沫系
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窓から差す光が眩しくてうっすら目を開けると、真っ白な天井が目に入った。そして思い出した昨日のこと。そうだ、私、ブン太がお風呂から上がってくる前に寝ちゃったんだ。勢いを付けてがばっと起き上がると、私に掛けられてあった毛布がはらりと床に落ちた。どうやらわたしはソファーで寝ていたようだ。落ちた毛布を追い掛けるように下を見ると、すぐ近くの床で眠っているブン太が視界に入った。
「え、ぶ、ぶん…!」
すやすやと眠るブン太の前で大声をあげそうになった自分の口を慌てて両手で塞ぐと、気がつけば彼の長い睫毛に魅入っていた。音を立てないようにそうっと近付いてみると、すぐにブン太の瞼がぱちっと上がった。
「あ、お、おはよう」
「おー…おはよ…」
ブン太はむくりと起き上がると眠たそうに瞼を擦っていた。その近くには眠っている仁王の姿もある。わ、仁王の寝顔ってすごい貴重かも。そんなことを思っていながらも、私の肩をとんとんと叩いたブン太の方を振り向くと、口元に人差し指を当てて私を部屋の外へ促した。部屋のドアを静かに閉めると、笑いながら私の方を向いた。
「まだ時間早えし起こすのは可哀相だからな」
「そうだね」
「寒くねえ?」
「うん、ありがとう」
仁王の方が大人っぽいはずなのに、ブン太の方がお兄ちゃんっぽく見えた。こういうところも大好きだった。いつも弟くんたちのことを考えていて、あの子たちも幸せだろうなあって。そんな風に私も大事にされてきたから、思い出すだけで幸せな気持ちになれるんだ。部屋の前で二人でしゃがみ込むと、一瞬静寂が訪れた。沈黙は嫌いじゃなかったけど、相手がブン太となると話は変わる。ましてや、片思いの立場なんだから。
「…なあ、俺…」
「あ、丸井!」
ブン太が呟いた小さな声は、廊下の向こうの方から大きく響いた男子の声で呆気なく掻き消された。その声に驚いた私もブン太も思わず肩が震えた。まだこんな時間なのにもう起きてるなんて予想外。
「え、お前らこんなとこで何やってんの!?」
「ちょ、お前声でかいって!担任にバレたらどうすんだよぃ」
「なになに、やましいことでもしてたわけ?」
「馬鹿かお前は!」
担任に見つかってしまったら今度こそ厳しい罰を与えられてしまう。ただでさえバスを遅らせた件でもブン太は怒られてたのに、2回目の問題となると先生も見逃してはくれないだろう。私は何も言えなかったけれど、ブン太が男子に話をつけたみたいで、私たちは部屋に入った。それと同時に突き刺さったのはまだ寝ているはずの二人の視線。どうやらさっきの男子の声でお目覚めになったらしい。
「丸井、女の子を連れ出すなんて…」
「ブンちゃんやらしいのう」
「違うっつってんだろぃ!」
どいつもこいつも、と怒りながら顔を真っ赤にしていたブン太がすごく可愛く見えた。もし私たちが付き合ってたとしたら、反応はもっと違うものだったのかな?だめだめ、すぐ暗い方に考えちゃう癖を治さないと。時間はすぐに過ぎていって、私たちはブン太たちの部屋からこっそりと自分たちの部屋へと戻っていった。朝食を食べて、ホテルをチェックアウトして、またバスに乗り込んで。今日はお土産屋さんを自由に回って、それで修学旅行はおしまい。思っていた以上にあっという間だったからとても寂しい。
「じゃあここで一度解散!13時にはこの場所に完全集合しろよー」
先生の言葉を聞いて、みんながそれぞれの方向へと歩いていった。私も仲良しのグループで色んなお店をまわって、家族へのお土産を選んでいた。そんな時にふと目に入ったもの。大阪の象徴とも言えるたこ焼きの帽子を被った猫のぬいぐるみ。ほどほどに大きいサイズなだけあって値段も高かったけど、私はそのぬいぐるみに一目惚れをしてしまったようだ。か、可愛いい。私はぬいぐるみを両手で持って色んな角度から眺めたり手触りを確かめたりしていた。こんなことしたら益々欲しくなっちゃうのが現実。でもこれを買ってしまったら、家族とか親戚に買うお土産のお金がなくなってしまう。うん。残念だけど我慢しておこう。
しばらくお店の中を回って、みんなで別のお店に行こうということでお店を出ると、聞き慣れた大好きな声が私を呼び止めた。振り返るとそれは予想通りブン太で、私は友達に待っててもらうように伝えると、ブン太の元へ走っていった。
「ど、どうしたの?」
「これ、やる」
「え?これって…」
ブン太はさっき私が行ったばかりのお土産屋さんの大きな袋を私に差し出した。わけが分からずブン太に目をやると、彼は気恥ずかしそうにがしがしと頭から掻いた。
「あんな欲しそうにしてんの見たらなんか…と、とりあえず受け取れ!」
「え、あ、ありがとう」
中身はまだなにか分からなかったけれど、ブン太の勢いに思わずお礼を言うと、ブン太は早足で少し離れた所にいる仁王の元へと戻っていった。
袋を開けて中身を確認すると、そこには私がさっき欲しがっていたぬいぐるみ。思ってもみなかったそれに、私は思わず言葉をなくした。
「ど、どうしよう…」
