沫系
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昼休みがもうすぐ終わりそうな、誰もいない屋上。突然の赤也くんの告白に、私はうんともすんとも答えることが出来なかった。ただ、赤也くんの私を抱きしめる力が段々と強くなっていくだけだった。
「あ、赤也く…」
「返事はいいっス」
「え…?」
「…先輩の返事は聞かなくてももう分かってるんで」
赤也くんはそう言うと、そっと腕を解いて私から離れた。少し悲しそうに笑った赤也くんは、次の瞬間には私をいつも励ましてくれる優しい笑顔を見せてくれた。そして静かに校内に続く扉を開けてこの場を離れてしまった。思わず胸が痛んだのは、きっともうこれからあの笑顔が見れなくなるかもしれないって思ったから。私はずるい。気持ちに応えられないくせに、赤也くんが離れていくと思うととても寂しい。今まで私を支えてくれたのは確実に赤也くんだから。屋上を離れて教室に向かうと、廊下ですれ違ったのは私の大好きな赤い髪の彼。
「ブン太!」
さっきのことを謝らないといけないと思って咄嗟に声を掛けたけれど、ブン太は何も聞こえなかったかのようにそのまま歩き続けてしまった。また振り出しに戻っちゃったんだ。あの時、何も言わず見てればよかったの?ううん、そんなことない。私の選択肢は間違ってない。もう後悔なんてしたくなかったから。
*
「……はあ」
授業中にも関わらず先生の話すことには全く集中出来なかった。赤也くんは偉い。結果しか考えずに怖くて何も行動出来ない私と違って、何に対しても真っ向からぶつかっていってる。私も赤也くんを見習わないといけないって思った。もう片思いをずるずる引きずるのは終わりにしたい。戻れないなら、きっぱり忘れて前に進みたい。
でもその前にちゃんと赤也くんとのこと、けじめをつけておきたい。私のことを大事に思ってくれた赤也くんのこと。そう思って私はすぐにこっそりと机の中から赤也くんにメールを送った。部活が終わったあとに話したい、って。
*
「先輩!待たせてすんません」
「ううん、私が好きで待ってたから大丈夫だよ」
「…どっか座りましょっか」
「うん…」
赤也くんの後ろについていくと、中庭にあったベンチに座るように促された。赤也くんもわたしの隣にそっと腰を下ろした。しばらく続いた沈黙を破りたくて先に口を開いたのは私の方。
「…ごめんね、本当に」
「謝らないで下さいよ、先輩」
「私、今まで赤也くんにひどいことしてた…私、何でもするから…」
「先輩、俺はそんなこと望んでないっス」
「それじゃあ私の気が済まないのっ…」
泣くつもりなんかなかったのに、思わず涙が溢れた。赤也くんはいつも私を助けてくれたのに、私は自分のことしか考えていなかったから。申し訳ない気持ちでいっぱいになって自然と俯いていた顔をあげると、ふと唇にふに、とやわらかい体温を感じた。
「え、え…!?」
「あー、すんません、つい。先輩も何でもするって言ったっしょ?」
「そ、そうだけど…」
「良いじゃないスか、最初で最後なんだから」
「さ、いご…」
「あ、いや!そんなつもりで言ったんじゃないっス!」
私が呟いた言葉を聞いたのか、赤也くんは誤解を解こうと必死に手を振った。最後って言葉は悲しい。もう会えないんじゃないかとか、ああだめだ。わたしきっと、一人じゃ生きていけない。
「いーんスか?次期立海を支える大物を手放しちゃって、勿体ないっスよ」
「うん、本当に…私には勿体ないよ。私のこと、元気付けようとしてくれたんでしょ?」
「まあそれも間違ってないっスけど…」
「え?」
言葉を詰まらせた赤也くんが気になって視線を向けると、返ってきたのはいつも以上の真剣な瞳。思わず緊張してしまった。
「本気だったっスよ」
「う、あ、かやくん…」
「ほらほら、泣かないでくださいよ。今ならまだ丸井先輩、部室にいますよ」
「ごめ、ありがとう…」
ぽんと背中を押されて、私はもう一度赤也くんにお礼を言った。彼は本当に最後まで私を救ってくれる、ヒーローだ。出会いは本当におかしなものだったけれど、あの日食堂で出会ったのが、電話をくれたのが、赤也くんで本当によかった。
もどらないあの笑顔
私の答えは、間違っていませんか?
