汗も滴る王子様たち
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仁王と恋人になってから一緒に過ごす初めてのクリスマスは、思っていたよりずっとわたしの中で大きな行事に変わっていた。だってやっぱり、クリスマスって恋人を意識させられるイベントっていうか、なんていうか。クリスマス当日に遊園地に遊びにきてる今も、待ち合わせしたその瞬間からぎくしゃくしてるのはわたしだけ。だいっきらいなお化け屋敷に入ってもポーカーフェイスで居られたのはきっとこの緊張のせい。周りにいるカップルはみんな手を繋いでいかにもラブラブって雰囲気を醸し出してるけど、付き合い初めて間もないわたしたちは当然、手を繋ぐことはなかった。
「何か飲みたいもんあるか?」
「え、あ、なん、でも…」
「少し待っときんしゃい」
うん、と短い返事を伝えて仁王の背中を見送ったあとに、深いため息が漏れた。わたし、今日言いたいことの半分も言えてない気がする。こんなんじゃきっとつまんない女だって思われても仕方がない。しばらくして戻ってきた仁王の両手にはホットココアが握られていて、片方のココアがわたしに向けて差し出された。
「あ、ありがとう」
「それ飲んだらもう遊びもラストスパートじゃな」
「うん…もうこんな時間だもんね」
そうだ、最後に観覧車に乗りたい。ここだけはちゃんと自分の意見はっきり言わないと、ここに来た意味が半分ほど無くなるって言っても過言じゃない気がする。
「あ、あのね、夜に観覧車に乗ると夜景が綺麗らしいの。だから、の、乗ろう!」
「別にいいんじゃが…やけに気合い入っちょるのう」
「そういうわけじゃ、いや、あるんだけど…」
「じゃ、行くぜよ」
空になったココアの缶をごみ箱に捨てると、仁王は勢いよく立ち上がった。わたしもそれに続いて立ち上がったのと同時に感じたのは右手の温かさ。
「ひゃ!?」
「なんじゃいきなり」
いきなり、はそっちでしょ!ずっと触れることのなかった右手が、仁王の左手にがっちりと握られていた。うわ、見た目よりもずっとごつごつしてる。どきどきしながらも仁王に連れられたのはわたしがずっと楽しみにしていた観覧車の前。人は案外少なくて、すぐに乗り込むことができた。向かい合わせに座ると、スタッフの人がいってらっしゃいと言ってドアを閉めた。そのあと広がるのは、言うまでもなく沈黙。仁王は元々言葉数が少ないから、わたしが話さないと会話が増えないこともよくあった。でも、なんでだろう。今日はいつもよりこの沈黙を気まずいとは思わなかった。上にのぼるにつれて目の前に広がる夜景がだんだんと広がっていった。わたしは緊張してばっかりでおもしろいことも何も言えないけど、仁王はわたしに飽きちゃったりしないのかな?あ、東京タワーが見える。綺麗だな…。
「おい」
「え…」
「何泣いとるんじゃ」
「あ、あれ…なんか感動しちゃって…」
知らない間に滲んでいた涙を手の甲でごしごしと拭いたのと同時に、観覧車が少しだけ揺れた。その原因は仁王が立ち上がってわたしの隣に座り直したから。何か口を開こうとしたときには、仁王の腕がわたしの肩を抱きよせていた。
「に、にお…」
「しー。何も言わんでよか」
「…うん」
頭を撫ぜられる感覚に気持ち良さを感じながらも、仁王の言葉に甘えることにした。観覧車は頂上を通り越して、あっという間に地上に戻ってきた。仁王はわたしの手を引いて観覧車から下りると、黙ったまま歩き始めてしまった。一歩先を歩く仁王の背中はとにかくおっきくて、なぜか胸が苦しくなる。そんなことを考えていると、仁王が突然振り返った。じっと見ていたことがばれると思ってあたふたしていると、仁王がわたしの腕を引いた。直後感じたのは、唇に当たる柔らかな感触。
「な、なっ…!」
「なに見惚れとるんじゃ」
思考回路が停止して、あっという間に顔に熱を持ってしまう。外が暗くて本当によかったと思うほどに。恥ずかしくてずっと下を向いていたら、耳元で仁王の低い声が聞こえた。
「もう一回」
「む、無理無理!人いっぱいいるのに何言って…」
「大丈夫ナリ。周りは自分の相手しか見えとらんぜよ」
