王子様たちと甘いひとときを
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今日も2年D組の教室内はわいわいと賑やかである。そんな教室の片隅で束の間のお昼休みの時間を、わたしは恋人である赤也と過ごしていた。今は二人並んで床に座って雑誌を見ながら、次のデートの計画について話していたところ。
「でね、今度予定が合う時に行きたい所があってね」
「ふーん、お前がそんなこと言ってくんの珍しいじゃん。どんなとこ?」
「ふふん、それは当日のお楽しみー」
「何だよ、もったいぶりやがって」
そんな少しのことですら拗ねたそぶりを見せる彼を見ると自然と口元が綻ぶ。まだ付き合って日は浅いけれど、知れば知るほど彼にどっぷりはまっていった。少し子供っぽいところも母性本能がくすぐられるし、何かしてあげたいって思うわたしは尽くし体質なのだろうか、なんて少しびっくりしている。
「お、赤也いたいたー」
「邪魔したかのう」
突然ドアの方から、他の人間とは違うオーラを纏った男子二人がわたしたちの方へと向かってきた。この後光が差している方々は有名な男子テニス部の赤也の先輩!彼氏の先輩ということもあって、いつかお会いすることになるとは思っていたけど、こんなところで会うなんて。ここは第一印象が大事だと思って、わたしは立ち上がって二人の方に向かって頭を下げた。
「は、初めまして。わたし、赤也のか──」
「こ、こいつはただのクラスメイトっすよ!宿題の事で話しかけてきたんだろ?大丈夫だって、今日はちゃんとやってきたから!」
「お前が宿題やってきたって?珍しいこともあるんだな」
わたしが二人に向かって挨拶をしようとしたところを、綺麗に赤也に遮られる。こんな饒舌な赤也は初めて見たかもしれない。というかただのクラスメイトってどういうこと?私は怪訝な目を赤也に向けるが、絶対気付いているはずなのに私とは目を合わせようとしない。
「先輩、ここうるさいんで外行きましょう外!お前も友達んとこ戻れよ、じゃあな!」
変わらず早口のまま私たちを言いくるめたつもりの赤也は、頭に疑問符を浮かべたままの先輩達の背中を押して外へと出ていってしまった。頭が追いつかないものの、彼の態度に対して気分が悪くならないわけがない。結局赤也の願い通りに友人たちのいる場所へ戻ったけれど、気持ちは晴れなかった。
*
「はな、なんで無視すんだよ?」
「……」
「もしかして昼休みの時のこと怒ってんの?」
「わたしたちはただのクラスメイトなんだってね。知らなかった」
あのお昼休みからずっと、わたしは分かりやすく彼を避けていた。放課後、テニス部の練習がある赤也を放って家に帰ろうと、下駄箱で靴を履き変えていた時のこと。赤也も原因は分かっているであろうに、わたしは隠すことなく不機嫌を赤也にぶつけた。
「悪かったって…」
「もういいよ、今日は先に帰るから」
「先輩にちゃんと紹介するから」
「無理しなくていいよ、嫌々されたって嬉しくないもん」
その言葉は本音だった。わたしが拗ねて仕方なく先輩方への言葉を訂正されたって、本音じゃないなら意味がないし嬉しくもない。分かっているのに、苛々は抑えられなかった。わたしとは逆にしゅんと落ち込んでいる赤也は耳の垂れた犬のよう。どうしてあんたが落ち込むんだ。
「だってよー…」
「何よ」
「いつも偉そうにしてる俺が、女にうつつ抜かしてるーって思われんの、なんかかっこ悪くねぇ?」
「何それ、くっだらない」
なるほど、赤也らしい理由だ。変にプライドが高くて、子供っぽいところ。腹が立つのに変わりはないけれど、そんな所も引っくるめて好きなんだから、わたしが察してあげるべきだったのかもしれない。結局今回も折れるのはわたしのようだ。
「分かったよ、もう良いから」
「怒ってないならキスしろ」
「はい?」
「仲直りのちゅー」
「ばかや!」
