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正直初めは、話したこともないのになんで嫌われてるのかよく分からなかった。ただ気に食わないだけなら分かる。でも、あいつは俺を見る度に嫌いだ嫌いだって喚いて、こっちからしたらわけ分かんねえ。言われっぱなしは性に合わないから俺も仕返しとばかりに色々言っているうちに喧嘩友達、みたいな関係になって。劇の時だって俺はあいつと主役を任せられたこと、別に嫌じゃなかった。美人で優しい奴なんか望んでもいなかった。ただあいつが一方的に俺とやるのが嫌って言うんなら、それはそれで悔しいから。もし王子役が俺じゃない誰かだったら、って。そう考えたらなんとなく変な気持ちになった。もしかしたらあいつにキスしてたのは俺じゃなくて他の誰かだったかもしれないってことだろ?
「何やってんだよぃ。早く立てよ」
「…足ぐねった」
「は?」
座り込んだままのたなかから返ってきた言葉は今まで聞いたことがないほど情けない声だった。俺のせいかどうかもあやふやだけど、怪我をさせてしまったという考えが頭の中を渦巻いて馬鹿にすることも忘れて無意識に抱き上げていた。もちろんこいつは全力で嫌がってたけど。
「いってえな、お前大人しくしてねえと落っことすぞ」
「ちょ、あんた自分が何やってるかわかってんの!」
「立てねえんならしょうがねえだろぃ」
「~~っ!」
俺がそう言うと顔を赤らめながらも俯いて大人しくなった。今まで言い合いで勝ったことなんかあっただろうか。そう思うほどに今日の彼女はいつもと違った感じがした。保健室で見たこいつの足首は意外にも腫れ上がっていて、痛々しかった。転んだだけでここまで腫れることにある意味感心だ。
「家からチャリ取ってくるからそこで待ってろぃ」
「………」
「返事聞こえねえ。もし帰ったら次こそデコピン喰らわす」
「…はーい」
多分俺に従うことが嫌なんだろう、返事は弱々しかった。学校を出る前に真田に事情を話して部活に遅れることを伝えると、軽く頭を殴られた。「いかなる理由があろうとも女子に怪我をさせるとはたるんどる!」って言われて、なんか惨めな気持ちになった。怪我をした原因を辿るとあいつが俺を挑発したから。って思ったけど、女子を本気で追い掛けた俺も悪かったのかな。そんなことを考えながら走って家から自転車を取ってきて急いで学校に戻ると、保健室でさっきの状態のまま椅子に座っていた彼女に内心ほっとした。帰ってしまうかもしれないってことも想定していたから。彼女を家に送り届けるまでは特に必要以上の会話はなかった。話す必要なんかないけど、それはそれで変な感じがした。俺を侮辱するような言葉がひとつも聞こえてこなかったから。それほど弱っているたなかもなんだか変な感じだ。彼女の家に着くと、そっと荷台から降りて俯き加減で口を開いた。
「あ、りがとうございました…」
「語尾ちっせえな」
「う、うるさい!」
「へいへい、じゃあな」
いつもと違うたなかに思わず笑みが零れた。あんなに普通に話したのは初めてかもしれないと思うほどに新鮮に感じる。そんなことがあった数日後に見掛けた、告白現場。何も言わずそのまま教室に入ればいいものの、俺はこいつを挑発することしか頭にないらしい。いつもの調子だと思っていたから、こいつの声が震えたときには驚いた。
「可愛くないって、自分が一番よくわかってる」
いつもなら教科書で叩くか睨みつけてくるか。いつものこいつならこの2つのどっちかなのに。震えながらそう言ったたなかの背中はすごく小さく見えた。違うよ。お前、本当は可愛いんだ。ただ、悔しいから絶対言葉にはしない。お前が俺を嫌いだって言い続ける限り、俺もお前に弱みを見せるわけにはいかないんだ。俺にしたら何気ない言葉のつもりだったけど、傷付いたんなら悪いことをしたと思って頭をぽんと一撫でしてやった。