嬉しくて自然と涙が滲む。付き合ってないのに、ブン太はわたしにたくさんのものをくれる。バスでは緊張させられたし、道に迷ったときには安心させてくれたし、昨日だって部屋に誘ってくれて。だけどそれがかなしくもあった。やっぱり私、付き合ってた頃に、あの頃に戻りたい。
涙は渇いてしまった
だいすきなこの人の声も、もう頭から離れない
「え、ぶ、ぶん…!」
すやすやと眠るブン太の前で大声をあげそうになった自分の口を慌てて両手で塞ぐと、気がつけば彼の長い睫毛に魅入っていた。音を立てないようにそうっと近付いてみると、すぐにブン太の瞼がぱちっと上がった。
「あ、お、おはよう」
「おー…おはよ…」
ブン太はむくりと起き上がると眠たそうに瞼を擦っていた。その近くには眠っている仁王の姿もある。わ、仁王の寝顔ってすごい貴重かも。そんなことを思っていながらも、私の肩をとんとんと叩いたブン太の方を振り向くと、口元に人差し指を当てて私を部屋の外へ促した。部屋のドアを静かに閉めると、笑いながら私の方を向いた。
「まだ時間早えし起こすのは可哀相だからな」
「そうだね」
「寒くねえ?」
「うん、ありがとう」
仁王の方が大人っぽいはずなのに、ブン太の方がお兄ちゃんっぽく見えた。こういうところも大好きだった。いつも弟くんたちのことを考えていて、あの子たちも幸せだろうなあって。そんな風に私も大事にされてきたから、思い出すだけで幸せな気持ちになれるんだ。部屋の前で二人でしゃがみ込むと、一瞬静寂が訪れた。沈黙は嫌いじゃなかったけど、相手がブン太となると話は変わる。ましてや、片思いの立場なんだから。
「…なあ、俺…」
「あ、丸井!」
ブン太が呟いた小さな声は、廊下の向こうの方から大きく響いた男子の声で呆気なく掻き消された。その声に驚いた私もブン太も思わず肩が震えた。まだこんな時間なのにもう起きてるなんて予想外。
「え、お前らこんなとこで何やってんの!?」
「ちょ、お前声でかいって!担任にバレたらどうすんだよぃ」
「なになに、やましいことでもしてたわけ?」
「馬鹿かお前は!」
担任に見つかってしまったら今度こそ厳しい罰を与えられてしまう。ただでさえバスを遅らせた件でもブン太は怒られてたのに、2回目の問題となると先生も見逃してはくれないだろう。私は何も言えなかったけれど、ブン太が男子に話をつけたみたいで、私たちは部屋に入った。それと同時に突き刺さったのはまだ寝ているはずの二人の視線。どうやらさっきの男子の声でお目覚めになったらしい。
「丸井、女の子を連れ出すなんて…」
「ブンちゃんやらしいのう」
「違うっつってんだろぃ!」
どいつもこいつも、と怒りながら顔を真っ赤にしていたブン太がすごく可愛く見えた。もし私たちが付き合ってたとしたら、反応はもっと違うものだったのかな?だめだめ、すぐ暗い方に考えちゃう癖を治さないと。時間はすぐに過ぎていって、私たちはブン太たちの部屋からこっそりと自分たちの部屋へと戻っていった。朝食を食べて、ホテルをチェックアウトして、またバスに乗り込んで。今日はお土産屋さんを自由に回って、それで修学旅行はおしまい。思っていた以上にあっという間だったからとても寂しい。
「じゃあここで一度解散!13時にはこの場所に完全集合しろよー」
先生の言葉を聞いて、みんながそれぞれの方向へと歩いていった。私も仲良しのグループで色んなお店をまわって、家族へのお土産を選んでいた。そんな時にふと目に入ったもの。大阪の象徴とも言えるたこ焼きの帽子を被った猫のぬいぐるみ。ほどほどに大きいサイズなだけあって値段も高かったけど、私はそのぬいぐるみに一目惚れをしてしまったようだ。か、可愛いい。私はぬいぐるみを両手で持って色んな角度から眺めたり手触りを確かめたりしていた。こんなことしたら益々欲しくなっちゃうのが現実。でもこれを買ってしまったら、家族とか親戚に買うお土産のお金がなくなってしまう。うん。残念だけど我慢しておこう。
しばらくお店の中を回って、みんなで別のお店に行こうということでお店を出ると、聞き慣れた大好きな声が私を呼び止めた。振り返るとそれは予想通りブン太で、私は友達に待っててもらうように伝えると、ブン太の元へ走っていった。
「ど、どうしたの?」
「これ、やる」
「え?これって…」
ブン太はさっき私が行ったばかりのお土産屋さんの大きな袋を私に差し出した。わけが分からずブン太に目をやると、彼は気恥ずかしそうにがしがしと頭から掻いた。
「あんな欲しそうにしてんの見たらなんか…と、とりあえず受け取れ!」
「え、あ、ありがとう」
中身はまだなにか分からなかったけれど、ブン太の勢いに思わずお礼を言うと、ブン太は早足で少し離れた所にいる仁王の元へと戻っていった。
袋を開けて中身を確認すると、そこには私がさっき欲しがっていたぬいぐるみ。思ってもみなかったそれに、私は思わず言葉をなくした。
「ど、どうしよう…」
嬉しくて自然と涙が滲む。付き合ってないのに、ブン太はわたしにたくさんのものをくれる。バスでは緊張させられたし、道に迷ったときには安心させてくれたし、昨日だって部屋に誘ってくれて。だけどそれがかなしくもあった。やっぱり私、付き合ってた頃に、あの頃に戻りたい。
涙は渇いてしまった
だいすきなこの人の声も、もう頭から離れない
