沫系
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思い出したいわけじゃないけど、忘れられないんだもの。
「お前さんはもう、ブン太のことは吹っ切ったんか?」
授業中にも関わらず騒がしい教室なのに、隣から飛んできた言葉はやけに耳に響いた。仁王はいつもの鋭い目で私を横目に、シャーペンを器用にくるくると回していた。黒板に書かれた文字を写すこともせずにぼうっとしていた私の周りには、きっと疑問符でも浮かんでたんじゃないかと思う。仁王へと目を向けながらも、頭の中ではいろいろな考えが止まなかった。吹っ切る、って、なに?もう綺麗さっぱり、忘れちゃうってこと?答えなんてわからない。いつだって悩まされ続けてきたんだから。
「仁王」
「何じゃ?」
「恋愛って、一人じゃできないんだね」
ブン太と別れてから、この一つだけは確かに感じてしまった。ブン太がいないと楽しくない。ブン太が笑ってたって、その中に私はいない。ブン太を想ってたって、それはただの私の気持ちに過ぎない。ただの一方通行の、片思いの気持ち。初めは、別れることで楽になれるんじゃないかって思ってた。なのにそんなの全く無意味で、余計に辛くて、虚しくなるだけ。二人の間に感じてた距離を見えないふりして、付き合い続けてたら良かったのかな。
「変なこと聞いてすまんの」
「あはは、何それ。仁王らしくないよ」
仁王にまで気を遣われるなんて、私相当やばいのかもしれない。うじうじしてるだけで、後悔ばかりして。何も変わらない様子で笑うブン太を見ていると、私が特別だったって思う一年間はブン太にとってはなんでもないものだったのかもしれない。後ろの方で楽しそうに話すブン太の声を聞きながら、シャーペンをノートの上に滑らせた。
「次体育だよ、早く行こ」
「うん、行こっか」
着替えるために一階にある更衣室へ向かおうと階段を降りると、さっきまで体育の授業だったのか、二年生が体操着のままぞろぞろと歩いていた。その中から誰かが私の名前を大声で呼ぶこえが聞こえた。その声の主はぴょんぴょん跳ねながらこっちに向かって派手に手を降っているかと思えば、すぐに目の前にやってきた。
「お久しぶりっス」
「赤也くん!」
「俺、バスケですげえ活躍したんスよ!先輩にも見せたかったっス」
「バスケも出来るんだ。ちょっと見たかったかも」
嬉しそうに話す赤也くんはなんだか見てて楽しいかも。こんなに可愛い後輩がいるなんて、ブン太が羨ましいな。あまり練習を見に行ったことはないけど、きっとテニス部はすごく賑やかなんだろうと、赤也くんを前にして簡単にその光景が頭に浮かんだ。
「じゃ、先輩も頑張って下さいよ」
「うん、またね」
赤也くんに向かってひらひらと手を振ると、私たちも更衣室へと再び足を進めた。と同時に隣にいたりなちゃんが私の腕に抱きついて不貞腐れたように呟いた。
「えらく懐かれてるじゃない」
「え、私が?」
「だってあたし忘れられてたわよ」
懐く、って。軽く動物扱いされちゃってる。確かに赤也くんってなんとなく、犬っぽいかも。
むずかしいことのように恋に落ちる
あの時に戻る、なんて。きっと神様でさえ出来やしない。
「お前さんはもう、ブン太のことは吹っ切ったんか?」
授業中にも関わらず騒がしい教室なのに、隣から飛んできた言葉はやけに耳に響いた。仁王はいつもの鋭い目で私を横目に、シャーペンを器用にくるくると回していた。黒板に書かれた文字を写すこともせずにぼうっとしていた私の周りには、きっと疑問符でも浮かんでたんじゃないかと思う。仁王へと目を向けながらも、頭の中ではいろいろな考えが止まなかった。吹っ切る、って、なに?もう綺麗さっぱり、忘れちゃうってこと?答えなんてわからない。いつだって悩まされ続けてきたんだから。
「仁王」
「何じゃ?」
「恋愛って、一人じゃできないんだね」
ブン太と別れてから、この一つだけは確かに感じてしまった。ブン太がいないと楽しくない。ブン太が笑ってたって、その中に私はいない。ブン太を想ってたって、それはただの私の気持ちに過ぎない。ただの一方通行の、片思いの気持ち。初めは、別れることで楽になれるんじゃないかって思ってた。なのにそんなの全く無意味で、余計に辛くて、虚しくなるだけ。二人の間に感じてた距離を見えないふりして、付き合い続けてたら良かったのかな。
「変なこと聞いてすまんの」
「あはは、何それ。仁王らしくないよ」
仁王にまで気を遣われるなんて、私相当やばいのかもしれない。うじうじしてるだけで、後悔ばかりして。何も変わらない様子で笑うブン太を見ていると、私が特別だったって思う一年間はブン太にとってはなんでもないものだったのかもしれない。後ろの方で楽しそうに話すブン太の声を聞きながら、シャーペンをノートの上に滑らせた。
「次体育だよ、早く行こ」
「うん、行こっか」
着替えるために一階にある更衣室へ向かおうと階段を降りると、さっきまで体育の授業だったのか、二年生が体操着のままぞろぞろと歩いていた。その中から誰かが私の名前を大声で呼ぶこえが聞こえた。その声の主はぴょんぴょん跳ねながらこっちに向かって派手に手を降っているかと思えば、すぐに目の前にやってきた。
「お久しぶりっス」
「赤也くん!」
「俺、バスケですげえ活躍したんスよ!先輩にも見せたかったっス」
「バスケも出来るんだ。ちょっと見たかったかも」
嬉しそうに話す赤也くんはなんだか見てて楽しいかも。こんなに可愛い後輩がいるなんて、ブン太が羨ましいな。あまり練習を見に行ったことはないけど、きっとテニス部はすごく賑やかなんだろうと、赤也くんを前にして簡単にその光景が頭に浮かんだ。
「じゃ、先輩も頑張って下さいよ」
「うん、またね」
赤也くんに向かってひらひらと手を振ると、私たちも更衣室へと再び足を進めた。と同時に隣にいたりなちゃんが私の腕に抱きついて不貞腐れたように呟いた。
「えらく懐かれてるじゃない」
「え、私が?」
「だってあたし忘れられてたわよ」
懐く、って。軽く動物扱いされちゃってる。確かに赤也くんってなんとなく、犬っぽいかも。
むずかしいことのように恋に落ちる
あの時に戻る、なんて。きっと神様でさえ出来やしない。