人が行き交う場所で目を閉じて「んー」と言いながら私の行動を待っている赤也に思わず笑いが漏れた。さっきまで苛々していたのが嘘みたい。悔しいけれど、なんだかんだ私も赤也には甘くなってしまう。
軽く触れるだけのキスをする筈だったのに、触れた瞬間に後頭部に回される手に思わずびくりと身体が震えた。赤也は深く長いキスが好きみたいだ。背中に回された腕に、離さないといった意志が感じられて私も思わず嬉しくなる。ちゃんと愛されてるって感じられるから。
うっすら目を開けると、私の視界の隅に入ったのはお昼に見た先輩のお二方で、思わず反射的に赤也を突き飛ばしてしまった。
「〜〜っ!」
「いって、何す…」
「あ、仁王顔出しすぎだっつの!良いとこだったのに」
「すまんすまん、まさか気付かれるとはの」
「せ、先輩!なんでこんな所にいるんすか!」
ここが下駄箱だということを完全に忘れていた。それくらい雰囲気に呑まれてしまうのは赤也のせいだ、そうに違いない、そう思いたい。まさか先輩に見られてしまうなんて、と一人でパニックに陥っていると、先輩方は楽しそうに笑っていた。
「おかしいと思ったんだよ、真っ先に来るはずのお前がなかなか来ねえからよー」
「悪いことしてないか先輩として見張ってただけナリ」
「赤也のことよろしく頼むぜい」
「あ、は、はい!」
「先行ってるから、早く来いよなー!」
「また後での」
先輩たちが離れて行ってしまってからもぽかんとしたまま固まっている赤也を突くと、ハッと我に返って顔を青くしていた。普通そこは赤くなるところじゃないだろうか。
「ば、バレちまった…」
「いいじゃない別に」
赤也の反応に思わずまた眉をひそめてしまう。本当はプライドも何もかも捨てて、いつものノリで俺の彼女でーす、なんて言って欲しい。こう思うわたしは欲張りなのだろうかと不安が襲ってくる。
「赤也、本当にわたしのこと好き?」
「当たり前だろ、何言ってんだよ」
「それなら良いけどさ…」
「悪かった、不安にさせて」
赤也はそう言うとむくれたわたしの頬にキスをくれた。まあいいか、なんて思うわたしはやっぱり赤也に甘い。それがわたしばかり赤也を好きなんだと悔しくなって彼の指先をきゅっと握った。
20260323
「でね、今度予定が合う時に行きたい所があってね」
「ふーん、お前がそんなこと言ってくんの珍しいじゃん。どんなとこ?」
「ふふん、それは当日のお楽しみー」
「何だよ、もったいぶりやがって」
そんな少しのことですら拗ねたそぶりを見せる彼を見ると自然と口元が綻ぶ。まだ付き合って日は浅いけれど、知れば知るほど彼にどっぷりはまっていった。少し子供っぽいところも母性本能がくすぐられるし、何かしてあげたいって思うわたしは尽くし体質なのだろうか、なんて少しびっくりしている。
「お、赤也いたいたー」
「邪魔したかのう」
突然ドアの方から、他の人間とは違うオーラを纏った男子二人がわたしたちの方へと向かってきた。この後光が差している方々は有名な男子テニス部の赤也の先輩!彼氏の先輩ということもあって、いつかお会いすることになるとは思っていたけど、こんなところで会うなんて。ここは第一印象が大事だと思って、わたしは立ち上がって二人の方に向かって頭を下げた。
「は、初めまして。わたし、赤也のか──」
「こ、こいつはただのクラスメイトっすよ!宿題の事で話しかけてきたんだろ?大丈夫だって、今日はちゃんとやってきたから!」
「お前が宿題やってきたって?珍しいこともあるんだな」
わたしが二人に向かって挨拶をしようとしたところを、綺麗に赤也に遮られる。こんな饒舌な赤也は初めて見たかもしれない。というかただのクラスメイトってどういうこと?私は怪訝な目を赤也に向けるが、絶対気付いているはずなのに私とは目を合わせようとしない。
「先輩、ここうるさいんで外行きましょう外!お前も友達んとこ戻れよ、じゃあな!」
