沫系
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本来なら数分で済むはずの道のりを十数分掛けて、ようやくブン太の家にたどり着いた。ドアの鍵を開けると、ブン太は倒れ込むようにして玄関先に突っ伏した。私がドアを閉めると、ばたばたとした足音が聞こえた。
「あ!はなお姉ちゃんだ!」
「ブン兄どうしたの?」
「あのね、店先ですごく眠くなったらしくて、公園で寝ちゃってて、…馬鹿でしょ」
「まじかよ!」
「でもお兄ちゃんならありえるよね」
あははと笑う弟くんたちを見て少しほっとした。ブン太からは弟たちには熱が上がったことは言わないでくれってお願いされていた。弟たちに自分のせいだって思わせたくないんだと思う。本当、こんな良いお兄ちゃん、どこ探したっていないよ。
「はなお姉ちゃん、ゆっくりして行ってね!」
「あ、えと…」
ちらっとブン太の様子を見て、こんな状態の彼を置いていけるわけがないと自分の中で言い聞かせて、弟くんたちにありがとうと伝えた。弟くんたちにブン太が買い物をした袋を渡すと、わーい、嬉しそうにリビングまで走っていった。ブン太はきっと、こういう喜んだ顔が見たかったんだよね。
「はな…」
「ん?」
「…俺、部屋行くわ」
「うん、階段上れる?」
私の過保護な言葉にブン太は力なくもははっと笑って大丈夫と言った。私は階段を上るブン太を見送りながらも、弟くんたちの向かったリビングへと足を向けた。弟くんたちはすでにソファーに座ってブン太の買ってきていたおにぎりを食べながらテレビを見ている様子。袋の中を覗いてみると、お菓子ばかりだった。おにぎり二つ以外はみんなお菓子って…、しかもこの量。弟くんたちじゃないけど確かにブン太らしいかも。
「はなお姉ちゃん」
「はーい」
「お兄ちゃん朝から何も食べてないみたいだけど、大丈夫かなあ」
「…本当?」
それって結構大丈夫じゃないような。ちゃんと薬だって飲まなきゃいけないだろうし。私は頭の中であーだこーだ考えるよりも行動だと思って、キッチンを借りてお粥を作ることにした。お母さんが作ってるのを横で見てたことしかないけど…大丈夫かな。一つ一つを思い出しながらなんとか作り終えると、ポケットに入ったままだった携帯が震えた。着信中の画面にはブン太の名前が表示されていて、通話ボタンを押すことを思わず戸惑ってしまった。今はブン太の友達が近くにいるわけじゃないんだから、出てもいいんだよね…?
「もしもし…?」
『…ちょ、部屋来て』
「え、わ、分かった」
ちょうどよかったと思いながら携帯をぱたんと閉じると、器をお借りしてお粥をよそった。お粥と蓮華と水を乗せたお盆を持って、二階へと上がる。ブン太の部屋まで来ると、中からは苦しそうな息遣いが聞こえてきた。
「ブン太、大丈夫?」
「…わり、ちょっと水くんねえ?」
「あ、はい!」
私はタイミング良くもお盆の上に乗せてあったコップをブン太に渡すと、喉を鳴らして一気に飲み干してしまった。あ、でもなんかさっきよりはましっぽいかも。やっぱり家に帰ってきただけでも少しは違うものだよね。
「もし体調落ち着いたんだったら、お粥食べる?少しでも食べた方がいいと思うんだけど」
「お粥?んなのあったか?」
「キッチン借りて作っちゃった…」
「まじ?」
よっしゃ!って言ってブン太が嬉しそうに笑うものだから、思わず胸が高鳴った。まだ食べてもらってもないのに作って良かったと思える。やっぱり好きな人の一言一言ってすごく重たい。一気に幸せな気持ちになったり、一気に沈んでしまったり。ブン太は何度も美味いって言いながらすべて平らげてくれた。さっきまでのしんどそうだったブン太が嘘みたいに。
「…まじうまかった。ありがとな」
「どういたしまして。…あと、はい」
「それ…」
「アイス三つも買って、ちゃっかり自分の分も入ってるんでしょ」
