沫系
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逸れてしまった場所から随分離れても相変わらず人は多いけど、さっきよりは大分ましになった。これからどうしようと思ってその場に立ち尽くしていたけれど、歩いていく人たちの邪魔になると思って道の真ん中に並んでいたベンチに座った。ここから変に動くのも危ないかもしれない。地面を見ていると、快晴が照らす地面の中、忙しなく歩いている人たちの影が視界に広がった。寂しいな、なんて思っていると、涙が滲んだ。こんな所で泣いてたら変に思われると思って、手の甲で乱暴に目元を擦った。
ふと顔をあげると、大きなカニの模型が目に入った。あ、これって大阪で有名なお店だ。ずっと前にブン太と"関西で食べ歩き"というテレビ番組を観ていたら、ブン太がずっと「このカニ食いてー」って騒いでたっけ。だからいつか行こうねって約束して…。って、なんで私、こんな時にまでブン太のこと考えてるんだろう。今迷子になってるっていうのに。そうだ。私、ブン太の携帯の番号ならまだちゃんと覚えてる。連絡しても大丈夫かな。こんなとき、彼女じゃなくても頼っていいのかな。
「はな?一人で何してんだよぃ」
少し遠くから声が聞こえて、ぱっと顔をあげると見慣れた顔の彼が立っていた。彼のことを考えていただけに今この場にブン太がいることをちゃんと理解できなかった。
「…ぶ、ブン太…?」
「俺、たこ焼き食いたくなったからどの店にしようか迷って……」
何故か目に入ったブン太を見つけた瞬間に、引いたはずの涙がまた一気に引き返して、ぶわっと溢れ出した。安心したあまりに、ベンチから立ち上がってこっちへと歩いてくるブン太に勢いをつけて抱き着いた。ブン太もきっと驚いてるだろうけど、今は気持ちに余裕がなくて何も考えられなかった。
「お、おい!どうしたんだよ?」
「わ、わた、しっ…、みんなとはぐれちゃっ…、携帯も持って、なくて…っ」
「迷子かよ?もう大丈夫だって、な?」
こんな私を嫌がるどころか、安心させてくれるように頭を撫ぜてくれて、また涙が溢れた。周りにはたくさんの人がいるのに、そんなこともまったく気にならない。少ししてから我にかえると、ブン太から身を一歩引いた。
「ご、ごめん…」
「別に良いって。そうだ、お前もたこ焼き食う?」
「…うん」
こんな時でもたこ焼きのことは忘れないんだね、なんて考えてると、いつの間にか涙が引いていたことに気がついた。彼は、行くぞ、と言って、本当にごく自然に私の手を引いた。また逸れないように、私を安心させようとしてくれてるのかもしれない。だけど、不安とかそんなことよりも、もう心臓がどきどきする音しか聞こえなかった。
「熱 っ」
「アホか、お前は。本場のたこ焼きは普通の二倍熱いんだからちゃんとふーふーしてから食わねーと」
「…ぷっ、何それ」
「あ、やべ!そろそろ集合時間だぜぃ」
「うそ!」
たこ焼きをじっくり味わえることもなく、先を歩くブン太にまた手を引かれてほぼ走ってみんなの元へと向かうのだった。バスのある場所にたどり着くと、他のクラスのバスはもう出発してしまったらしく、わたし達のバスの入口の前で担任の先生が腕を組んで立っていた。これ、絶対説教喰らうよ。
「お前たち、集合時間はとっくに過ぎとるぞ?」
「すんません、俺の食べ歩きにこいつ連れ回してたらこんな時間なっちまって」
「馬鹿もん!」
「いでっ!」
ブン太は先生の持つ分厚いしおりのようなもので頭を殴られていた。というか、元々は私が迷子になったから遅くなっちゃったわけで。先にバスに乗り込んだブン太の後ろ姿を見つめながらも、誤解を解こうと先生の方に顔を向けた。
「あの、先生」
「ほら、お前も乗った乗った」
「あ、はい…」
さらっと先生に流され、私もバスに乗り込む。私ってなんでこう意志が弱いんだろうか。自分の座席に向かうと、りなちゃんがわたしの姿を見て少し安心したように微笑んだ。
「もう、はな!いきなりいなくなるからびっくりしたよ」
「ご、ごめん…人の波に負けちゃって」
「ま、結果が結果だからよしとしましょうか」
「…はい?」
さっきまでの優しそうな顔はどこへ行ったのやら、楽しそうににやにやしてる彼女の考えてることはすぐに分かった。なんか別の方からも視線を感じると思ったら、隣でお菓子をばりばり食べるブン太の向こうでも、詐欺師が面白そうに笑っていた。
「それにしても、可愛かったよなあ」
「は…?」
「泣きながらブン太~って抱きついて来てよ」
「ちょ、な、なんっ…」
ブン太がいきなり口を開いたかとおもうと、その予想外の言葉に私は間抜けな対応しか出来なかった。彼は自分の口の回りにお菓子のくずがついてることも気にせずに、楽しそうに話を続けた。そんな面白おかしい話を聞いて黙ってるわけがない二人も、いつの間にか話に参加していた。
「お、大胆じゃな」
「ち、違うから!」
「なんか子供が巣立っちゃった気分だわ、あたし」