「悪かったな」
それだけ言うと、これ以上余計なことを言わないために教室からすぐに出て行った。あいつを喜ばす言葉を掛ける奴はどんな奴なんだろうか。俺はあいつの嫌がることしか言えない。その日から俺たちが話すことはなく、もう卒業式が目前に迫っていた。
「何やってんだよぃ。早く立てよ」
「…足ぐねった」
「は?」
座り込んだままのたなかから返ってきた言葉は今まで聞いたことがないほど情けない声だった。俺のせいかどうかもあやふやだけど、怪我をさせてしまったという考えが頭の中を渦巻いて馬鹿にすることも忘れて無意識に抱き上げていた。もちろんこいつは全力で嫌がってたけど。
「いってえな、お前大人しくしてねえと落っことすぞ」
「ちょ、あんた自分が何やってるかわかってんの!」
「立てねえんならしょうがねえだろぃ」
「~~っ!」
俺がそう言うと顔を赤らめながらも俯いて大人しくなった。今まで言い合いで勝ったことなんかあっただろうか。そう思うほどに今日の彼女はいつもと違った感じがした。保健室で見たこいつの足首は意外にも腫れ上がっていて、痛々しかった。転んだだけでここまで腫れることにある意味感心だ。
「家からチャリ取ってくるからそこで待ってろぃ」
「………」
「返事聞こえねえ。もし帰ったら次こそデコピン喰らわす」
「…はーい」
多分俺に従うことが嫌なんだろう、返事は弱々しかった。学校を出る前に真田に事情を話して部活に遅れることを伝えると、軽く頭を殴られた。「いかなる理由があろうとも女子に怪我をさせるとはたるんどる!」って言われて、なんか惨めな気持ちになった。怪我をした原因を辿るとあいつが俺を挑発したから。って思ったけど、女子を本気で追い掛けた俺も悪かったのかな。そんなことを考えながら走って家から自転車を取ってきて急いで学校に戻ると、保健室でさっきの状態のまま椅子に座っていた彼女に内心ほっとした。帰ってしまうかもしれないってことも想定していたから。彼女を家に送り届けるまでは特に必要以上の会話はなかった。話す必要なんかないけど、それはそれで変な感じがした。俺を侮辱するような言葉がひとつも聞こえてこなかったから。それほど弱っているたなかもなんだか変な感じだ。彼女の家に着くと、そっと荷台から降りて俯き加減で口を開いた。
「あ、りがとうございました…」
「語尾ちっせえな」
「う、うるさい!」
「へいへい、じゃあな」
いつもと違うたなかに思わず笑みが零れた。あんなに普通に話したのは初めてかもしれないと思うほどに新鮮に感じる。そんなことがあった数日後に見掛けた、告白現場。何も言わずそのまま教室に入ればいいものの、俺はこいつを挑発することしか頭にないらしい。いつもの調子だと思っていたから、こいつの声が震えたときには驚いた。
「可愛くないって、自分が一番よくわかってる」
いつもなら教科書で叩くか睨みつけてくるか。いつものこいつならこの2つのどっちかなのに。震えながらそう言ったたなかの背中はすごく小さく見えた。違うよ。お前、本当は可愛いんだ。ただ、悔しいから絶対言葉にはしない。お前が俺を嫌いだって言い続ける限り、俺もお前に弱みを見せるわけにはいかないんだ。俺にしたら何気ない言葉のつもりだったけど、傷付いたんなら悪いことをしたと思って頭をぽんと一撫でしてやった。
「悪かったな」
それだけ言うと、これ以上余計なことを言わないために教室からすぐに出て行った。あいつを喜ばす言葉を掛ける奴はどんな奴なんだろうか。俺はあいつの嫌がることしか言えない。その日から俺たちが話すことはなく、もう卒業式が目前に迫っていた。