ブン太が楽しみに買ったんだろうカップアイスを笑いながら差し出すと、珍しくも受け取らなかった。流石にお腹が膨れたのかなと考えていると、突然ブン太は自分頭をがしがしと掻いた。
「食わせて」
「…え…」
「俺風邪引いてっから自分じゃ食えねえの、いいだろぃ?」
さっきお粥は自分で食べてたのに、って言葉が漏れそうになったけれど、ブン太に差し出していたアイスのカップを自分の方に戻した。こんなことを言われて、嬉しく思ってる自分に恥ずかしさを覚える。意を決してカップの蓋を開けると、アイスをスプーンで掬った。
「はい、どうぞ」
「ん」
ぱくっとアイスを口に含んだブン太はまるで子供みたいな表情をしていた。付き合っていた頃の事と比べるとそんなに恥ずかしいことをしているわけではないのに、なんだか変な感覚に陥る。半分ほど食べ終わったあとで、ブン太は満足そうに笑った。
「あとはお前にやる」
「え、あ、ありがとう」
「…俺寝るけど」
「あ、うん」
邪魔にならないように部屋から出ようとおもって立ち上がろうとすると、腕を引っ張られて重心が一気に重くなった。ブン太が触れた腕はものすごく熱い。多分彼が熱を持っているせいだろうけど、もうどっちの熱かなんて分からなかった。
「お前はもうちょいここに居ろぃ」
分かった、という短い返事さえすることが出来ないぐらい、今日のブン太はおかしい。おかしいのに、愛おしい。もし本当に前のように戻れたら、なんて馬鹿な希望を見てしまう。私は自分の熱を冷ますためにブン太がくれたアイスクリームを口に含んだ。あ、まだちゃんと冷たいや。
「…今日はサンキューな」
ぐるぐるまわる
あなたが小声で言った言葉は、ちゃんと私に届いてたよ
「あ!はなお姉ちゃんだ!」
「ブン兄どうしたの?」
「あのね、店先ですごく眠くなったらしくて、公園で寝ちゃってて、…馬鹿でしょ」
「まじかよ!」
「でもお兄ちゃんならありえるよね」
あははと笑う弟くんたちを見て少しほっとした。ブン太からは弟たちには熱が上がったことは言わないでくれってお願いされていた。弟たちに自分のせいだって思わせたくないんだと思う。本当、こんな良いお兄ちゃん、どこ探したっていないよ。
「はなお姉ちゃん、ゆっくりして行ってね!」
「あ、えと…」
ちらっとブン太の様子を見て、こんな状態の彼を置いていけるわけがないと自分の中で言い聞かせて、弟くんたちにありがとうと伝えた。弟くんたちにブン太が買い物をした袋を渡すと、わーい、嬉しそうにリビングまで走っていった。ブン太はきっと、こういう喜んだ顔が見たかったんだよね。
「はな…」
「ん?」
「…俺、部屋行くわ」
「うん、階段上れる?」
私の過保護な言葉にブン太は力なくもははっと笑って大丈夫と言った。私は階段を上るブン太を見送りながらも、弟くんたちの向かったリビングへと足を向けた。弟くんたちはすでにソファーに座ってブン太の買ってきていたおにぎりを食べながらテレビを見ている様子。袋の中を覗いてみると、お菓子ばかりだった。おにぎり二つ以外はみんなお菓子って…、しかもこの量。弟くんたちじゃないけど確かにブン太らしいかも。
「はなお姉ちゃん」
「はーい」
「お兄ちゃん朝から何も食べてないみたいだけど、大丈夫かなあ」
「…本当?」
それって結構大丈夫じゃないような。ちゃんと薬だって飲まなきゃいけないだろうし。私は頭の中であーだこーだ考えるよりも行動だと思って、キッチンを借りてお粥を作ることにした。お母さんが作ってるのを横で見てたことしかないけど…大丈夫かな。一つ一つを思い出しながらなんとか作り終えると、ポケットに入ったままだった携帯が震えた。着信中の画面にはブン太の名前が表示されていて、通話ボタンを押すことを思わず戸惑ってしまった。今はブン太の友達が近くにいるわけじゃないんだから、出てもいいんだよね…?
