沫系
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照り付ける太陽に目をやると、彼らにとっては絶好の試合日和だな、と感じた。曇みたいな曖昧な天気の下で試合したって、きっと楽しくはないだろうから。赤也くんに応援しに行くと約束した練習試合の日は、悩む間もなくあっという間にやってきた。見てるだけとは言え、ブン太に気付かれるとか、ばったり出くわす確率とか。高くはないけど低くもない。だけど赤也くんと約束した手前、悩んでる暇もないと意を決してやってきたのだけれど。練習試合とは言え、テニスコートの周辺は応援に来た女子たちばかり。氷帝の学生も来てるみたいだから、放課後の練習の時よりはかなり人数が増えてる。少しでも目立たないようにとキャップ帽を被ってきたけど、日差しは凌げてもよけいに暑さを感じた。少し遅れて来たからかもう試合は始まっているようで、わたしは黄色い声援の元である集団に紛れ込んで、フェンス越しにコートを覗いてみた。
(居ない…)
こんな時でも私が無意識に探してしまうのはやっぱりあの人で、本来なら目立つはずの赤い髪がないことにがっくりと肩を落とした。どうしてまだ諦められてないんだろう。ブン太の気持ちは直接じゃないとしてもちゃんと聞いたはずなのに。コートに入っていた赤也くんは楽しそうにしているのに、こんな気持ちで応援しちゃいけないとおもって一度集団から離れた。
「あれ~、はなちゃん?」
「ジローくん!」
「どうしたの?そんなに隅っこで」
体育倉庫の屋根でできた陰の中でふう、と一息ついていると、聞き覚えのあるふにゃっとした声が耳に届いた。声のした方に目を向けると、ブン太と仲が良いジローくんがいた。ブン太が紹介してくれて、氷帝と試合があった日は試合後によく三人でご飯食べに行ったっけ。ジローくんも私たちのことをすごく応援してくれてたし、彼の人懐っこい性格のおかげで、なんだか昔から友達だったみたいな感覚ですぐに仲良くなれた。
「丸井くんなら今自主練してるよ~。ほら、こっち…」
「あ、いいの!」
「え、どうして~?」
あ、そっか。ジローくんもまだ知らないんだ。私の腕を引いて行ってしまいそうな彼を制止させると、彼は不思議そうな顔で私を見つめた。こうやって口にするのは、だんだんと自分の中でその現実がはっきりと濃くなっていくから嫌だったけど、今は仕方がない。
「えっと…少し前にブン太と別れたの」
「…え?」
ぽかんとする彼に、なんだか少しだけ悲しくなった。ブン太と別れたことをまた実感してしまったことと、せっかく仲良くなれたジローくんとももう関わりがなくなるということ。そう考えると、ブン太は本当に色んなものを私にくれて、色んなことを教えてくれたんだな、と身に染みた。
「…でも俺、ちゃんと聞いたよ?最近どうなの?って聞いたら上手くいってないとは言ってたけど…」
彼の言葉を理解するのに少しだけ時間が掛かった。ジローくんに別れた、って言ってない…?ほんの少し心が浮つきそうになったけれど、すぐに思い浮かんだ理由にそんな気持ちはどこかへ飛んでいった。きっと、私がお母さん達に言えなかったような気持ちと同じなんだ。
「きっと、ジローくんには言いにくかったんだよ。ずっと応援してくれてたし…」
「ほんとに別れちゃったなんて、かなりショックだC~…」
こうやって、みんなが私たちが別れたことを知っていくんだと思うと、胸にぽっかり穴が開いたような気持ちになった。最終的には、私もブン太も。みんな忘れちゃうんだ。私たちが付き合っていたっていう証を。
ふれあうことのない感情
思い出なんて、残さなければよかった
(居ない…)
こんな時でも私が無意識に探してしまうのはやっぱりあの人で、本来なら目立つはずの赤い髪がないことにがっくりと肩を落とした。どうしてまだ諦められてないんだろう。ブン太の気持ちは直接じゃないとしてもちゃんと聞いたはずなのに。コートに入っていた赤也くんは楽しそうにしているのに、こんな気持ちで応援しちゃいけないとおもって一度集団から離れた。
「あれ~、はなちゃん?」
「ジローくん!」
「どうしたの?そんなに隅っこで」
体育倉庫の屋根でできた陰の中でふう、と一息ついていると、聞き覚えのあるふにゃっとした声が耳に届いた。声のした方に目を向けると、ブン太と仲が良いジローくんがいた。ブン太が紹介してくれて、氷帝と試合があった日は試合後によく三人でご飯食べに行ったっけ。ジローくんも私たちのことをすごく応援してくれてたし、彼の人懐っこい性格のおかげで、なんだか昔から友達だったみたいな感覚ですぐに仲良くなれた。
「丸井くんなら今自主練してるよ~。ほら、こっち…」
「あ、いいの!」
「え、どうして~?」
あ、そっか。ジローくんもまだ知らないんだ。私の腕を引いて行ってしまいそうな彼を制止させると、彼は不思議そうな顔で私を見つめた。こうやって口にするのは、だんだんと自分の中でその現実がはっきりと濃くなっていくから嫌だったけど、今は仕方がない。
「えっと…少し前にブン太と別れたの」
「…え?」
ぽかんとする彼に、なんだか少しだけ悲しくなった。ブン太と別れたことをまた実感してしまったことと、せっかく仲良くなれたジローくんとももう関わりがなくなるということ。そう考えると、ブン太は本当に色んなものを私にくれて、色んなことを教えてくれたんだな、と身に染みた。
「…でも俺、ちゃんと聞いたよ?最近どうなの?って聞いたら上手くいってないとは言ってたけど…」
彼の言葉を理解するのに少しだけ時間が掛かった。ジローくんに別れた、って言ってない…?ほんの少し心が浮つきそうになったけれど、すぐに思い浮かんだ理由にそんな気持ちはどこかへ飛んでいった。きっと、私がお母さん達に言えなかったような気持ちと同じなんだ。
「きっと、ジローくんには言いにくかったんだよ。ずっと応援してくれてたし…」
「ほんとに別れちゃったなんて、かなりショックだC~…」
こうやって、みんなが私たちが別れたことを知っていくんだと思うと、胸にぽっかり穴が開いたような気持ちになった。最終的には、私もブン太も。みんな忘れちゃうんだ。私たちが付き合っていたっていう証を。
ふれあうことのない感情
思い出なんて、残さなければよかった
