汗も滴る王子様たち
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「ごめん、今日練習の後に筋トレもあるらしいから先帰ってて!」
「そうなんだ、頑張ってね」
珍しく目の冴えている慈郎を教室から見送ると、わたしは自分の委員会の会議へと向かった。すぐにやってきた冬は、空が暗くなるのがずいぶんと早くなった。わたしはそれがなぜか無性に寂しくて、少しだけ怖かった。会議が終わる頃にはもう外は暗闇に近くなっていて、慈郎は今なにしてるのかな、とか、寝ないでちゃんと練習してるかな、とか。そんなことしか思い浮かばなかった。校内履きを履きかえて外に出ると、ぴゅう、と冷たい風がわたしの首元を掠めた。あ、れ。冬ってここまで寒かったっけ。また慈郎を思い出して、少しだけ寒さを忘れた。筋トレっていってもすぐ終わるかもしれない、そう信じながら、わたしは校舎の扉前の段差に腰を降ろした。今日は曇りだったからか、深い群青色の空には星が一つも見えなかった。
「あれ」
「あ、じろっ…」
ぼうっと空を眺めていると後ろから慈郎の声がかすかに聞こえて振り向くと、それと同時に、体育座りをしていたわたしに慈郎が覆いかぶさった。恥ずかしさから言葉が詰まってしまったけど、慈郎に抱きしめられてる状態がすごくあたたかくて安心して、思わず頬が緩んだ。
「もしかしてずっと待ってたの?」
「うん、迷惑だったかな」
「迷惑って、何で?俺すっげえうれC~!」
「あ…ありがとう」
慈郎はいつも直球で思ってることをはっきり言ってくれて、そんな彼をいつもうらやましいと思ってた。わたしも、もっとちゃんと伝えたいんだけどな。今日だってずっと、慈郎のこと考えてたんだよ、って。
「寒い、から」
「え?」
「寒かったから、待ってたの」
わたしがそう言うと慈郎はぽかんと口を開けてわけが分からないといった風にわたしを見遣った。自分でも何を言ってるのか分からなくなって、恥ずかしさからだんだんと赤くなってきた顔を隠しながら立ち上がると、校門に向かって歩き出した。
「あ、わかった」
「な、なに」
「寂しかったってことじゃないの~?」
思わず振り向いたわたしを、慈郎は今度は前から抱きしめた。あ、また。ずっと慈郎と一緒にいたから、わたしは冬に気付けずにいたのかもしれない。
「ち、違う」
「え~」
「だって慈郎、あったかいし」
それがどういう意味かなんて、いくら慈郎でもわかるんだろうな。いつの間にか降り出した白い雪がわたしの手に降りて、じわりと肌に溶けた。慈郎は嬉しそうににかっと笑うと、わたしの手を取って校門をくぐり抜けた。
赤い頬に少しの白
┈┈┈┈┈┈┈┈┈
title by 隻眼に告ぐ
「そうなんだ、頑張ってね」
珍しく目の冴えている慈郎を教室から見送ると、わたしは自分の委員会の会議へと向かった。すぐにやってきた冬は、空が暗くなるのがずいぶんと早くなった。わたしはそれがなぜか無性に寂しくて、少しだけ怖かった。会議が終わる頃にはもう外は暗闇に近くなっていて、慈郎は今なにしてるのかな、とか、寝ないでちゃんと練習してるかな、とか。そんなことしか思い浮かばなかった。校内履きを履きかえて外に出ると、ぴゅう、と冷たい風がわたしの首元を掠めた。あ、れ。冬ってここまで寒かったっけ。また慈郎を思い出して、少しだけ寒さを忘れた。筋トレっていってもすぐ終わるかもしれない、そう信じながら、わたしは校舎の扉前の段差に腰を降ろした。今日は曇りだったからか、深い群青色の空には星が一つも見えなかった。
「あれ」
「あ、じろっ…」
ぼうっと空を眺めていると後ろから慈郎の声がかすかに聞こえて振り向くと、それと同時に、体育座りをしていたわたしに慈郎が覆いかぶさった。恥ずかしさから言葉が詰まってしまったけど、慈郎に抱きしめられてる状態がすごくあたたかくて安心して、思わず頬が緩んだ。
「もしかしてずっと待ってたの?」
「うん、迷惑だったかな」
「迷惑って、何で?俺すっげえうれC~!」
「あ…ありがとう」
慈郎はいつも直球で思ってることをはっきり言ってくれて、そんな彼をいつもうらやましいと思ってた。わたしも、もっとちゃんと伝えたいんだけどな。今日だってずっと、慈郎のこと考えてたんだよ、って。
「寒い、から」
「え?」
「寒かったから、待ってたの」
わたしがそう言うと慈郎はぽかんと口を開けてわけが分からないといった風にわたしを見遣った。自分でも何を言ってるのか分からなくなって、恥ずかしさからだんだんと赤くなってきた顔を隠しながら立ち上がると、校門に向かって歩き出した。
「あ、わかった」
「な、なに」
「寂しかったってことじゃないの~?」
思わず振り向いたわたしを、慈郎は今度は前から抱きしめた。あ、また。ずっと慈郎と一緒にいたから、わたしは冬に気付けずにいたのかもしれない。
「ち、違う」
「え~」
「だって慈郎、あったかいし」
それがどういう意味かなんて、いくら慈郎でもわかるんだろうな。いつの間にか降り出した白い雪がわたしの手に降りて、じわりと肌に溶けた。慈郎は嬉しそうににかっと笑うと、わたしの手を取って校門をくぐり抜けた。
赤い頬に少しの白
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title by 隻眼に告ぐ