「もしもし…?」
『…ちょ、部屋来て』
「え、わ、分かった」
ちょうどよかったと思いながら携帯をぱたんと閉じると、器をお借りしてお粥をよそった。お粥と蓮華と水を乗せたお盆を持って、二階へと上がる。ブン太の部屋まで来ると、中からは苦しそうな息遣いが聞こえてきた。
「ブン太、大丈夫?」
「…わり、ちょっと水くんねえ?」
「あ、はい!」
私はタイミング良くもお盆の上に乗せてあったコップをブン太に渡すと、喉を鳴らして一気に飲み干してしまった。あ、でもなんかさっきよりはましっぽいかも。やっぱり家に帰ってきただけでも少しは違うものだよね。
「もし体調落ち着いたんだったら、お粥食べる?少しでも食べた方がいいと思うんだけど」
「お粥?んなのあったか?」
「キッチン借りて作っちゃった…」
「まじ?」
よっしゃ!って言ってブン太が嬉しそうに笑うものだから、思わず胸が高鳴った。まだ食べてもらってもないのに作って良かったと思える。やっぱり好きな人の一言一言ってすごく重たい。一気に幸せな気持ちになったり、一気に沈んでしまったり。ブン太は何度も美味いって言いながらすべて平らげてくれた。さっきまでのしんどそうだったブン太が嘘みたいに。
「…まじうまかった。ありがとな」
「どういたしまして。…あと、はい」
「それ…」
「アイス三つも買って、ちゃっかり自分の分も入ってるんでしょ」
ブン太が楽しみに買ったんだろうカップアイスを笑いながら差し出すと、珍しくも受け取らなかった。流石にお腹が膨れたのかなと考えていると、突然ブン太は自分頭をがしがしと掻いた。
「食わせて」
「…え…」
「俺風邪引いてっから自分じゃ食えねえの、いいだろぃ?」
さっきお粥は自分で食べてたのに、って言葉が漏れそうになったけれど、ブン太に差し出していたアイスのカップを自分の方に戻した。こんなことを言われて、嬉しく思ってる自分に恥ずかしさを覚える。意を決してカップの蓋を開けると、アイスをスプーンで掬った。
「はい、どうぞ」
「ん」
ぱくっとアイスを口に含んだブン太はまるで子供みたいな表情をしていた。付き合っていた頃の事と比べるとそんなに恥ずかしいことをしているわけではないのに、なんだか変な感覚に陥る。半分ほど食べ終わったあとで、ブン太は満足そうに笑った。
「あとはお前にやる」
「え、あ、ありがとう」
「…俺寝るけど」
「あ、うん」
邪魔にならないように部屋から出ようとおもって立ち上がろうとすると、腕を引っ張られて重心が一気に重くなった。ブン太が触れた腕はものすごく熱い。多分彼が熱を持っているせいだろうけど、もうどっちの熱かなんて分からなかった。
「お前はもうちょいここに居ろぃ」
分かった、という短い返事さえすることが出来ないぐらい、今日のブン太はおかしい。おかしいのに、愛おしい。もし本当に前のように戻れたら、なんて馬鹿な希望を見てしまう。私は自分の熱を冷ますためにブン太がくれたアイスクリームを口に含んだ。あ、まだちゃんと冷たいや。
「…今日はサンキューな」
ぐるぐるまわる
あなたが小声で言った言葉は、ちゃんと私に届いてたよ
