王子様たちと甘いひとときを
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*同棲中設定
雨が叩きつける中、傘も差さないで走りながら何度も何度も振り返ってみせた。目に映るのはどこまでもまっすぐに伸びた道と、それに映るわたしの影、だけ。
あの人がわたしを追いかけてくるなんて、今までだって一度もないんだから、期待なんかしてないけど。分かってる。
いつもそう。わたしが一方的に怒って部屋から飛び出して時間が経つまでぶらぶら歩いて。結局最後には雅治の元へ戻って、わたしが謝る。
多分、雅治からしてみたらわたしが勝手に怒って勝手に飛び出して勝手に謝るのなんて、馬鹿らしく思ってるだろう。自分でさえそう思うのだから。
世界から色が消えていったように、ひとりぼっちになってしまったような気がして胸が苦しくなった。
雨のせいで小さな子供すらいない小さな公園。それが今のわたしにとっては都合がいいもので、中に置かれてあったブランコへと座った。座る部分が雨に濡れていて、スカートが更にぐしゃぐしゃに濡れてしまう。
静かな公園の中でブランコがキィ…と寂しげに音をたてた。空の色が気味の悪い色に変わっていくのを、ただぼうっとしながら眺めていた。なんだか今日はもう雅治の元に戻りたくない。とても、とても惨めな気持ちで涙が止まらなかった。
「くっ…ううっ…」
また雅治に呆れられて、またか、って思われて。そんなのはもう嫌だ。揺れていたブランコを足で止めると、雨と自分の涙で滲んだ地面は、土がぐしゃぐしゃになっていた。雅治に少しでも可愛く思われたくて履いてきたミュールも、ほとんどが泥で覆われている。全身が濡れて冷たかったけれど、もうそんなことどうでも良かった。
どれほど時間が経ったのだろう。元々どんよりしていた空が、時間が経って更に暗くなってきた。なのに、帰る気にもなれない。だからと言ってこんな格好でどこにも行ける場所がない。少しづつ浮かび上がってきた空の中の星を見つめていると、ばしゃばしゃと水溜まりを蹴ってこちらに向かってくる足音が聞こえた。
暗闇の中で少しずつ慣れてきた目が雅治の姿を捕らえた。わたしはぎゅっと口を結んで、ブランコの鎖をさらにきつく握った。雅治の顔はよく見えないけど、きっと怒ってる顔してる。
「っ…はあっ…こんな所にいたんか…」
「まさ、はる…」
「傘も差さんと、何しとう。風邪ひくぜよ」
「べ、つに…来なくても、良かっ、たのに」
ぐちゃぐちゃの顔を見られたくなくて、思わず俯いてしまった。わたしは馬鹿だ。わざわざ探しに来てくれたのに、捻くれているのにもほどがある。自分の発言が怖くなって雅治の顔が見られず俯いていると、彼はふう、と息を整えてから私の方を向いた。
「それが人に心配させといて言う言葉か?」
少し強い口調で言われて思わずびくりと肩が揺れる。心配、って。雅治がわたしを?ああ、わたしって本当にどれだけ単純なんだ。おさまっていた涙が一気に流れだした。見られたくなくてとっさに俯いたけど、そんなの無駄だった。雅治からため息が漏れるのを聞くと同時に、傘を落としてわたしの握っていたブランコの鎖ごときつく抱きしめられた。
「うっ…、ご、ごめんなさ…」
「…もう良いき」
雅治は怒りながらも優しくキスをしてくれた。冷たいはずなのに、唇の熱は不思議と温かくて気持ちが良かった。
はよう帰ろう、そう言ってわたしの片手を取って傘を拾うと、雅治は振り返らないまま歩きだしてしまった。わたしもただ、手を引かれるままに雅治の後ろについていく。雅治の肩が揺れているのを見て、わたしのために走ってくれたのであろうと思うと胸が痛くなった。きっと、いつも、ずっとずっと、待っていたの。
貴方がわたしを見つけてくれるのを。
家に着くと、びしょ濡れになった服を洗濯機に入れてシャワーを浴びた。いつもより体に触れるお湯が暖かく感じる。
お風呂から出て、今は雅治が濡れた髪をタオルで拭いてくれている。さっきは寂しくて泣いていたけれど、今は雅治の優しさが嬉しくて、涙腺が壊れてしまったかのように涙が止まらない。今のこんな顔、好きな人には見られたくないのに。
「全く…手のかかる子じゃの」
「う、う…ごめ、なさ…」
「謝らんでええから、もう勝手に飛び出して行ったらいかんぜよ」
「う、んっ…」
「あんなにびしょ濡れになって…捨て猫拾ったみたいじゃな」
ふっと笑って冗談を言いながら、もう一度優しく口付けてくれた。さっきよりももっともっと、優しくて丁寧なキス。雅治がわたしのものであることを教えてくれるような、そんなキス。惜しそうに唇が離れていくと、彼はいつもみたいな意地悪な笑顔を見せてくれた。
「次勝手に出て行ったら首輪付けちゃる」
「ばか…」
わたしたちは仲直りの意味を込めて何度も何度も口付けを繰り返した。
大好きだよ、ごめんね、っていう気持ち、ちゃんと伝わった?