変わらず早口のまま私たちを言いくるめたつもりの赤也は、頭に疑問符を浮かべたままの先輩達の背中を押して外へと出ていってしまった。頭が追いつかないものの、彼の態度に対して気分が悪くならないわけがない。結局赤也の願い通りに友人たちのいる場所へ戻ったけれど、気持ちは晴れなかった。
*
「はな、なんで無視すんだよ?」
「……」
「もしかして昼休みの時のこと怒ってんの?」
「わたしたちはただのクラスメイトなんだってね。知らなかった」
あのお昼休みからずっと、わたしは分かりやすく彼を避けていた。放課後、テニス部の練習がある赤也を放って家に帰ろうと、下駄箱で靴を履き変えていた時のこと。赤也も原因は分かっているであろうに、わたしは隠すことなく不機嫌を赤也にぶつけた。
「悪かったって…」
「もういいよ、今日は先に帰るから」
「先輩にちゃんと紹介するから」
「無理しなくていいよ、嫌々されたって嬉しくないもん」
その言葉は本音だった。わたしが拗ねて仕方なく先輩方への言葉を訂正されたって、本音じゃないなら意味がないし嬉しくもない。分かっているのに、苛々は抑えられなかった。わたしとは逆にしゅんと落ち込んでいる赤也は耳の垂れた犬のよう。どうしてあんたが落ち込むんだ。
「だってよー…」
「何よ」
「いつも偉そうにしてる俺が、女にうつつ抜かしてるーって思われんの、なんかかっこ悪くねぇ?」
「何それ、くっだらない」
なるほど、赤也らしい理由だ。変にプライドが高くて、子供っぽいところ。腹が立つのに変わりはないけれど、そんな所も引っくるめて好きなんだから、わたしが察してあげるべきだったのかもしれない。結局今回も折れるのはわたしのようだ。
「分かったよ、もう良いから」
「怒ってないならキスしろ」
「はい?」
「仲直りのちゅー」
「ばかや!」
人が行き交う場所で目を閉じて「んー」と言いながら私の行動を待っている赤也に思わず笑いが漏れた。さっきまで苛々していたのが嘘みたい。悔しいけれど、なんだかんだ私も赤也には甘くなってしまう。
軽く触れるだけのキスをする筈だったのに、触れた瞬間に後頭部に回される手に思わずびくりと身体が震えた。赤也は深く長いキスが好きみたいだ。背中に回された腕に、離さないといった意志が感じられて私も思わず嬉しくなる。ちゃんと愛されてるって感じられるから。
うっすら目を開けると、私の視界の隅に入ったのはお昼に見た先輩のお二方で、思わず反射的に赤也を突き飛ばしてしまった。
「〜〜っ!」
「いって、何す…」
「あ、仁王顔出しすぎだっつの!良いとこだったのに」
「すまんすまん、まさか気付かれるとはの」
「せ、先輩!なんでこんな所にいるんすか!」
ここが下駄箱だということを完全に忘れていた。それくらい雰囲気に呑まれてしまうのは赤也のせいだ、そうに違いない、そう思いたい。まさか先輩に見られてしまうなんて、と一人でパニックに陥っていると、先輩方は楽しそうに笑っていた。
「おかしいと思ったんだよ、真っ先に来るはずのお前がなかなか来ねえからよー」
「悪いことしてないか先輩として見張ってただけナリ」
「赤也のことよろしく頼むぜい」
「あ、は、はい!」
「先行ってるから、早く来いよなー!」
「また後での」
先輩たちが離れて行ってしまってからもぽかんとしたまま固まっている赤也を突くと、ハッと我に返って顔を青くしていた。普通そこは赤くなるところじゃないだろうか。
「ば、バレちまった…」
「いいじゃない別に」
赤也の反応に思わずまた眉をひそめてしまう。本当はプライドも何もかも捨てて、いつものノリで俺の彼女でーす、なんて言って欲しい。こう思うわたしは欲張りなのだろうかと不安が襲ってくる。
「赤也、本当にわたしのこと好き?」
「当たり前だろ、何言ってんだよ」
「それなら良いけどさ…」
「悪かった、不安にさせて」
赤也はそう言うとむくれたわたしの頬にキスをくれた。まあいいか、なんて思うわたしはやっぱり赤也に甘い。それがわたしばかり赤也を好きなんだと悔しくなって彼の指先をきゅっと握った。
20260323
