沫系
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たとえ相手が先輩だとしても、俺にだって疑問に思うこととか、おかしいだろって思うことはある。それは当たり前のことだろ?
思い立ったらすぐ行動。まさにそんな性格の俺は、部活が終わったあと、丸井先輩が手洗い場に向かっていったのを見て、俺も後を追いかけた。手洗い場に近づくにつれてぱしゃぱしゃとみずみずしい音が耳に入ってくる。丸井先輩は顔を洗い終えたあと、きゅっと音を立てて蛇口を閉めると、顔を拭いていたタオルの隙間から俺を見つけた。
「おー、赤也。お前も顔洗えば?すっきりするぜ」
「…そうっスね」
俺の声のトーンの低さに気が付いたのか、丸井先輩の動作は少し止まって、タオルを首にかけると体ごと俺の方に向けた。何があったかとか、さっぱり分かってない様子の先輩。そりゃそうだ。丸井先輩の中では、俺ははな先輩と丸井先輩の関係を知らないってことになってるから。だから俺も、先輩たちはなんの関係もなかったってことにする。
「丸井先輩、はな先輩って知ってますか?」
俺の口から発せられた言葉に、丸井先輩はぴくっと反応して、明らかに今までとは違う反応をした。でも、特に驚いてる様子もない。先輩は呆れたように笑みを漏らすと、鋭い目つきを俺に向けた。
「随分遠回しじゃねえの、お前らしくもねえ」
普段の俺が直球勝負だということを考えると、先輩がそう考えるのも無理はないと思った。それだけ今回のことに関しては真剣なんだってこと、先輩は多分もう気付いてるだろう。
「なんではな先輩と付き合ってた時、俺隠してたんスか?」
「んなの、お前があいつに懐きそうな犬っころだからに決まってんだろぃ」
先輩は何の迷いもなく、はっきりとそう言った。俺は人の、ましてや先輩の彼女を奪ったりなんかしない。なんで俺をそういう風に捉えたのか、多分それは丸井先輩にしか分からないことだろう。そんなことを考えていると、ふとした疑問が頭を過ぎった。
「…じゃあ、今はいいんスか?」
「当然」
表情の変わらない丸井先輩を、少し怖くも感じた。俺が何も言わなくなったことに気付いたのか、丸井先輩は俺の横を通り過ぎて部室に戻ろうと歩き出した。かと思えば何かを思い出したかのように、ぴたりと止まって俺を振り返る。
「赤也」
「…何スか?」
「俺のことは気にすんな。もうあいつのこと、何とも思ってねえから」
頑張れよ、と笑うと、丸井先輩は部室の方へと足を向けた。今日、丸井先輩のことで嬉しそうに笑っていたはな先輩を思いだすと、少し胸が痛んで、俺はしばらくその場に立ち尽くしていた。
曲がってしまった一本道
そのとき、彼女が近くにいたなんて、まったく気がつかなかった
思い立ったらすぐ行動。まさにそんな性格の俺は、部活が終わったあと、丸井先輩が手洗い場に向かっていったのを見て、俺も後を追いかけた。手洗い場に近づくにつれてぱしゃぱしゃとみずみずしい音が耳に入ってくる。丸井先輩は顔を洗い終えたあと、きゅっと音を立てて蛇口を閉めると、顔を拭いていたタオルの隙間から俺を見つけた。
「おー、赤也。お前も顔洗えば?すっきりするぜ」
「…そうっスね」
俺の声のトーンの低さに気が付いたのか、丸井先輩の動作は少し止まって、タオルを首にかけると体ごと俺の方に向けた。何があったかとか、さっぱり分かってない様子の先輩。そりゃそうだ。丸井先輩の中では、俺ははな先輩と丸井先輩の関係を知らないってことになってるから。だから俺も、先輩たちはなんの関係もなかったってことにする。
「丸井先輩、はな先輩って知ってますか?」
俺の口から発せられた言葉に、丸井先輩はぴくっと反応して、明らかに今までとは違う反応をした。でも、特に驚いてる様子もない。先輩は呆れたように笑みを漏らすと、鋭い目つきを俺に向けた。
「随分遠回しじゃねえの、お前らしくもねえ」
普段の俺が直球勝負だということを考えると、先輩がそう考えるのも無理はないと思った。それだけ今回のことに関しては真剣なんだってこと、先輩は多分もう気付いてるだろう。
「なんではな先輩と付き合ってた時、俺隠してたんスか?」
「んなの、お前があいつに懐きそうな犬っころだからに決まってんだろぃ」
先輩は何の迷いもなく、はっきりとそう言った。俺は人の、ましてや先輩の彼女を奪ったりなんかしない。なんで俺をそういう風に捉えたのか、多分それは丸井先輩にしか分からないことだろう。そんなことを考えていると、ふとした疑問が頭を過ぎった。
「…じゃあ、今はいいんスか?」
「当然」
表情の変わらない丸井先輩を、少し怖くも感じた。俺が何も言わなくなったことに気付いたのか、丸井先輩は俺の横を通り過ぎて部室に戻ろうと歩き出した。かと思えば何かを思い出したかのように、ぴたりと止まって俺を振り返る。
「赤也」
「…何スか?」
「俺のことは気にすんな。もうあいつのこと、何とも思ってねえから」
頑張れよ、と笑うと、丸井先輩は部室の方へと足を向けた。今日、丸井先輩のことで嬉しそうに笑っていたはな先輩を思いだすと、少し胸が痛んで、俺はしばらくその場に立ち尽くしていた。
曲がってしまった一本道
そのとき、彼女が近くにいたなんて、まったく気がつかなかった
