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今日は一ヶ月に一回ほど回ってくる嫌な日直の日。同じく日直である男子は彼女とデートらしく後は任せたとわたしに両手を合わせてさっさと帰っていった。まあいいけどさ、別に。変に二人っきりになるのもなんとなく困る気がするし。自分の机で日誌を書いていると、がらっと教室のドアが開いた。そこにはジャージを着た丸井がいて、わたしを見るなりげんなりした表情になった。
「わたしだって好きでいるわけじゃないからね」
「何も言ってねえだろぃ」
「顔が言ってるよ顔が」
呆れた顔をして自分の机に向かう丸井の横顔はものすごく綺麗だった。そんなことを考える自分が悔しくてぎゅっとシャーペンを握りしめる。
「丸井のブタ野郎」
「あ?待てこら!」
こんなことが言いたいわけじゃないのに、わたしの口から出る言葉は人を傷付けるものや汚いものだらけ。…丸井に対してだけだけど。教室を飛び出して宛もなく走り出すと、後ろから丸井がすごい形相をして追い掛けてくる。捕まったらただじゃ済まなさそう。あれ、ていうか前にもこんなことがあったような。
「お前絶対デコピンで弾け飛ばす!」
「ばーか!わたしにデコピン喰らわすなんて百年はや…っ」
「!」
「い!」
自分の足に引っ掛かって派手に廊下にダイブしてしまった。こけた状態のまましばらく動けなかったのは、丸井が後ろで爆笑しているから。きっとを腹を抱えているに違いない。恥ずかしさに堪えながらも上体を起こすと、笑いすぎて半泣きになっている丸井を睨みつけた。くっそう、人がこけたっていうのにそんなに笑うなんてひどすぎる。これがわたしじゃない他の誰かだったらもっと違う対応だったんだろうけど。さっさとこの場から立ち去ろうと足に力を入れると、予想外の痛みに襲われた。
「いっ、」
「何やってんだよぃ。早く立てよ」
「…足ぐねった」
「は?」
情けない声を出した自分が恥ずかしい。こんな醜態を見たら丸井は黙ってるわけないだろう。絶対さっきみたいに爆笑してこれほどにないぐらいわたしを馬鹿にするんだ。もういいや、好きなだけ笑ってくれればいいよ。そんなことを考えながら俯いていると、突然身体がふわっと浮き上がった。慌てて顔をあげると丸井の顔が近くて思わず頬を掌で押しのけてしまった。そう、これは俗にいうお姫様抱っこに違いない。
「いってえな、お前大人しくしてねえと落っことすぞ」
「ちょ、あんた自分が何やってるか分かってんの!」
「立てねえんならしょうがねえだろぃ」
「~~っ!」
たしかに立てない、けど!もっと他に方法があるんじゃないかと思いつつ大人しく俯いた。落っことされるのは勘弁だ。っていうかやっぱりテニス部は鍛えられてるんだなあと感心しながらわたしを支える腕を眺めた。いっつもお菓子食べてるから脂肪だと思ってたけど、これは筋肉なのか。階段を降りて保健室に辿り着くと、丸井はわたしを抱き上げたまま器用にドアを開けて中に入った。
「うわ、腫れてる」
「うそ!」
「つーかどうやったらそんな器用にこけれんだよぃ」
荒々しく椅子にわたしを座らせた丸井は、靴下を脱がせて足首の腫れたところに湿布を貼った。部活でもよくこういうことをするんだろうか。手慣れたところを見て単純にそう思った。
「家からチャリ取ってくるからそこで待ってろぃ」
「………」
「返事聞こえねえ。もし帰ったら次こそデコピン喰らわす」
「…はーい」
多分今おでこに指を定められたら足の痛みで逃げることなんて出来ないだろう。だってまともに歩けないし。しばらくして自転車を持って戻ってきた丸井の荷台に乗せられて、生まれて初めての男子との二人乗りの相手が丸井ということに決定した。帰り道はわたしが自分の家までの道のりを教えただけで、それ以外に会話はなかった。ただ立海テニス部のジャージを着た丸井の広い背中から目が離せずにいた。
