沫系
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まだ17時だというのに、眠気に襲われて仕方なかった。最近あんまりちゃんと眠れてなかったからかもしれない。ベッドの上でうとうとしていると、知らない間に意識を手放していた。
目を覚ますともう20時を越えていて、もう一度寝直そうと寝返りをうったときに、携帯のランプが光っているのが見えた。開いてみると“着信あり”の文字。もう一度ボタンを押してみると、連絡の来るはずのない相手からで、思わず飛び起きてしまった。馬鹿みたいに、眠気さえ吹っ飛んでいった。
「ぶ、ブン太…?」
着信があったのは18時頃で、多分眠りの一番深い時だったんじゃないかと思う。すやすや寝てた自分が恨めしい。掛け間違いかもしれないと思ったけど、呼び出し時間が長かったみたいだからもしかしたら何かあったのかも、なんて都合よく考えることしかできなかった。ブン太からの着信履歴の画面で勇気を振り絞って通話ボタンを押すと、呼び出し中の画面になった。携帯を耳に当てると、定期的な呼び出し音が鼓膜に響く。今ブン太の携帯が鳴ってるのかもしれないと思うと心臓がばくばく鳴ってうるさかった。
だけど、5回、6回。呼び出し音を長く聞けば聞くほど、肩から力が抜けていった。今までも少なからず経験したことのある「諦め」。しばらくすると女の人の機械音が聞こえてきて、仕方なく電源ボタンを押すと、もう一度ベッドに体を預けた。着信なんて嘘だったんじゃないかと思うほどの喪失感に心がずきんと痛んだ。明日ちゃんと勇気を出して聞いてみよう。
その「明日」はすぐにやってきた。授業と授業の休憩時間。教室を出ていったブン太を追うと、うるさい心臓を少しでも抑えるために深呼吸をした。その時に見えた背中がなぜか妙に愛おしくて胸がぎゅっと締め付けられた。付き合っていた頃、どうやってブン太と接していたのか思い出せない。ずんずんと歩いていくブン太を引き止めようと声を絞り出した。周りにちらほら人がいたけど、そんなの気にならなかった。
「ぶ、ブン太」
「んあ、どうした?」
すぐにブン太が振り向いて、体が震えた。声をかけてきたのが私だってわかったら、話をしてくれない気がしたから。立ち止まってくれたブン太に、早く言わなきゃいけないという気持ちが先立ってなかなか言葉が出てこなかった。
「昨日電話掛かってきてたけど、何かあったの?」
「…あー、やっぱ掛かっちまってた?」
「え?それって…」
まるでブン太本人は掛けてないかの口調に、期待していた自分に情けなさを感じた。もしかしたらブン太が私になにか用事あるのかな、って。まともに話もしてなかったんだからそんなことあるわけないのに。
「昨日一緒にいた奴らが面白半分に掛けたみたいでよ」
「だ、だって呼び出し時間長かったから何かあったのかって…」
「悪い悪い、次からは気ぃつけるわ」
もう終わったんだから、ブン太が私なんかに用事があるわけないじゃない。そう言い聞かせてみても、鼻の奥がつんとして、じわりと歪んだ視界に思わず下を向いた。最悪。勝手に勘違いして、揚句の果てに泣きだして。そう分かっていても簡単には止まらなくて、逃げだしたい気持ちに駆られた。
「お、おい、泣くなよ」
「ち、ちが…」
「俺が悪かったって、お前ってよく泣くよな?」
「ちょっ」
がしがしと髪を撫ぜられて、心臓がどくんと跳ね上がった。もう触れられることなんてないと思ってたから。ずっと撫ぜていてほしかったのに、そんな願いは叶うわけもなく、なんの惜しみもなくその温もりは離れていった。
「じゃあな」