「もう、みんなうるさいよ!」
あのとき彼を見つけられなかったらきっと今私は、この場にはいなかったのかもしれない。もっともっとみんなに迷惑をかけていたかもしれない。私を 揶揄 うブン太がどんなに憎らしくても、心の中ではちゃんと感謝してるからね。
正解と不正解
私の救世主は彼だけだと痛感した
ふと顔をあげると、大きなカニの模型が目に入った。あ、これって大阪で有名なお店だ。ずっと前にブン太と"関西で食べ歩き"というテレビ番組を観ていたら、ブン太がずっと「このカニ食いてー」って騒いでたっけ。だからいつか行こうねって約束して…。って、なんで私、こんな時にまでブン太のこと考えてるんだろう。今迷子になってるっていうのに。そうだ。私、ブン太の携帯の番号ならまだちゃんと覚えてる。連絡しても大丈夫かな。こんなとき、彼女じゃなくても頼っていいのかな。
「はな?一人で何してんだよぃ」
少し遠くから声が聞こえて、ぱっと顔をあげると見慣れた顔の彼が立っていた。彼のことを考えていただけに今この場にブン太がいることをちゃんと理解できなかった。
「…ぶ、ブン太…?」
「俺、たこ焼き食いたくなったからどの店にしようか迷って……」
何故か目に入ったブン太を見つけた瞬間に、引いたはずの涙がまた一気に引き返して、ぶわっと溢れ出した。安心したあまりに、ベンチから立ち上がってこっちへと歩いてくるブン太に勢いをつけて抱き着いた。ブン太もきっと驚いてるだろうけど、今は気持ちに余裕がなくて何も考えられなかった。
「お、おい!どうしたんだよ?」
「わ、わた、しっ…、みんなとはぐれちゃっ…、携帯も持って、なくて…っ」
「迷子かよ?もう大丈夫だって、な?」
こんな私を嫌がるどころか、安心させてくれるように頭を撫ぜてくれて、また涙が溢れた。周りにはたくさんの人がいるのに、そんなこともまったく気にならない。少ししてから我にかえると、ブン太から身を一歩引いた。
「ご、ごめん…」
「別に良いって。そうだ、お前もたこ焼き食う?」
「…うん」
こんな時でもたこ焼きのことは忘れないんだね、なんて考えてると、いつの間にか涙が引いていたことに気がついた。彼は、行くぞ、と言って、本当にごく自然に私の手を引いた。また逸れないように、私を安心させようとしてくれてるのかもしれない。だけど、不安とかそんなことよりも、もう心臓がどきどきする音しか聞こえなかった。
「
「アホか、お前は。本場のたこ焼きは普通の二倍熱いんだからちゃんとふーふーしてから食わねーと」
「…ぷっ、何それ」
「あ、やべ!そろそろ集合時間だぜぃ」
「うそ!」
たこ焼きをじっくり味わえることもなく、先を歩くブン太にまた手を引かれてほぼ走ってみんなの元へと向かうのだった。バスのある場所にたどり着くと、他のクラスのバスはもう出発してしまったらしく、わたし達のバスの入口の前で担任の先生が腕を組んで立っていた。これ、絶対説教喰らうよ。
「お前たち、集合時間はとっくに過ぎとるぞ?」
「すんません、俺の食べ歩きにこいつ連れ回してたらこんな時間なっちまって」
「馬鹿もん!」
「いでっ!」
ブン太は先生の持つ分厚いしおりのようなもので頭を殴られていた。というか、元々は私が迷子になったから遅くなっちゃったわけで。先にバスに乗り込んだブン太の後ろ姿を見つめながらも、誤解を解こうと先生の方に顔を向けた。
「あの、先生」
「ほら、お前も乗った乗った」
「あ、はい…」
さらっと先生に流され、私もバスに乗り込む。私ってなんでこう意志が弱いんだろうか。自分の座席に向かうと、りなちゃんがわたしの姿を見て少し安心したように微笑んだ。
「もう、はな!いきなりいなくなるからびっくりしたよ」
「ご、ごめん…人の波に負けちゃって」
「ま、結果が結果だからよしとしましょうか」
「…はい?」
さっきまでの優しそうな顔はどこへ行ったのやら、楽しそうににやにやしてる彼女の考えてることはすぐに分かった。なんか別の方からも視線を感じると思ったら、隣でお菓子をばりばり食べるブン太の向こうでも、詐欺師が面白そうに笑っていた。
「それにしても、可愛かったよなあ」
「は…?」
「泣きながらブン太~って抱きついて来てよ」
「ちょ、な、なんっ…」
ブン太がいきなり口を開いたかとおもうと、その予想外の言葉に私は間抜けな対応しか出来なかった。彼は自分の口の回りにお菓子のくずがついてることも気にせずに、楽しそうに話を続けた。そんな面白おかしい話を聞いて黙ってるわけがない二人も、いつの間にか話に参加していた。
「お、大胆じゃな」
「ち、違うから!」
「なんか子供が巣立っちゃった気分だわ、あたし」
「もう、みんなうるさいよ!」
あのとき彼を見つけられなかったらきっと今私は、この場にはいなかったのかもしれない。もっともっとみんなに迷惑をかけていたかもしれない。私を
正解と不正解
私の救世主は彼だけだと痛感した
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