唇で紡ぐ哀
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ごめんね、ブン太」
いろんな意味を込めてブン太にちゃんと謝ろうと思って口にした言葉。ブン太は元気だと勝手に思い込んでいたこと、自分まで不安になってしまっていたこと、無理に笑わせていたこと。せっかく泣き止んだというのに、思い出すだけでまた涙が滲みそうになった。そんなわたしを見て、ブン太はまた優しく抱きしめてくれた。お前は悪くないんだ、って。そう言ってくれている気がして、わたしは本当に幸せ者だと思う。またわたしが慰めてもらうなんて、彼女失格だね。だけど今だけは泣くことを許してほしい。
ブン太はわたしの両肩に手を置くと、優しく唇を重ねた。それと同時に目を閉じて、彼のことだけを考える。好きだよって意味を込めてキスに応えると、ちゅっと音を立てて離れたブン太の唇は、次はわたしの頬に触れた。
「ふふ、擽 ったいよ」
ブン太もわたしと同じように笑うと、頭を優しく撫ぜてくれた。いつも通りあたたかい掌にひどく安心した。ありがとな、と口パクで言った言葉にわたしの方こそありがとうと即座に答えた。
「あ…もうそろそろ面会時間終わりだ。お菓子ばっかり食べちゃ駄目だからね!…無理だろうけど」
わたしがそう言うとブン太は可笑しそうに笑った。やっぱりブン太には笑ってて欲しいなって思える。だからわたしなりにブン太の悲しみを減らしてあげたいなって。また来るからね、と一言残して出口に向かうと、ブン太は笑いながらも手を振ってくれた。ドアを閉めようとそっと手を掛けたところでわたしを呼ぶ声が聞こえた。
「…っ、はな!」
「え…?」
わたしを呼んだ低い声は、以前聞き慣れていた大好きなブン太の声だった。しばらく頭の中が真っ白になって、さっき聞こえたばかりの声だけが頭の中をぐるぐる回っていた。
「ブン太、今、話した…?」
空耳だったのかもしれないと思いつつも、もしかして、と希望を抱きながら閉めかけたドアを再び開けてブン太を見遣った。彼自身訳がわからない様子で、ぽかんとした表情でわたしを見つめていた。
「声、出た…」
「ほ、ほんとだ…!」
今度こそ確かにブン太の声だと確信して、彼のいるベッドに向かった。まだ話しにくそうな上に声は少し枯れているけれど、声が出たことは事実だ。嬉しくてて嬉しくて、勢いよく彼に抱き着いた。うお、と低い声が聞こえてまた嬉しくなる。
「ブン太、良かった!ほんとに良かったぁ…っ」
「うん、俺もうれしー」
久しぶりに聞いたブン太の声色は本当に嬉しそうで、わたしも余計に嬉しくなった。きつく抱きしめていた手を離すと、心の底からの笑顔を見せたブン太と目が合った。
「ほんとに良かったね」
「…おう、まじで一生話せねえかと思ったぜぃ」
「うん…」
「ごめんな。今日は弱音吐いたりして」
「謝らないでよ。私は嬉しかったもん」
わたしがそう言うとブン太は罰が悪そうに緩く笑った。そんな表情が可愛いとも思う。可愛いね、なんて言いながら彼の頭を撫でると、恥ずかしそうにやめろ!と言って手を振り払われた。拗ねたふりをしてみたら不意に掌を掴まれて。ブン太はわたしの手を握ったまま口を開いた。
「でも俺、話せなくてよかったのかもしんねえ」
「どうして…?」
「だってあの時余裕なかったからお前を困らすことしか言えそうになかったし」
まだここに居て欲しいとか、あわよくば泊まってって欲しいとか、あんま男と喋り過ぎんなよとか、汚えことばっか考えてた。そう話したブン太の気持ちを初めて知った。
「あと、お前が…」
「うん?」
「…何でもねえ」
「ち、ちゃんと言って!」
せっかく話せるようになったのに、隠し事なんて悲しい。それにどうせならブン太の気持ちを全部知りたい。そう思って背けられてしまった彼の顔を覗き込むと、真っ赤になっていた。
「お前が…仁王とか赤也の話ばっかしてたのが嫌だったっつーか…」
「…やきもち?」
「う、うるせえ!」
だから言いたくなかったんだよ、とわたしから手を離して拗ねてしまったブン太に愛されてるんだなあと実感した。嬉しくて思わずにやついてしまう頬を両手でさすっていると、未だに顔の赤いブン太に緩く睨まれた。
「にやつくな」
「嬉しいんだからしょうがないでしょ」
「…ばーか」
ブン太はまたわたしの腕を引いて、顔を近づけてきた。それを合図にゆっくり目を閉じる。その瞬間、視界に入ったのは机の隅に置かれた筆談用の紙とペン。わたしとブン太を繋ぎ止めてくれて、本当にありがとう。
君の声は私の希望
