沫系
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時間を戻したいって、願ったって後悔したって遅いのは分かってるはずだった。もしやり直せるなら、私はどうするんだろう。
一瞬上の空になってしまったものの、遠くからジローくんを探す声が聞こえてはっと我に返った。めずらしく真剣な顔をしていたジローくんも、その言葉でぱっと顔をあげた。
「あ、試合だ〜」
「頑張ってね」
「…はなちゃん、俺、まだ二人のこと応援してるからね」
そう一言残してから、ジローくんは私に手を振って騒がしいままのコートへと戻っていった。たったの数分しか話していなかったはずなのに、何時間も話していたかのように感じる。ブン太、私、ブン太のことを考えない日なんてないんだよ。皮肉にも、その比率は付き合っていた頃よりも大きいのかもしれない。失ってから気付く大馬鹿者なんだ、私は。
少ししてから重い足を浮かせて歩き出すと、もう一度コートに向かった。そっと覗き込むと、すぐに目についたのはジャッカルくんとペアを組んでいたブン太だった。ブン太が点を入れる度に女の子はきゃーきゃー騒いで、その度に私の心はこの場から離れていった。この子たちは、ずっとブン太のことを想って、ずっとこんなに近い場所からブン太のことを見ていたのかな。これからもきっと、ずっとそうだ。そう考えると、とても怖いとおもった。この子たちはこれからブン太に好きだと伝えることが出来る。出来れば私も、彼女だった頃に来たかった。ブン太に怒られたって、大声で応援したかった。じわりと浮かんでくる涙を堪えようと息を飲み込んだ。
トイレを済ませて手を洗って顔をあげると、悲しそうな顔をした自分の顔が鏡に映った。遠くから聞こえる騒がしい音に置いていかれてるような不安を感じてる顔。ブン太と付き合ってた頃の幸せそうだった自分が憎らしいほどに。
トイレから出て、門に向かおうとしたところで、壁打ちをする音が近くから聞こえた。校舎の角を覗いてみると、そこには思ってもなかった姿があった。
「仁王…」
「おー、お前さん来とったんか」
「う、うん」
仁王は壁から跳ね返ってきた球をぱしっと掌で受け止めると、私に目を向けた。いつもと違ってどこか鋭い目付きにびくっと肩を震わせてしまう。いつもの仁王じゃなくて、まるで敵を睨みつけるような視線。
「誰に呼ばれたんじゃ?」
よそ者扱いをするような態度の仁王におもわず言葉を失った。いつもは冗談を言って私をからかったりするのに、なぜか今日は恐怖さえ感じる。
「赤也くんに…」
「ふーん…で、結局、誰目当てで来たんじゃろな」
「何なの、仁王!なんか今日、ちょっと怖いよ…」
我慢できなくなって私が問い掛けると、彼はどこか苛ついたように手にあったボールを握りしめた。
「お前はブン太が好きなんじゃろ?」
「え…」
「好きだったら、今日だって隠れんでちゃんと応援しろ」
「だ、だって、それはブン太にとって迷惑で…」
「お前さんが勝手に抱え込んで勝手に傷付くんなら、それはそれであいつにとっちゃ迷惑じゃき」
冷たい言葉に、何も言い返せずに口を紡いでしまった。何なの、いきなり。ブン太のことは仁王には関係ない、はず。そう自分に言い聞かせている内に思い浮かんだのは、赤也くんやジローくん、りなちゃんの顔。私、今まで色んな人に相談してきた。それなのに結局うじうじして行動に移したり出来てなくて。
赤也、くん。今日、彼に呼ばれて、応援するって約束したはずなのに、一度も彼の試合を見てないままだった。ずっとブン太ばっかり見て、自分のことしか考えてなかった。本当に、最低だ、わたし。
「…責めとるわけじゃないからの」
足の力が抜けてしゃがみ込むと、ぶわっと涙が溢れ出てきた。ずっと分かってたのに。いつでも、何をしてても、頭の中には彼が浮かんでた。
「、んた…」
「………」
「仁王、私、ブン太が好きなのっ、別れたくなかっ…」
「…すまん」
仁王が、俺はお前さんに素直になって欲しかったんじゃ、って優しい声で言いながら頭を撫ぜてくれるもんだから、余計に涙が止まらなかった。
