汗も滴る王子様たち
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毎朝見る空とか緑とか太陽とか、あの人と出会ってから何もかもがきらきらして見えた。明日は会えるかな、とか、どんな女の子が好きなのかな、って楽しくなったり、恋沙汰の噂を聞いて不安になったり。そうやっていつの間にかわたしはあの人に夢中になっていた。
「今日は会えると良いね」
移動教室で廊下を歩くわたしの隣で、友人はそう言ってほほえんだ。クラスは離れてるし、部活の練習を見に行く勇気なんてわたしは持ち合わせていない。だから廊下をあるくこの時だけが、唯一佐伯くんに会えるかもしれない希望を持てる。会えるかな、会えないかな、会いたいな。
「あ、ほら!」
友達のその声が聞こえた瞬間、わたしの心臓はどくんと跳ね上がった。視界の先に入ったのは、友達と一緒にこっちへ向かって歩いている佐伯くん。目くらい合わせないと、頑張っておはようって言おうかな、でも話したこともない相手からいきなりそんなこと言われたら不気味に思うかな。葛藤の末、結局その瞬間からわたしは俯いてしまった。ぎゅっと閉じた瞼の向こうは眩しくて、すれ違う佐伯くんの声だけがやけに聞こえた。
「み、見ることすらできなかった」
「大丈夫、次頑張ろ!」
初めのうちはこんなんじゃなかった。ただ日を追うごとに好きの気持ちが大きくなって、顔を見るだけで顔が熱くなってしまう。わたしが勇気を出さないと話すことが出来ずに卒業があっというまにやってくる。
「はあー、完全に忘れてた」
誰もいない教室、夕日で少しだけ赤くなった空の下では部活を頑張ってる人たちの声が響いていた。わたしはというと今日提出の宿題を忘れてて、ノートとの睨み合い。授業までに気付いておけば写させてもらってたのに。よりによってあの鬼教師となるとくりかえす呼吸すらため息に変わる。最後の一問を解き終えると、シャーペンを机にほうり出すと、机に突っ伏した。目に見えたのはだいだい色の空。佐伯くんも今頃部活頑張ってるんだろうな。一回でいいから、テニスしてる姿見てみたいな。あーあ、佐伯くん、好きだなあ。ゆっくり瞼を閉じると、なぜか佐伯くんの姿が浮かんだ。わたし、ほんとに好きなんだな。好き、だけじゃも物足りないかも。
「…さん」
「……」
「たなかさん」
「…んう」
ふわふわ、しててなんだか気持ちいい。なんだろ、この感触。瞼をゆっくり開けると、ぼやあっとした視界の中に真っ暗な世界が広がった。あ、れ。わたし、いつの間に寝て…?
「ああ!」
がばっと起き上がって時計を目にすると、すでに7時半を越えていて、思わず涙が出そうになった。せっかく宿題終わらせたのに、もう期限の時間は過ぎてる。
「はは、おはよう」
「え、あ、さ…!」
声のする方に目をやると、そこにいたのはなぜか佐伯くんで、可笑しそうに笑っていた。もしかしなくても、さっきまでのわたしの行動を見ていたんだろう。じゃ、なくて、どうしてここに佐伯くんが…!口をぱくぱくとさせていると、わたしの考えていることに気がついたみたいにまた笑った。
「生徒会の見回りなんだ、ここだけ明かりついてたから気になって」
「そう、なんだ。ご、ごめんね」
普通にしているはずなのに一言一言吃ってしまって、目も宙をふらふらとさまよってしまう。うわ、これじゃあ変なやつって思われちゃうよ。話すのなんて初めてなのに。
「それ、俺が先生に上手く言って渡しておくよ」
「え、で、でも」
「遠慮しないで、頑張ってたみたいだしね」
「じゃ、あ、お願いします」
「うん、任せて」
やばいよ。佐伯くんが、わたしに笑いかけてくれてる、なんて考えたら、もう好きの気持ちなんかじゃ収まらない。佐伯くんはわたしのノートを受け取ると、早く帰ろう、と言ってわたしの手を引いた。
さっき見た夢は、すごくしあわせな夢だった。佐伯くんがわたしの頭を撫ぜながら、好きだよ、って言ってくれた、夢。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