そう言ってブン太はまた歩いていってしまった。これから、こんなふうにしてわたしは置いていかれるのかな。別れてから気付いてしまったこと。
追いかけたくなる背中
私の中で、彼は必要不可欠な存在になっていた
目を覚ますともう20時を越えていて、もう一度寝直そうと寝返りをうったときに、携帯のランプが光っているのが見えた。開いてみると“着信あり”の文字。もう一度ボタンを押してみると、連絡の来るはずのない相手からで、思わず飛び起きてしまった。馬鹿みたいに、眠気さえ吹っ飛んでいった。
「ぶ、ブン太…?」
着信があったのは18時頃で、多分眠りの一番深い時だったんじゃないかと思う。すやすや寝てた自分が恨めしい。掛け間違いかもしれないと思ったけど、呼び出し時間が長かったみたいだからもしかしたら何かあったのかも、なんて都合よく考えることしかできなかった。ブン太からの着信履歴の画面で勇気を振り絞って通話ボタンを押すと、呼び出し中の画面になった。携帯を耳に当てると、定期的な呼び出し音が鼓膜に響く。今ブン太の携帯が鳴ってるのかもしれないと思うと心臓がばくばく鳴ってうるさかった。
だけど、5回、6回。呼び出し音を長く聞けば聞くほど、肩から力が抜けていった。今までも少なからず経験したことのある「諦め」。しばらくすると女の人の機械音が聞こえてきて、仕方なく電源ボタンを押すと、もう一度ベッドに体を預けた。着信なんて嘘だったんじゃないかと思うほどの喪失感に心がずきんと痛んだ。明日ちゃんと勇気を出して聞いてみよう。
その「明日」はすぐにやってきた。授業と授業の休憩時間。教室を出ていったブン太を追うと、うるさい心臓を少しでも抑えるために深呼吸をした。その時に見えた背中がなぜか妙に愛おしくて胸がぎゅっと締め付けられた。付き合っていた頃、どうやってブン太と接していたのか思い出せない。ずんずんと歩いていくブン太を引き止めようと声を絞り出した。周りにちらほら人がいたけど、そんなの気にならなかった。
「ぶ、ブン太」
「んあ、どうした?」
すぐにブン太が振り向いて、体が震えた。声をかけてきたのが私だってわかったら、話をしてくれない気がしたから。立ち止まってくれたブン太に、早く言わなきゃいけないという気持ちが先立ってなかなか言葉が出てこなかった。
「昨日電話掛かってきてたけど、何かあったの?」
「…あー、やっぱ掛かっちまってた?」
「え?それって…」
まるでブン太本人は掛けてないかの口調に、期待していた自分に情けなさを感じた。もしかしたらブン太が私になにか用事あるのかな、って。まともに話もしてなかったんだからそんなことあるわけないのに。
「昨日一緒にいた奴らが面白半分に掛けたみたいでよ」
「だ、だって呼び出し時間長かったから何かあったのかって…」
「悪い悪い、次からは気ぃつけるわ」
もう終わったんだから、ブン太が私なんかに用事があるわけないじゃない。そう言い聞かせてみても、鼻の奥がつんとして、じわりと歪んだ視界に思わず下を向いた。最悪。勝手に勘違いして、揚句の果てに泣きだして。そう分かっていても簡単には止まらなくて、逃げだしたい気持ちに駆られた。
「お、おい、泣くなよ」
「ち、ちが…」
「俺が悪かったって、お前ってよく泣くよな?」
「ちょっ」
がしがしと髪を撫ぜられて、心臓がどくんと跳ね上がった。もう触れられることなんてないと思ってたから。ずっと撫ぜていてほしかったのに、そんな願いは叶うわけもなく、なんの惜しみもなくその温もりは離れていった。
「じゃあな」
そう言ってブン太はまた歩いていってしまった。これから、こんなふうにしてわたしは置いていかれるのかな。別れてから気付いてしまったこと。
追いかけたくなる背中
私の中で、彼は必要不可欠な存在になっていた