たった一人、君だけを
結果がどうなったって、もう一度彼を想って、前に進みたいって思った
一瞬上の空になってしまったものの、遠くからジローくんを探す声が聞こえてはっと我に返った。めずらしく真剣な顔をしていたジローくんも、その言葉でぱっと顔をあげた。
「あ、試合だ〜」
「頑張ってね」
「…はなちゃん、俺、まだ二人のこと応援してるからね」
そう一言残してから、ジローくんは私に手を振って騒がしいままのコートへと戻っていった。たったの数分しか話していなかったはずなのに、何時間も話していたかのように感じる。ブン太、私、ブン太のことを考えない日なんてないんだよ。皮肉にも、その比率は付き合っていた頃よりも大きいのかもしれない。失ってから気付く大馬鹿者なんだ、私は。
少ししてから重い足を浮かせて歩き出すと、もう一度コートに向かった。そっと覗き込むと、すぐに目についたのはジャッカルくんとペアを組んでいたブン太だった。ブン太が点を入れる度に女の子はきゃーきゃー騒いで、その度に私の心はこの場から離れていった。この子たちは、ずっとブン太のことを想って、ずっとこんなに近い場所からブン太のことを見ていたのかな。これからもきっと、ずっとそうだ。そう考えると、とても怖いとおもった。この子たちはこれからブン太に好きだと伝えることが出来る。出来れば私も、彼女だった頃に来たかった。ブン太に怒られたって、大声で応援したかった。じわりと浮かんでくる涙を堪えようと息を飲み込んだ。
トイレを済ませて手を洗って顔をあげると、悲しそうな顔をした自分の顔が鏡に映った。遠くから聞こえる騒がしい音に置いていかれてるような不安を感じてる顔。ブン太と付き合ってた頃の幸せそうだった自分が憎らしいほどに。
トイレから出て、門に向かおうとしたところで、壁打ちをする音が近くから聞こえた。校舎の角を覗いてみると、そこには思ってもなかった姿があった。
「仁王…」
「おー、お前さん来とったんか」
「う、うん」
仁王は壁から跳ね返ってきた球をぱしっと掌で受け止めると、私に目を向けた。いつもと違ってどこか鋭い目付きにびくっと肩を震わせてしまう。いつもの仁王じゃなくて、まるで敵を睨みつけるような視線。
「誰に呼ばれたんじゃ?」
よそ者扱いをするような態度の仁王におもわず言葉を失った。いつもは冗談を言って私をからかったりするのに、なぜか今日は恐怖さえ感じる。
「赤也くんに…」
「ふーん…で、結局、誰目当てで来たんじゃろな」
「何なの、仁王!なんか今日、ちょっと怖いよ…」
我慢できなくなって私が問い掛けると、彼はどこか苛ついたように手にあったボールを握りしめた。
「お前はブン太が好きなんじゃろ?」
「え…」
「好きだったら、今日だって隠れんでちゃんと応援しろ」
「だ、だって、それはブン太にとって迷惑で…」
「お前さんが勝手に抱え込んで勝手に傷付くんなら、それはそれであいつにとっちゃ迷惑じゃき」
冷たい言葉に、何も言い返せずに口を紡いでしまった。何なの、いきなり。ブン太のことは仁王には関係ない、はず。そう自分に言い聞かせている内に思い浮かんだのは、赤也くんやジローくん、りなちゃんの顔。私、今まで色んな人に相談してきた。それなのに結局うじうじして行動に移したり出来てなくて。
赤也、くん。今日、彼に呼ばれて、応援するって約束したはずなのに、一度も彼の試合を見てないままだった。ずっとブン太ばっかり見て、自分のことしか考えてなかった。本当に、最低だ、わたし。
「…責めとるわけじゃないからの」
足の力が抜けてしゃがみ込むと、ぶわっと涙が溢れ出てきた。ずっと分かってたのに。いつでも、何をしてても、頭の中には彼が浮かんでた。
「、んた…」
「………」
「仁王、私、ブン太が好きなのっ、別れたくなかっ…」
「…すまん」
仁王が、俺はお前さんに素直になって欲しかったんじゃ、って優しい声で言いながら頭を撫ぜてくれるもんだから、余計に涙が止まらなかった。
たった一人、君だけを
結果がどうなったって、もう一度彼を想って、前に進みたいって思った