企画「六角祭さま」へ
素敵な企画に参加させていただき、ありがとうございました^^
「今日は会えると良いね」
移動教室で廊下を歩くわたしの隣で、友人はそう言ってほほえんだ。クラスは離れてるし、部活の練習を見に行く勇気なんてわたしは持ち合わせていない。だから廊下をあるくこの時だけが、唯一佐伯くんに会えるかもしれない希望を持てる。会えるかな、会えないかな、会いたいな。
「あ、ほら!」
友達のその声が聞こえた瞬間、わたしの心臓はどくんと跳ね上がった。視界の先に入ったのは、友達と一緒にこっちへ向かって歩いている佐伯くん。目くらい合わせないと、頑張っておはようって言おうかな、でも話したこともない相手からいきなりそんなこと言われたら不気味に思うかな。葛藤の末、結局その瞬間からわたしは俯いてしまった。ぎゅっと閉じた瞼の向こうは眩しくて、すれ違う佐伯くんの声だけがやけに聞こえた。
「み、見ることすらできなかった」
「大丈夫、次頑張ろ!」
初めのうちはこんなんじゃなかった。ただ日を追うごとに好きの気持ちが大きくなって、顔を見るだけで顔が熱くなってしまう。わたしが勇気を出さないと話すことが出来ずに卒業があっというまにやってくる。
「はあー、完全に忘れてた」
誰もいない教室、夕日で少しだけ赤くなった空の下では部活を頑張ってる人たちの声が響いていた。わたしはというと今日提出の宿題を忘れてて、ノートとの睨み合い。授業までに気付いておけば写させてもらってたのに。よりによってあの鬼教師となるとくりかえす呼吸すらため息に変わる。最後の一問を解き終えると、シャーペンを机にほうり出すと、机に突っ伏した。目に見えたのはだいだい色の空。佐伯くんも今頃部活頑張ってるんだろうな。一回でいいから、テニスしてる姿見てみたいな。あーあ、佐伯くん、好きだなあ。ゆっくり瞼を閉じると、なぜか佐伯くんの姿が浮かんだ。わたし、ほんとに好きなんだな。好き、だけじゃも物足りないかも。
「…さん」
「……」
「たなかさん」
「…んう」
ふわふわ、しててなんだか気持ちいい。なんだろ、この感触。瞼をゆっくり開けると、ぼやあっとした視界の中に真っ暗な世界が広がった。あ、れ。わたし、いつの間に寝て…?
「ああ!」
がばっと起き上がって時計を目にすると、すでに7時半を越えていて、思わず涙が出そうになった。せっかく宿題終わらせたのに、もう期限の時間は過ぎてる。
「はは、おはよう」
「え、あ、さ…!」
声のする方に目をやると、そこにいたのはなぜか佐伯くんで、可笑しそうに笑っていた。もしかしなくても、さっきまでのわたしの行動を見ていたんだろう。じゃ、なくて、どうしてここに佐伯くんが…!口をぱくぱくとさせていると、わたしの考えていることに気がついたみたいにまた笑った。
「生徒会の見回りなんだ、ここだけ明かりついてたから気になって」
「そう、なんだ。ご、ごめんね」
普通にしているはずなのに一言一言吃ってしまって、目も宙をふらふらとさまよってしまう。うわ、これじゃあ変なやつって思われちゃうよ。話すのなんて初めてなのに。
「それ、俺が先生に上手く言って渡しておくよ」
「え、で、でも」
「遠慮しないで、頑張ってたみたいだしね」
「じゃ、あ、お願いします」
「うん、任せて」
やばいよ。佐伯くんが、わたしに笑いかけてくれてる、なんて考えたら、もう好きの気持ちなんかじゃ収まらない。佐伯くんはわたしのノートを受け取ると、早く帰ろう、と言ってわたしの手を引いた。
さっき見た夢は、すごくしあわせな夢だった。佐伯くんがわたしの頭を撫ぜながら、好きだよ、って言ってくれた、夢。
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企画「六角祭さま」へ
素敵な企画に参加させていただき、ありがとうございました^^
