沫系
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「もう無理!あんなの心臓持たないって!」
修学旅行の醍醐味とも言える就寝の時間。私たち二人の部屋も寝ることも電気を消すこともなくベッドの上で布団に包まっていた。今日はバスに乗ってる時間はまだ少なかったけど、明日からはもっと移動するみたいだし、本当に大丈夫なのかな。
「でもさ、嬉しかったでしょ。他の子に席代われって言われたら嫌なんでしょ。そうでしょ?」
「う…、そりゃそうじゃないって言ったら嘘になるけど…」
詰め寄ってくるりなちゃんにそれとこれとは違う、とは言えなかった。もういい加減に意地を張るのはやめたい。ブン太と付き合っていたことがあるだけに、素直になることが普通以上に難しく感じる。もし今の好きな人がブン太じゃなくて他の人なら、もっと素直に気持ちを伝えられてるのかもしれない。こんなうじうじした気持ちを隠したくて、枕をぎゅっと抱きしめた。その日は明日に備えてってことで、早めに電気を消して寝ることにした。ブン太はもう寝たのかな。でも寝るのはもったいねえ!とか言って遊んでるのかも。そんなちっぽけなことを、普段の会話で聞くことが出来たらすごく楽しいのにな。彼のことを考えると涙が出てくる体になってしまったのか、少しだけ鼻の奥がつんとして、そっと目を閉じた。
彼の夢を見た。夢の中の私とブン太はすっごく幸せそうに笑ってて、彼に撫ぜられて嬉しそうに微笑む私はきっと人一倍幸せ者だ。多分、付き合っていたときの夢だと思う。夢だと分かってしまわなければ、幸せな気持ちを少しでも味わえたんだろうけれど。さっきまでは楽しそうに話していた私たちに沈黙が訪れると、ブン太はわたしの頬に手を添えて顔を近付けてきた。え、か、顔を…?
「わー!」
唇が触れるか触れないかの距離でがばっと起き上がると、私の枕元で携帯のアラームがうるさいほどに部屋に響いていた。な、なんて夢を見てしまったの、私は!欲求不満すぎる!すでに起きていたりなちゃんはタオルを首にかけて顔を拭きながら部屋に入ってきた。
「何?今の叫び声」
「何でもない!」
「もしかして丸井との恥ずかしい夢でも見ちゃったわけ?」
「ちちち、ちがっ!」
「…分かりやすい子」
朝ご飯を食べてまた外に集まって点呼をとって。バスに乗り込んでブン太を見た瞬間に朝の夢を思い出してまた顔が熱くなるのが分かった。隣に座るりなちゃんが肘で私を小突きながらにたにた笑ってるから、ブン太と仁王に気付かれないようにするので精一杯だった。
「何だよぃ、お前ら」
「気味悪いぜよ」
「は、はい!これ昨日のお菓子のお返し!仁王はうるさい!」
「あのね、はなってば…」
「ちょ、だめだから!」
必死に長いバスの時間を乗り越えて、げっそりしながらもバスから降りると、人数点呼のあとに自由行動になった。今日は大阪で有名な場所での自由行動らしく、私も楽しみにしていた。りなちゃんを含んだ4人での行動で、さっそく見知らぬ街を歩き始めているところ。
「ね、みんなあっち行ったしあたし達はこっち行こうよ」
「そうだね」
みんなが納得して進んで行くと、それにつれて段々と人込みも多くなってきた。有名な場所だからか、やっぱり大阪もすごく人が多い。みんなすごく足が早いし、よく言うもんね。東京の人が大阪の街を歩くのは苦労する、とか。
「これが戎橋かあ」
「結構迫力あるねー」
テレビとかではよくここが映し出されてるよね。ここを見せられたら大阪だってことがすぐ分かるほどに有名な場所。大きな看板に見惚れていると、次々に進んでくる人の波に押し寄せられた。
「…きゃっ」
今日は土曜日だからか人が多いみたい。一気に急ぎ足の人の波にのまれてしまった。さっき居た場所から随分と離れてしまって、周りを見渡しても一緒のグループの子たちが見当たらなかった。
「りなちゃん…?」
どこを見渡しても知らない人ばかりで、逸 れてしまったんだと分かると一瞬ぞっとした。こんな所で逸れてしまったらすぐに見つけてもらえる筈ないし、バスのあった場所からここまできたのはみんなのお陰。私はその後ろをついて来ただけだから戻れる筈もない。同じ学校の人と言ってもみんな私服なんだから簡単には分からないと思うと、一気に不安が襲って来る。
「あ!そうだ、携帯携帯…あ、あれ…?」
ポケットに手を入れてみても鞄の中を探してみても見つからないことを不思議に思い、深呼吸をして昨日と今日の記憶を辿ってみる。昨日携帯でアラームセットして、今日もそれで起きて…でもそれから触っていない気がする。部屋に忘れて来たことを理解すると、ガクッと肩を落とした。公衆電話っていってもみんなの番号も分からない。人混みの中どうしようと一人顔を真っ青にしているだけで、無情にも時間は過ぎていくのだった。
