王子様たちと甘いひとときを
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
くだらないことで喧嘩してから数週間が経ってしまった。喧嘩というより、一方的にわたしが拗ねてるだけなんだけれど。問題はブン太の取り巻きの女の子たちにあった。ブン太に恋人がいようが、彼女たちには関係ないらしい。どうせすぐ別れるんだ、って思われているのかも。
差し入れと称してお菓子やら何やらで彼を手懐けようとして、馬鹿じゃないの。ブン太も普通、彼女がいるから受け取れないとか言うものじゃないの?いや、でも差し入れくらい普通…なのかな。しかも、ブン太の大好きな甘いものたち。気持ちが落ち着いてくると、段々普通というものが分からなくなってきた。とにかくわたしは不安なのだ。彼女は私なのに、一番安心していられる立ち位置のはずなのに、毎日彼女たちに怯えている。可愛い子も綺麗な子もたくさん居るんだから、いつ心変わりしたっておかしくないじゃない。
頭ではそう分かっていても時間が経てば経つほど話しかけづらくなっていった。もしかしたらもう愛想を尽かしている可能性だってある。このまま自然消滅を願っている可能性だって…。嫌な考えを振り払おうと頭をぶんぶんを振る。
*
「プレゼント買ったし、付き合って初めてのクリスマスだし…せめて少しでも話したいな」
結局仲直りどころか話をすることもなくクリスマスを迎えてしまった。こんな日でさえイベントなんて関係ない、というようにテニス部は練習漬け。どこかへ遊びに行きたいなんて贅沢は言わない。せめて仲直りするきっかけが欲しい。クリスマスプレゼントにと、ブン太に買ったリストバンドが入っている袋を抱きしめる。
待っている間の暇つぶしにスマホを手に取ると、そこにはLINEの通知。友人から、まさかまだ待ってるの?とのこと。そのまさかです、と返信すると、少しだけ鼻先がツンとした。心配してくれているのは分かっている。でも、いつも待つのはわたしの方だと痛感した。いつも、部活が終わるまで待つことはわたしにとってなんてことなかった。寧ろ、楽しくテニスしている彼を見てるのは幸せだったし、その後は彼を独り占めできるご褒美が待っている。だけど彼は、それを望んでいるのだろうか?重いとか、思われてないだろうか。逆の立場だったらブン太は待ってくれているのだろうか。そんなくだらない考えに耽 っていると、またスマホが震えた。
『ここまで来たら頑張れ!あたしはあんたの味方だよ。風邪だけは引かないようにね』
優しい言葉に視界が霞 む。ごしごしと制服の袖で目元を擦っていると、視界がふと暗くなった。
「あ、ぶ、ブン太!」
「お前…今まで待ってたのか?」
「あ、えっと…」
仲直りしようとは思っていたものの、いざブン太を目の前にすると怯んでしまう。言葉に詰まっていると、彼の後ろから更に二人の影が近付いてきた。
「良かったのう、ブンちゃん」
「先輩、練習中ずーっと彼女さん探してキョロキョロしてましたもんねー」
「う、うるせえ!」
その会話を聞いて思わずブン太を見ると、心なしか頬が赤くなっているように見えた。もしかしたら寒さのせいかもしれないけれど。途端に心の重荷が降りたような気がした。彼ももしかしたら、わたしとの仲直りのことを考えてくれていたのかもしれない。無意識にじっとブン太を見つめていると、視線に気付いた彼が慌てたようにわたしの手を引いて校門の方へと向かった。久しぶりに手を繋いだだけで、心臓が跳ねる。わたしも彼の手をぎゅっと握り返した。
校門を出て二人でいつもの帰り道を歩く。離されるかと思っていた手は繋がれたままでホッとしている自分がいた。
「お前、こんな寒い中待ってたら風邪引くだろい」
「今日どうしてもブン太と話がしたかったの」
「それは…俺もだけど」
ブン太の言葉に思わずブン太の顔に目をやる。彼も仲直りしようと思ってくれていたのだろうか。頬が赤いのは寒いからか、照れているからなのかは分からなかった。
「…わたしずっとブン太と仲良い子たちに嫉妬してたの。わたしとは学校であんまり話さないのに、他の子達とはずっと話してるし…」
「俺、お前は人前でベタベタされんの苦手かもって勝手に思ってた…それで不安にさせてたんだな」
俺だって出来ることならずっと一緒に居てえし。そう言いながら頬を少し赤らめながら人差し指で頬を掻くブン太に、心の荷が降りた。何も心配することはなかったんだ。わたしが何も言わなかったら、ブン太だってわたしの気持ちが分かるわけない。これからは自分の気持ちをどんどん伝えていこう。
「ブン太の思う人前でベタベタってどういうのなの?キスとか?」
「ばーか。そういうのは二人の時に楽しむモンだろい」
「わっ…」
肩に回されたブン太の手が私を勢いよく引き寄せて、わたしの唇に軽くキスを落とした。そのせいでブン太に体重を預ける形になったけれど彼は微動だにしない。さすがテニス部のレギュラーだ、なんて呑気に考えられる余裕は我ながらすごい。
「たまには周りに見せつけんのもアリかもな」
「…ばか」
そう言いながらも、わたしからも彼の頬にキスをした。本当はこんな風に早く触れ合いたかった。
「なんか、お揃いのモンでも買いに行くか?」
「へ」
「俺とお前が付き合ってるっていう証…的な…」
言いながら恥ずかしくなってきたのか、語尾が小さくなる彼がとても愛おしく思えた。寒い冬なんて全然へっちゃらなくらい体温が上がってくる。わたしたちはさっきよりも深く手を繋ぎ直して、恋人たちが集まっているであろう街に向かって歩を進めた。