お前が彼女で良かった。そう言った彼のすべてがわたしの宝物なのだ。
-END-
いろんな意味を込めてブン太にちゃんと謝ろうと思って口にした言葉。ブン太は元気だと勝手に思い込んでいたこと、自分まで不安になってしまっていたこと、無理に笑わせていたこと。せっかく泣き止んだというのに、思い出すだけでまた涙が滲みそうになった。そんなわたしを見て、ブン太はまた優しく抱きしめてくれた。お前は悪くないんだ、って。そう言ってくれている気がして、わたしは本当に幸せ者だと思う。またわたしが慰めてもらうなんて、彼女失格だね。だけど今だけは泣くことを許してほしい。
ブン太はわたしの両肩に手を置くと、優しく唇を重ねた。それと同時に目を閉じて、彼のことだけを考える。好きだよって意味を込めてキスに応えると、ちゅっと音を立てて離れたブン太の唇は、次はわたしの頬に触れた。
「ふふ、
ブン太もわたしと同じように笑うと、頭を優しく撫ぜてくれた。いつも通りあたたかい掌にひどく安心した。ありがとな、と口パクで言った言葉にわたしの方こそありがとうと即座に答えた。
「あ…もうそろそろ面会時間終わりだ。お菓子ばっかり食べちゃ駄目だからね!…無理だろうけど」
わたしがそう言うとブン太は可笑しそうに笑った。やっぱりブン太には笑ってて欲しいなって思える。だからわたしなりにブン太の悲しみを減らしてあげたいなって。また来るからね、と一言残して出口に向かうと、ブン太は笑いながらも手を振ってくれた。ドアを閉めようとそっと手を掛けたところでわたしを呼ぶ声が聞こえた。
「…っ、はな!」
「え…?」
わたしを呼んだ低い声は、以前聞き慣れていた大好きなブン太の声だった。しばらく頭の中が真っ白になって、さっき聞こえたばかりの声だけが頭の中をぐるぐる回っていた。
「ブン太、今、話した…?」
空耳だったのかもしれないと思いつつも、もしかして、と希望を抱きながら閉めかけたドアを再び開けてブン太を見遣った。彼自身訳がわからない様子で、ぽかんとした表情でわたしを見つめていた。
「声、出た…」
「ほ、ほんとだ…!」
今度こそ確かにブン太の声だと確信して、彼のいるベッドに向かった。まだ話しにくそうな上に声は少し枯れているけれど、声が出たことは事実だ。嬉しくてて嬉しくて、勢いよく彼に抱き着いた。うお、と低い声が聞こえてまた嬉しくなる。
「ブン太、良かった!ほんとに良かったぁ…っ」
「うん、俺もうれしー」
久しぶりに聞いたブン太の声色は本当に嬉しそうで、わたしも余計に嬉しくなった。きつく抱きしめていた手を離すと、心の底からの笑顔を見せたブン太と目が合った。
「ほんとに良かったね」
「…おう、まじで一生話せねえかと思ったぜぃ」
「うん…」
「ごめんな。今日は弱音吐いたりして」
「謝らないでよ。私は嬉しかったもん」
わたしがそう言うとブン太は罰が悪そうに緩く笑った。そんな表情が可愛いとも思う。可愛いね、なんて言いながら彼の頭を撫でると、恥ずかしそうにやめろ!と言って手を振り払われた。拗ねたふりをしてみたら不意に掌を掴まれて。ブン太はわたしの手を握ったまま口を開いた。
「でも俺、話せなくてよかったのかもしんねえ」
「どうして…?」
「だってあの時余裕なかったからお前を困らすことしか言えそうになかったし」
まだここに居て欲しいとか、あわよくば泊まってって欲しいとか、あんま男と喋り過ぎんなよとか、汚えことばっか考えてた。そう話したブン太の気持ちを初めて知った。
「あと、お前が…」
「うん?」
「…何でもねえ」
「ち、ちゃんと言って!」
せっかく話せるようになったのに、隠し事なんて悲しい。それにどうせならブン太の気持ちを全部知りたい。そう思って背けられてしまった彼の顔を覗き込むと、真っ赤になっていた。
「お前が…仁王とか赤也の話ばっかしてたのが嫌だったっつーか…」
「…やきもち?」
「う、うるせえ!」
だから言いたくなかったんだよ、とわたしから手を離して拗ねてしまったブン太に愛されてるんだなあと実感した。嬉しくて思わずにやついてしまう頬を両手でさすっていると、未だに顔の赤いブン太に緩く睨まれた。
「にやつくな」
「嬉しいんだからしょうがないでしょ」
「…ばーか」
ブン太はまたわたしの腕を引いて、顔を近づけてきた。それを合図にゆっくり目を閉じる。その瞬間、視界に入ったのは机の隅に置かれた筆談用の紙とペン。わたしとブン太を繋ぎ止めてくれて、本当にありがとう。
君の声は私の希望
お前が彼女で良かった。そう言った彼のすべてがわたしの宝物なのだ。
-END-