わからない気持ちの行方
もしこのまま誰とも会えなかったらどうしよう
修学旅行の醍醐味とも言える就寝の時間。私たち二人の部屋も寝ることも電気を消すこともなくベッドの上で布団に包まっていた。今日はバスに乗ってる時間はまだ少なかったけど、明日からはもっと移動するみたいだし、本当に大丈夫なのかな。
「でもさ、嬉しかったでしょ。他の子に席代われって言われたら嫌なんでしょ。そうでしょ?」
「う…、そりゃそうじゃないって言ったら嘘になるけど…」
詰め寄ってくるりなちゃんにそれとこれとは違う、とは言えなかった。もういい加減に意地を張るのはやめたい。ブン太と付き合っていたことがあるだけに、素直になることが普通以上に難しく感じる。もし今の好きな人がブン太じゃなくて他の人なら、もっと素直に気持ちを伝えられてるのかもしれない。こんなうじうじした気持ちを隠したくて、枕をぎゅっと抱きしめた。その日は明日に備えてってことで、早めに電気を消して寝ることにした。ブン太はもう寝たのかな。でも寝るのはもったいねえ!とか言って遊んでるのかも。そんなちっぽけなことを、普段の会話で聞くことが出来たらすごく楽しいのにな。彼のことを考えると涙が出てくる体になってしまったのか、少しだけ鼻の奥がつんとして、そっと目を閉じた。
彼の夢を見た。夢の中の私とブン太はすっごく幸せそうに笑ってて、彼に撫ぜられて嬉しそうに微笑む私はきっと人一倍幸せ者だ。多分、付き合っていたときの夢だと思う。夢だと分かってしまわなければ、幸せな気持ちを少しでも味わえたんだろうけれど。さっきまでは楽しそうに話していた私たちに沈黙が訪れると、ブン太はわたしの頬に手を添えて顔を近付けてきた。え、か、顔を…?
「わー!」
唇が触れるか触れないかの距離でがばっと起き上がると、私の枕元で携帯のアラームがうるさいほどに部屋に響いていた。な、なんて夢を見てしまったの、私は!欲求不満すぎる!すでに起きていたりなちゃんはタオルを首にかけて顔を拭きながら部屋に入ってきた。
「何?今の叫び声」
「何でもない!」
「もしかして丸井との恥ずかしい夢でも見ちゃったわけ?」
「ちちち、ちがっ!」
「…分かりやすい子」
朝ご飯を食べてまた外に集まって点呼をとって。バスに乗り込んでブン太を見た瞬間に朝の夢を思い出してまた顔が熱くなるのが分かった。隣に座るりなちゃんが肘で私を小突きながらにたにた笑ってるから、ブン太と仁王に気付かれないようにするので精一杯だった。
「何だよぃ、お前ら」
「気味悪いぜよ」
「は、はい!これ昨日のお菓子のお返し!仁王はうるさい!」
「あのね、はなってば…」
「ちょ、だめだから!」
必死に長いバスの時間を乗り越えて、げっそりしながらもバスから降りると、人数点呼のあとに自由行動になった。今日は大阪で有名な場所での自由行動らしく、私も楽しみにしていた。りなちゃんを含んだ4人での行動で、さっそく見知らぬ街を歩き始めているところ。
「ね、みんなあっち行ったしあたし達はこっち行こうよ」
「そうだね」
みんなが納得して進んで行くと、それにつれて段々と人込みも多くなってきた。有名な場所だからか、やっぱり大阪もすごく人が多い。みんなすごく足が早いし、よく言うもんね。東京の人が大阪の街を歩くのは苦労する、とか。
「これが戎橋かあ」
「結構迫力あるねー」
テレビとかではよくここが映し出されてるよね。ここを見せられたら大阪だってことがすぐ分かるほどに有名な場所。大きな看板に見惚れていると、次々に進んでくる人の波に押し寄せられた。
「…きゃっ」
今日は土曜日だからか人が多いみたい。一気に急ぎ足の人の波にのまれてしまった。さっき居た場所から随分と離れてしまって、周りを見渡しても一緒のグループの子たちが見当たらなかった。
「りなちゃん…?」
どこを見渡しても知らない人ばかりで、
「あ!そうだ、携帯携帯…あ、あれ…?」
ポケットに手を入れてみても鞄の中を探してみても見つからないことを不思議に思い、深呼吸をして昨日と今日の記憶を辿ってみる。昨日携帯でアラームセットして、今日もそれで起きて…でもそれから触っていない気がする。部屋に忘れて来たことを理解すると、ガクッと肩を落とした。公衆電話っていってもみんなの番号も分からない。人混みの中どうしようと一人顔を真っ青にしているだけで、無情にも時間は過ぎていくのだった。
わからない気持ちの行方
もしこのまま誰とも会えなかったらどうしよう