ブン太はわたしの彼氏。わたしはブン太の彼女。何も恐れることなんて、初めから何もなかったみたい。
title by 確かに恋だった
20260312
差し入れと称してお菓子やら何やらで彼を手懐けようとして、馬鹿じゃないの。ブン太も普通、彼女がいるから受け取れないとか言うものじゃないの?いや、でも差し入れくらい普通…なのかな。しかも、ブン太の大好きな甘いものたち。気持ちが落ち着いてくると、段々普通というものが分からなくなってきた。とにかくわたしは不安なのだ。彼女は私なのに、一番安心していられる立ち位置のはずなのに、毎日彼女たちに怯えている。可愛い子も綺麗な子もたくさん居るんだから、いつ心変わりしたっておかしくないじゃない。
頭ではそう分かっていても時間が経てば経つほど話しかけづらくなっていった。もしかしたらもう愛想を尽かしている可能性だってある。このまま自然消滅を願っている可能性だって…。嫌な考えを振り払おうと頭をぶんぶんを振る。
*
「プレゼント買ったし、付き合って初めてのクリスマスだし…せめて少しでも話したいな」
結局仲直りどころか話をすることもなくクリスマスを迎えてしまった。こんな日でさえイベントなんて関係ない、というようにテニス部は練習漬け。どこかへ遊びに行きたいなんて贅沢は言わない。せめて仲直りするきっかけが欲しい。クリスマスプレゼントにと、ブン太に買ったリストバンドが入っている袋を抱きしめる。
待っている間の暇つぶしにスマホを手に取ると、そこにはLINEの通知。友人から、まさかまだ待ってるの?とのこと。そのまさかです、と返信すると、少しだけ鼻先がツンとした。心配してくれているのは分かっている。でも、いつも待つのはわたしの方だと痛感した。いつも、部活が終わるまで待つことはわたしにとってなんてことなかった。寧ろ、楽しくテニスしている彼を見てるのは幸せだったし、その後は彼を独り占めできるご褒美が待っている。だけど彼は、それを望んでいるのだろうか?重いとか、思われてないだろうか。逆の立場だったらブン太は待ってくれているのだろうか。そんなくだらない考えに
『ここまで来たら頑張れ!あたしはあんたの味方だよ。風邪だけは引かないようにね』
優しい言葉に視界が
「あ、ぶ、ブン太!」
「お前…今まで待ってたのか?」
「あ、えっと…」
仲直りしようとは思っていたものの、いざブン太を目の前にすると怯んでしまう。言葉に詰まっていると、彼の後ろから更に二人の影が近付いてきた。
「良かったのう、ブンちゃん」
「先輩、練習中ずーっと彼女さん探してキョロキョロしてましたもんねー」
「う、うるせえ!」
その会話を聞いて思わずブン太を見ると、心なしか頬が赤くなっているように見えた。もしかしたら寒さのせいかもしれないけれど。途端に心の重荷が降りたような気がした。彼ももしかしたら、わたしとの仲直りのことを考えてくれていたのかもしれない。無意識にじっとブン太を見つめていると、視線に気付いた彼が慌てたようにわたしの手を引いて校門の方へと向かった。久しぶりに手を繋いだだけで、心臓が跳ねる。わたしも彼の手をぎゅっと握り返した。
校門を出て二人でいつもの帰り道を歩く。離されるかと思っていた手は繋がれたままでホッとしている自分がいた。
「お前、こんな寒い中待ってたら風邪引くだろい」
「今日どうしてもブン太と話がしたかったの」
「それは…俺もだけど」
ブン太の言葉に思わずブン太の顔に目をやる。彼も仲直りしようと思ってくれていたのだろうか。頬が赤いのは寒いからか、照れているからなのかは分からなかった。
「…わたしずっとブン太と仲良い子たちに嫉妬してたの。わたしとは学校であんまり話さないのに、他の子達とはずっと話してるし…」
「俺、お前は人前でベタベタされんの苦手かもって勝手に思ってた…それで不安にさせてたんだな」
俺だって出来ることならずっと一緒に居てえし。そう言いながら頬を少し赤らめながら人差し指で頬を掻くブン太に、心の荷が降りた。何も心配することはなかったんだ。わたしが何も言わなかったら、ブン太だってわたしの気持ちが分かるわけない。これからは自分の気持ちをどんどん伝えていこう。
「ブン太の思う人前でベタベタってどういうのなの?キスとか?」
「ばーか。そういうのは二人の時に楽しむモンだろい」
「わっ…」
肩に回されたブン太の手が私を勢いよく引き寄せて、わたしの唇に軽くキスを落とした。そのせいでブン太に体重を預ける形になったけれど彼は微動だにしない。さすがテニス部のレギュラーだ、なんて呑気に考えられる余裕は我ながらすごい。
「たまには周りに見せつけんのもアリかもな」
「…ばか」
そう言いながらも、わたしからも彼の頬にキスをした。本当はこんな風に早く触れ合いたかった。
「なんか、お揃いのモンでも買いに行くか?」
「へ」
「俺とお前が付き合ってるっていう証…的な…」
言いながら恥ずかしくなってきたのか、語尾が小さくなる彼がとても愛おしく思えた。寒い冬なんて全然へっちゃらなくらい体温が上がってくる。わたしたちはさっきよりも深く手を繋ぎ直して、恋人たちが集まっているであろう街に向かって歩を進めた。
ブン太はわたしの彼氏。わたしはブン太の彼女。何も恐れることなんて、初めから何もなかったみたい。
title by 確かに恋だった
20260312
1/2ページ
