沫系
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昨日、委員会が終わったあとにその教室のごみ捨てを頼まれてしまった。ただでさえ長引いた委員会で帰るのが遅くなったというのに、と気が重かったけれど、頼まれたら断れない私はごみを持って渋々とごみ捨て場に向かった。あそこまでタイミングが良すぎたのは、私にとってはこれ以上ない不幸だった。
「もうあいつのこと、何とも思ってねえから」
校舎の曲がり角の先から聞こえてきたその言葉。見なくたってその声の持ち主が誰かなんて分かっていたから、私の耳に届いた言葉は、残酷にも心に突き刺さった。分かっていた筈のことなのに、胸に痛みが走る。ブン太の口から直接聞くほどの余裕はまだなかったんだと思う。指定された場所にごみを静かに置いて、そのまま気付かれないようにその場を離れた。
悲しいのに、不思議と涙は出なかった。出来ることなら戻りたいって思ってたけど、ブン太とこの先どうにかなるなんて、本当は期待してなかったのかもしれない。
「あたしは人の気持ちがそんなに簡単に変わるとは思わないけどな」
「そうかな…」
「あんたたちは別に、お互い嫌いになって別れたわけじゃないんだし」
お昼休み、みんながガヤガヤと楽しそうに食事をしている教室の中。結局もやもやしてる時間が惜しくて、気が付けばりなちゃんに相談している自分がいた。考えないようにしてたってブン太のことが頭から離れない。一人でずっと考えてたって話を聞いちゃった事実を変えることは出来ないと思ったから。
「また片思いから始めればいいだけのことだよ」
「片思い、から…」
「そ、だからあんたは何も聞かなかった!良い?」
「わ、分かった!」
もう終わったって思うから駄目なのかな。もう一度初めから、ゼロから始めればいいんだ。そう考えると、またがんばれそうな気がした。少し気が軽くなったところで、私の耳には聞き慣れた声。
「はな先輩!」
「あれ、赤也くん」
「赤也、昼休みなのにどうしたの?」
「お話の途中悪いんスけど、ちょっと来て下さい」
「え、ちょっ…」
「ちょ、はな!」
赤也くんは私の腕を引いて立ち上がらせると、りなちゃんの声と私の意思そっちのけで教室から離れていった。昼休みとはいえ、もちろん教室にはブン太もいるから、こんな場面は正直見られたくない。せめて私は目をぎゅっと瞑ってブン太の方を見ないようにしていた。心配しなくたって彼の目に私が映るわけないのに。
「ど、どうしたの?赤也くん」
早歩きで辿り着いたのは屋上で、ちらほらと昼ご飯を食べている人たちが目に入った。赤也くんがフェンスにもたれて座り込んだから、私も同じように隣に腰を下ろした。いつもと同じだけど、どこか元気がないように思えた。
「先輩」
「ん?」
「今週練習試合あるんスけど、見に来ません?」
いきなりの誘いに驚いてしまった。赤也くんの試合を見に行くってことは、もちろんブン太もいるってことだよね?付き合っていた頃は来ちゃ駄目だって言われてたから、ブン太の目を盗んでこっそり見に行ったこともあったけど、今はこそこそしなくてもいいんだよね?もう一度、ブン太がテニスをしているところが見たい。
「行きたい、かも」
「っし!日曜10時からなんで忘れないで下さいよ」
「うん、分かった」
この時は全然わかってなかった。私は、自分のことしか考えてなかったんだってこと。
たちどまることは許されない
時間が止まってくれることはないから
「もうあいつのこと、何とも思ってねえから」
校舎の曲がり角の先から聞こえてきたその言葉。見なくたってその声の持ち主が誰かなんて分かっていたから、私の耳に届いた言葉は、残酷にも心に突き刺さった。分かっていた筈のことなのに、胸に痛みが走る。ブン太の口から直接聞くほどの余裕はまだなかったんだと思う。指定された場所にごみを静かに置いて、そのまま気付かれないようにその場を離れた。
悲しいのに、不思議と涙は出なかった。出来ることなら戻りたいって思ってたけど、ブン太とこの先どうにかなるなんて、本当は期待してなかったのかもしれない。
「あたしは人の気持ちがそんなに簡単に変わるとは思わないけどな」
「そうかな…」
「あんたたちは別に、お互い嫌いになって別れたわけじゃないんだし」
お昼休み、みんながガヤガヤと楽しそうに食事をしている教室の中。結局もやもやしてる時間が惜しくて、気が付けばりなちゃんに相談している自分がいた。考えないようにしてたってブン太のことが頭から離れない。一人でずっと考えてたって話を聞いちゃった事実を変えることは出来ないと思ったから。
「また片思いから始めればいいだけのことだよ」
「片思い、から…」
「そ、だからあんたは何も聞かなかった!良い?」
「わ、分かった!」
もう終わったって思うから駄目なのかな。もう一度初めから、ゼロから始めればいいんだ。そう考えると、またがんばれそうな気がした。少し気が軽くなったところで、私の耳には聞き慣れた声。
「はな先輩!」
「あれ、赤也くん」
「赤也、昼休みなのにどうしたの?」
「お話の途中悪いんスけど、ちょっと来て下さい」
「え、ちょっ…」
「ちょ、はな!」
赤也くんは私の腕を引いて立ち上がらせると、りなちゃんの声と私の意思そっちのけで教室から離れていった。昼休みとはいえ、もちろん教室にはブン太もいるから、こんな場面は正直見られたくない。せめて私は目をぎゅっと瞑ってブン太の方を見ないようにしていた。心配しなくたって彼の目に私が映るわけないのに。
「ど、どうしたの?赤也くん」
早歩きで辿り着いたのは屋上で、ちらほらと昼ご飯を食べている人たちが目に入った。赤也くんがフェンスにもたれて座り込んだから、私も同じように隣に腰を下ろした。いつもと同じだけど、どこか元気がないように思えた。
「先輩」
「ん?」
「今週練習試合あるんスけど、見に来ません?」
いきなりの誘いに驚いてしまった。赤也くんの試合を見に行くってことは、もちろんブン太もいるってことだよね?付き合っていた頃は来ちゃ駄目だって言われてたから、ブン太の目を盗んでこっそり見に行ったこともあったけど、今はこそこそしなくてもいいんだよね?もう一度、ブン太がテニスをしているところが見たい。
「行きたい、かも」
「っし!日曜10時からなんで忘れないで下さいよ」
「うん、分かった」
この時は全然わかってなかった。私は、自分のことしか考えてなかったんだってこと。
たちどまることは許されない
時間が止まってくれることはないから
