沫系
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はあ…」
今日何度目の溜息だろう。この間あんなことがあった次の日から3日間。ブン太は学校を休んでいた。ブン太は風邪を引くと長引くタイプだって自分で言っていたから、少し心配だった。それに、ブン太が学校にいないだけで体から何かが抜けていったような気持ちになる。まるでブン太に会うために学校に来てるような、そんな感覚。何かを話すとかそういうわけでもないのに、なんでだろう。私が心配する必要なんてないのに。
「はな」
「あ、仁王…」
「お前さんに頼み事があるんじゃが、聞いてくれるかの」
まとめてホッチキスで止められた修学旅行の資料を片手にわたしの肩を叩いてきた仁王は、なにか面白そうなことでも思い浮かんだような顔をしていた。そういえばもう修学旅行だし、ブン太、早く風邪治るといいな。なんて考えながらもその資料に書いてある名前を見て、頭が特別良いわけでもない私でもすぐに仁王の考えが分かった。
「これ、ブン太に届けてやってくれんかの」
「…私が?」
「俺は部活じゃき、遅くに行ったらブン太も疲れるじゃろ」
確かにそうかもしれない、けど。私なんかが行ってもいいんだろうか。そんなことしか頭の中で考えられなかった。拒絶されないかとか、もう俺と関係ない奴がなんで来るんだって思われないかとか。付き合っていたころには抱いたことのない不安感。だけど、仁王がせっかくチャンスをくれようとしてるんだからと自分に言い聞かせて、仁王が私に差し出している資料を受け取った。
放課後になって、自分の荷物と一緒に仁王から預かったブン太の資料を鞄に仕舞うと、重い足取りながらも学校を後にした。今から自分がする行動と、向かう先を考えると、極度の緊張で心臓がばくばくしてくる。彼の家までにある公園を横切ろうとしたとき、ベンチに座る人影が目に入った。その人物が目についても仕方ない。街中では滅多に見かけることのない赤い髪の毛だったから。だけどただベンチに座っているだけじゃなくて、下を向いていた。どこか様子の変な彼に気付いて、勇気を振り絞って近づいてみた。
「ブン太?」
「お、お前…」
私の声に反応して顔をあげたブン太は、すごく顔色が悪く見えた。肩で息をしていて、どこか呼吸もしづらそうに思える。彼の横にある大きなスーパーの袋を見る限り、どこかに買い物でも行ってたんだろうってことは分かるけれど。
「ちょっ…、大丈夫?」
「だい、じょうぶ、だって…」
「全然大丈夫じゃないでしょ!熱はあるの?」
「ねえから…」
その答えが嘘だと思った私はブン太の額に掌をあてると、すごく高い体温を掌に感じた。私の手を振り払おうとしているブン太だけど、熱のせいからか、力が全然入ってない。なんでこの状態で家を出たのか聞いてみると、彼は自分自身に呆れているかのようにつぶやいた。
「弟たちが、腹減ったっつーから…家になんもねえし」
ブン太の親は共働きだから、弟くんたちの世話はほとんどブン太に任されていた。弟くんたちもまだ小さいからブン太の体調のこととかはよく分からないんだと思う。きっと、ブン太本人が大丈夫だって言って家を出て来たんじゃないかな。とにかくこんな所でじっとしててもしょうがないと思って、私はブン太の前にしゃがみ込んだ。
「ね、家まであと少しだから、頑張って歩ける?」
なるべくゆっくりとそう言葉にすると、ブン太はこくんと頷いた。それを確認してから彼の横にあった袋を手にすると、見かけによらず軽いことに少し驚いた。
「それ、ぐらい持てる…」
「意地張らなくていいの。早く帰ろう?」
そして私たちは、ゆっくりながらも帰路についた。多分私は、彼にどれだけ拒否されたって放っておけなかったと思う。別れたくせに自分のことみたいに思ってしまうのはおかしいとは思う。ブン太が病人だからっていうのもあるけど、それだけだと言ったら確実に嘘になってしまう。