20260327
雨が叩きつける中、傘も差さないで走りながら何度も何度も振り返ってみせた。目に映るのはどこまでもまっすぐに伸びた道と、それに映るわたしの影、だけ。
あの人がわたしを追いかけてくるなんて、今までだって一度もないんだから、期待なんかしてないけど。分かってる。
いつもそう。わたしが一方的に怒って部屋から飛び出して時間が経つまでぶらぶら歩いて。結局最後には雅治の元へ戻って、わたしが謝る。
多分、雅治からしてみたらわたしが勝手に怒って勝手に飛び出して勝手に謝るのなんて、馬鹿らしく思ってるだろう。自分でさえそう思うのだから。
世界から色が消えていったように、ひとりぼっちになってしまったような気がして胸が苦しくなった。
雨のせいで小さな子供すらいない小さな公園。それが今のわたしにとっては都合がいいもので、中に置かれてあったブランコへと座った。座る部分が雨に濡れていて、スカートが更にぐしゃぐしゃに濡れてしまう。
静かな公園の中でブランコがキィ…と寂しげに音をたてた。空の色が気味の悪い色に変わっていくのを、ただぼうっとしながら眺めていた。なんだか今日はもう雅治の元に戻りたくない。とても、とても惨めな気持ちで涙が止まらなかった。
「くっ…ううっ…」
また雅治に呆れられて、またか、って思われて。そんなのはもう嫌だ。揺れていたブランコを足で止めると、雨と自分の涙で滲んだ地面は、土がぐしゃぐしゃになっていた。雅治に少しでも可愛く思われたくて履いてきたミュールも、ほとんどが泥で覆われている。全身が濡れて冷たかったけれど、もうそんなことどうでも良かった。
どれほど時間が経ったのだろう。元々どんよりしていた空が、時間が経って更に暗くなってきた。なのに、帰る気にもなれない。だからと言ってこんな格好でどこにも行ける場所がない。少しづつ浮かび上がってきた空の中の星を見つめていると、ばしゃばしゃと水溜まりを蹴ってこちらに向かってくる足音が聞こえた。
暗闇の中で少しずつ慣れてきた目が雅治の姿を捕らえた。わたしはぎゅっと口を結んで、ブランコの鎖をさらにきつく握った。雅治の顔はよく見えないけど、きっと怒ってる顔してる。
「っ…はあっ…こんな所にいたんか…」
「まさ、はる…」
「傘も差さんと、何しとう。風邪ひくぜよ」
「べ、つに…来なくても、良かっ、たのに」
ぐちゃぐちゃの顔を見られたくなくて、思わず俯いてしまった。わたしは馬鹿だ。わざわざ探しに来てくれたのに、捻くれているのにもほどがある。自分の発言が怖くなって雅治の顔が見られず俯いていると、彼はふう、と息を整えてから私の方を向いた。
「それが人に心配させといて言う言葉か?」
少し強い口調で言われて思わずびくりと肩が揺れる。心配、って。雅治がわたしを?ああ、わたしって本当にどれだけ単純なんだ。おさまっていた涙が一気に流れだした。見られたくなくてとっさに俯いたけど、そんなの無駄だった。雅治からため息が漏れるのを聞くと同時に、傘を落としてわたしの握っていたブランコの鎖ごときつく抱きしめられた。
「うっ…、ご、ごめんなさ…」
「…もう良いき」
雅治は怒りながらも優しくキスをしてくれた。冷たいはずなのに、唇の熱は不思議と温かくて気持ちが良かった。
はよう帰ろう、そう言ってわたしの片手を取って傘を拾うと、雅治は振り返らないまま歩きだしてしまった。わたしもただ、手を引かれるままに雅治の後ろについていく。雅治の肩が揺れているのを見て、わたしのために走ってくれたのであろうと思うと胸が痛くなった。きっと、いつも、ずっとずっと、待っていたの。
貴方がわたしを見つけてくれるのを。
家に着くと、びしょ濡れになった服を洗濯機に入れてシャワーを浴びた。いつもより体に触れるお湯が暖かく感じる。
お風呂から出て、今は雅治が濡れた髪をタオルで拭いてくれている。さっきは寂しくて泣いていたけれど、今は雅治の優しさが嬉しくて、涙腺が壊れてしまったかのように涙が止まらない。今のこんな顔、好きな人には見られたくないのに。
「全く…手のかかる子じゃの」
「う、う…ごめ、なさ…」
「謝らんでええから、もう勝手に飛び出して行ったらいかんぜよ」
「う、んっ…」
「あんなにびしょ濡れになって…捨て猫拾ったみたいじゃな」
ふっと笑って冗談を言いながら、もう一度優しく口付けてくれた。さっきよりももっともっと、優しくて丁寧なキス。雅治がわたしのものであることを教えてくれるような、そんなキス。惜しそうに唇が離れていくと、彼はいつもみたいな意地悪な笑顔を見せてくれた。
「次勝手に出て行ったら首輪付けちゃる」
「ばか…」
わたしたちは仲直りの意味を込めて何度も何度も口付けを繰り返した。
大好きだよ、ごめんね、っていう気持ち、ちゃんと伝わった?
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