「あ、赤也く…」
「返事はいいっス」
「え…?」
「…先輩の返事は聞かなくてももう分かってるんで」
赤也くんはそう言うと、そっと腕を解いて私から離れた。少し悲しそうに笑った赤也くんは、次の瞬間には私をいつも励ましてくれる優しい笑顔を見せてくれた。そして静かに校内に続く扉を開けてこの場を離れてしまった。思わず胸が痛んだのは、きっともうこれからあの笑顔が見れなくなるかもしれないって思ったから。私はずるい。気持ちに応えられないくせに、赤也くんが離れていくと思うととても寂しい。今まで私を支えてくれたのは確実に赤也くんだから。屋上を離れて教室に向かうと、廊下ですれ違ったのは私の大好きな赤い髪の彼。
「ブン太!」
さっきのことを謝らないといけないと思って咄嗟に声を掛けたけれど、ブン太は何も聞こえなかったかのようにそのまま歩き続けてしまった。また振り出しに戻っちゃったんだ。あの時、何も言わず見てればよかったの?ううん、そんなことない。私の選択肢は間違ってない。もう後悔なんてしたくなかったから。
*
「……はあ」
授業中にも関わらず先生の話すことには全く集中出来なかった。赤也くんは偉い。結果しか考えずに怖くて何も行動出来ない私と違って、何に対しても真っ向からぶつかっていってる。私も赤也くんを見習わないといけないって思った。もう片思いをずるずる引きずるのは終わりにしたい。戻れないなら、きっぱり忘れて前に進みたい。
でもその前にちゃんと赤也くんとのこと、けじめをつけておきたい。私のことを大事に思ってくれた赤也くんのこと。そう思って私はすぐにこっそりと机の中から赤也くんにメールを送った。部活が終わったあとに話したい、って。
*
「先輩!待たせてすんません」
「ううん、私が好きで待ってたから大丈夫だよ」
「…どっか座りましょっか」
「うん…」
赤也くんの後ろについていくと、中庭にあったベンチに座るように促された。赤也くんもわたしの隣にそっと腰を下ろした。しばらく続いた沈黙を破りたくて先に口を開いたのは私の方。
「…ごめんね、本当に」
「謝らないで下さいよ、先輩」
「私、今まで赤也くんにひどいことしてた…私、何でもするから…」
「先輩、俺はそんなこと望んでないっス」
「それじゃあ私の気が済まないのっ…」
泣くつもりなんかなかったのに、思わず涙が溢れた。赤也くんはいつも私を助けてくれたのに、私は自分のことしか考えていなかったから。申し訳ない気持ちでいっぱいになって自然と俯いていた顔をあげると、ふと唇にふに、とやわらかい体温を感じた。
「え、え…!?」
「あー、すんません、つい。先輩も何でもするって言ったっしょ?」
「そ、そうだけど…」
「良いじゃないスか、最初で最後なんだから」
「さ、いご…」
「あ、いや!そんなつもりで言ったんじゃないっス!」
私が呟いた言葉を聞いたのか、赤也くんは誤解を解こうと必死に手を振った。最後って言葉は悲しい。もう会えないんじゃないかとか、ああだめだ。わたしきっと、一人じゃ生きていけない。
「いーんスか?次期立海を支える大物を手放しちゃって、勿体ないっスよ」
「うん、本当に…私には勿体ないよ。私のこと、元気付けようとしてくれたんでしょ?」
「まあそれも間違ってないっスけど…」
「え?」
言葉を詰まらせた赤也くんが気になって視線を向けると、返ってきたのはいつも以上の真剣な瞳。思わず緊張してしまった。
「本気だったっスよ」
「う、あ、かやくん…」
「ほらほら、泣かないでくださいよ。今ならまだ丸井先輩、部室にいますよ」
「ごめ、ありがとう…」
ぽんと背中を押されて、私はもう一度赤也くんにお礼を言った。彼は本当に最後まで私を救ってくれる、ヒーローだ。出会いは本当におかしなものだったけれど、あの日食堂で出会ったのが、電話をくれたのが、赤也くんで本当によかった。
もどらないあの笑顔
私の答えは、間違っていませんか?