目眩く、恋物語
彼がいないと、真っ白なままだから
今日何度目の溜息だろう。この間あんなことがあった次の日から3日間。ブン太は学校を休んでいた。ブン太は風邪を引くと長引くタイプだって自分で言っていたから、少し心配だった。それに、ブン太が学校にいないだけで体から何かが抜けていったような気持ちになる。まるでブン太に会うために学校に来てるような、そんな感覚。何かを話すとかそういうわけでもないのに、なんでだろう。私が心配する必要なんてないのに。
「はな」
「あ、仁王…」
「お前さんに頼み事があるんじゃが、聞いてくれるかの」
まとめてホッチキスで止められた修学旅行の資料を片手にわたしの肩を叩いてきた仁王は、なにか面白そうなことでも思い浮かんだような顔をしていた。そういえばもう修学旅行だし、ブン太、早く風邪治るといいな。なんて考えながらもその資料に書いてある名前を見て、頭が特別良いわけでもない私でもすぐに仁王の考えが分かった。
「これ、ブン太に届けてやってくれんかの」
「…私が?」
「俺は部活じゃき、遅くに行ったらブン太も疲れるじゃろ」
確かにそうかもしれない、けど。私なんかが行ってもいいんだろうか。そんなことしか頭の中で考えられなかった。拒絶されないかとか、もう俺と関係ない奴がなんで来るんだって思われないかとか。付き合っていたころには抱いたことのない不安感。だけど、仁王がせっかくチャンスをくれようとしてるんだからと自分に言い聞かせて、仁王が私に差し出している資料を受け取った。
放課後になって、自分の荷物と一緒に仁王から預かったブン太の資料を鞄に仕舞うと、重い足取りながらも学校を後にした。今から自分がする行動と、向かう先を考えると、極度の緊張で心臓がばくばくしてくる。彼の家までにある公園を横切ろうとしたとき、ベンチに座る人影が目に入った。その人物が目についても仕方ない。街中では滅多に見かけることのない赤い髪の毛だったから。だけどただベンチに座っているだけじゃなくて、下を向いていた。どこか様子の変な彼に気付いて、勇気を振り絞って近づいてみた。
「ブン太?」
「お、お前…」
私の声に反応して顔をあげたブン太は、すごく顔色が悪く見えた。肩で息をしていて、どこか呼吸もしづらそうに思える。彼の横にある大きなスーパーの袋を見る限り、どこかに買い物でも行ってたんだろうってことは分かるけれど。
「ちょっ…、大丈夫?」
「だい、じょうぶ、だって…」
「全然大丈夫じゃないでしょ!熱はあるの?」
「ねえから…」
その答えが嘘だと思った私はブン太の額に掌をあてると、すごく高い体温を掌に感じた。私の手を振り払おうとしているブン太だけど、熱のせいからか、力が全然入ってない。なんでこの状態で家を出たのか聞いてみると、彼は自分自身に呆れているかのようにつぶやいた。
「弟たちが、腹減ったっつーから…家になんもねえし」
ブン太の親は共働きだから、弟くんたちの世話はほとんどブン太に任されていた。弟くんたちもまだ小さいからブン太の体調のこととかはよく分からないんだと思う。きっと、ブン太本人が大丈夫だって言って家を出て来たんじゃないかな。とにかくこんな所でじっとしててもしょうがないと思って、私はブン太の前にしゃがみ込んだ。
「ね、家まであと少しだから、頑張って歩ける?」
なるべくゆっくりとそう言葉にすると、ブン太はこくんと頷いた。それを確認してから彼の横にあった袋を手にすると、見かけによらず軽いことに少し驚いた。
「それ、ぐらい持てる…」
「意地張らなくていいの。早く帰ろう?」
そして私たちは、ゆっくりながらも帰路についた。多分私は、彼にどれだけ拒否されたって放っておけなかったと思う。別れたくせに自分のことみたいに思ってしまうのはおかしいとは思う。ブン太が病人だからっていうのもあるけど、それだけだと言ったら確実に嘘になってしまう。
目眩く、恋物語
彼がいないと、真っ白なままだから
