そう言い聞かせないとやっていけません
「おはよう、たなかさん」
「あ、幸村くん!おはよう」
普通に並んで歩いてるけど、わたしなんかが天下の幸村くんとご一緒しちゃっていいんだろうか。あ!そうだそうだ。頑張って仲良くなってりなちゃん宛にサイン書いてもらっちゃおっと。なんか今、ものすごく人のために何かをしてあげたい気分!
「それにしても、昨日は驚いたな」
「え、何が?」
「ブン太がみんなにたなかさんを紹介したこと」
「え、昨日の儀式って珍しいものなの!?」
わたしがそう言うと、幸村くんは一瞬驚いたように目を見開かせて、次の瞬間には可笑しそうに笑った。
「儀式…?珍しいも何も、昨日みたいなのは初めてだよ」
「そそそ、そうなの?へ、へえー。そうなんだー」
「みんなに紹介したいほど、君がお気に入りなんじゃない?」
「え!お、お気に入り!?ってそんなわけ…いや、あったらいいですけど…っ」
幸村くんと別れて教室に入ると、すぐに柳生が目に入った。いつも通り眼鏡をきらりと光らせて、だけどその奥の視線がわたしに向けられているということはすぐにわかった。またいらないこと言ってきそうだな…。いやこれはきっとわたしが丸井くんを好きな以上避けては通れない道なんだよね。受けてたとうじゃないか柳生くん。
「おはよう、柳生」
「おはようございます。どうですか?今の心境は」
「え?」
何を言い出すかと思えば、今の心境って。さっき幸村くんから言われたこととかを思い出すとそりゃ嬉しいし、けれど喜んでいいことなのかはよく分からない。でもやっぱり頬っぺにキスはなかなか味わえないと思う。にやにやし始めたわたしを柳生は変な目で見据えた。
「やはりあなたは理解していないようですね…」
「え、なにを」
「丸井くんはたなかさんを『お菓子をくれる人』としか思っていませんよ。みんなにそう紹介したわけですから」
昨日特別だと言われていましたね。あれは、そうですね。つまりあなたはお菓子をたくさんくれる特別な人だということです。丸井くんはきっとあなたのことをそれ以上ともそれ以下とも見ていません。進展する確率は0に近い、いや、もしかしたらマイナスかもしれませんね。それでですね、丸井くんは、うんたらかんたら…。
…また始まった。これ意外と傷付くっていうこと、伝えた方がいいんだろうか。そんなことは痛いほど分かってる。だけど、ちょっと前までは話すこともできない関係だったんだから、それって進展したってことなんじゃないの?今はそれで我慢、いやいや、充分だよ。
「柳生」
「どうしました?」
「わたし、長期戦でいくから、気にしないことにしたの」
「そうですか…」
多分誰に何を言われたって諦められないだろうし、まだまだ時間はあるんだし。結果がどうなろうと最善を尽くすまで。
「そこまで言うならわたしも温かく見守ってあげましょう」
「すごく上からだね」
うん、がんばろう。いつかお菓子をくれるっていう意味の特別じゃなくて、恋愛対象での特別になるように。
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そう言い聞かせないとやっていけません