「あ、りがとうございました…」
「語尾ちっせえな」
「う、うるさい!」
「へいへい、じゃあな」
丸井は手を振って自転車で学校へと戻っていった。丸井の笑った顔をあんなにまともに見たのは初めてかもしれない。わたしは一体、何がしたいんだろう。
「わたしだって好きでいるわけじゃないからね」
「何も言ってねえだろぃ」
「顔が言ってるよ顔が」
呆れた顔をして自分の机に向かう丸井の横顔はものすごく綺麗だった。そんなことを考える自分が悔しくてぎゅっとシャーペンを握りしめる。
「丸井のブタ野郎」
「あ?待てこら!」
こんなことが言いたいわけじゃないのに、わたしの口から出る言葉は人を傷付けるものや汚いものだらけ。…丸井に対してだけだけど。教室を飛び出して宛もなく走り出すと、後ろから丸井がすごい形相をして追い掛けてくる。捕まったらただじゃ済まなさそう。あれ、ていうか前にもこんなことがあったような。
「お前絶対デコピンで弾け飛ばす!」
「ばーか!わたしにデコピン喰らわすなんて百年はや…っ」
「!」
「い!」
自分の足に引っ掛かって派手に廊下にダイブしてしまった。こけた状態のまましばらく動けなかったのは、丸井が後ろで爆笑しているから。きっとを腹を抱えているに違いない。恥ずかしさに堪えながらも上体を起こすと、笑いすぎて半泣きになっている丸井を睨みつけた。くっそう、人がこけたっていうのにそんなに笑うなんてひどすぎる。これがわたしじゃない他の誰かだったらもっと違う対応だったんだろうけど。さっさとこの場から立ち去ろうと足に力を入れると、予想外の痛みに襲われた。
「いっ、」
「何やってんだよぃ。早く立てよ」
「…足ぐねった」
「は?」
情けない声を出した自分が恥ずかしい。こんな醜態を見たら丸井は黙ってるわけないだろう。絶対さっきみたいに爆笑してこれほどにないぐらいわたしを馬鹿にするんだ。もういいや、好きなだけ笑ってくれればいいよ。そんなことを考えながら俯いていると、突然身体がふわっと浮き上がった。慌てて顔をあげると丸井の顔が近くて思わず頬を掌で押しのけてしまった。そう、これは俗にいうお姫様抱っこに違いない。
「いってえな、お前大人しくしてねえと落っことすぞ」
「ちょ、あんた自分が何やってるか分かってんの!」
「立てねえんならしょうがねえだろぃ」
「~~っ!」
たしかに立てない、けど!もっと他に方法があるんじゃないかと思いつつ大人しく俯いた。落っことされるのは勘弁だ。っていうかやっぱりテニス部は鍛えられてるんだなあと感心しながらわたしを支える腕を眺めた。いっつもお菓子食べてるから脂肪だと思ってたけど、これは筋肉なのか。階段を降りて保健室に辿り着くと、丸井はわたしを抱き上げたまま器用にドアを開けて中に入った。
「うわ、腫れてる」
「うそ!」
「つーかどうやったらそんな器用にこけれんだよぃ」
荒々しく椅子にわたしを座らせた丸井は、靴下を脱がせて足首の腫れたところに湿布を貼った。部活でもよくこういうことをするんだろうか。手慣れたところを見て単純にそう思った。
「家からチャリ取ってくるからそこで待ってろぃ」
「………」
「返事聞こえねえ。もし帰ったら次こそデコピン喰らわす」
「…はーい」
多分今おでこに指を定められたら足の痛みで逃げることなんて出来ないだろう。だってまともに歩けないし。しばらくして自転車を持って戻ってきた丸井の荷台に乗せられて、生まれて初めての男子との二人乗りの相手が丸井ということに決定した。帰り道はわたしが自分の家までの道のりを教えただけで、それ以外に会話はなかった。ただ立海テニス部のジャージを着た丸井の広い背中から目が離せずにいた。
「あ、りがとうございました…」
「語尾ちっせえな」
「う、うるさい!」
「へいへい、じゃあな」
丸井は手を振って自転車で学校へと戻っていった。丸井の笑った顔をあんなにまともに見たのは初めてかもしれない。わたしは一体、何がしたいんだろう。