「ちょっ…」
あまりの刺激に頭が追いつかず、走ってでも逃げようかとおもったのも束の間、肩を強く掴まれてまたさっきみたいに仁王の顔が近づいてきた。咄嗟にぎゅっと目を瞑ると、また柔かい感触がわたしの唇にその存在を確かめさせるように触れた。なかなか離れないそれに息苦しさを訴えようと仁王の体を押すと、ようやく空気を吸える状態に戻った。
「はぁっ…」
「観覧車で我慢した分」
それだけ言って今度は額に軽く口付けると、仁王は何でもなかったかのように私の手を取って遊園地の出口へと向かい始めた。きっとこんなに余裕がないのはわたしだけ。きっと、もっと触れてたいっておもったのも、わたしだけ。
傍に、もっともっと
悔しいから、ぜったい言葉にはしないもん
title by 妄想ダイバー
「何か飲みたいもんあるか?」
「え、あ、なん、でも…」
「少し待っときんしゃい」
うん、と短い返事を伝えて仁王の背中を見送ったあとに、深いため息が漏れた。わたし、今日言いたいことの半分も言えてない気がする。こんなんじゃきっとつまんない女だって思われても仕方がない。しばらくして戻ってきた仁王の両手にはホットココアが握られていて、片方のココアがわたしに向けて差し出された。
「あ、ありがとう」
「それ飲んだらもう遊びもラストスパートじゃな」
「うん…もうこんな時間だもんね」
そうだ、最後に観覧車に乗りたい。ここだけはちゃんと自分の意見はっきり言わないと、ここに来た意味が半分ほど無くなるって言っても過言じゃない気がする。
「あ、あのね、夜に観覧車に乗ると夜景が綺麗らしいの。だから、の、乗ろう!」
「別にいいんじゃが…やけに気合い入っちょるのう」
「そういうわけじゃ、いや、あるんだけど…」
「じゃ、行くぜよ」
空になったココアの缶をごみ箱に捨てると、仁王は勢いよく立ち上がった。わたしもそれに続いて立ち上がったのと同時に感じたのは右手の温かさ。
「ひゃ!?」
「なんじゃいきなり」
いきなり、はそっちでしょ!ずっと触れることのなかった右手が、仁王の左手にがっちりと握られていた。うわ、見た目よりもずっとごつごつしてる。どきどきしながらも仁王に連れられたのはわたしがずっと楽しみにしていた観覧車の前。人は案外少なくて、すぐに乗り込むことができた。向かい合わせに座ると、スタッフの人がいってらっしゃいと言ってドアを閉めた。そのあと広がるのは、言うまでもなく沈黙。仁王は元々言葉数が少ないから、わたしが話さないと会話が増えないこともよくあった。でも、なんでだろう。今日はいつもよりこの沈黙を気まずいとは思わなかった。上にのぼるにつれて目の前に広がる夜景がだんだんと広がっていった。わたしは緊張してばっかりでおもしろいことも何も言えないけど、仁王はわたしに飽きちゃったりしないのかな?あ、東京タワーが見える。綺麗だな…。
「おい」
「え…」
「何泣いとるんじゃ」
「あ、あれ…なんか感動しちゃって…」
知らない間に滲んでいた涙を手の甲でごしごしと拭いたのと同時に、観覧車が少しだけ揺れた。その原因は仁王が立ち上がってわたしの隣に座り直したから。何か口を開こうとしたときには、仁王の腕がわたしの肩を抱きよせていた。
「に、にお…」
「しー。何も言わんでよか」
「…うん」
頭を撫ぜられる感覚に気持ち良さを感じながらも、仁王の言葉に甘えることにした。観覧車は頂上を通り越して、あっという間に地上に戻ってきた。仁王はわたしの手を引いて観覧車から下りると、黙ったまま歩き始めてしまった。一歩先を歩く仁王の背中はとにかくおっきくて、なぜか胸が苦しくなる。そんなことを考えていると、仁王が突然振り返った。じっと見ていたことがばれると思ってあたふたしていると、仁王がわたしの腕を引いた。直後感じたのは、唇に当たる柔らかな感触。
「な、なっ…!」
「なに見惚れとるんじゃ」
思考回路が停止して、あっという間に顔に熱を持ってしまう。外が暗くて本当によかったと思うほどに。恥ずかしくてずっと下を向いていたら、耳元で仁王の低い声が聞こえた。
「もう一回」
「む、無理無理!人いっぱいいるのに何言って…」
「大丈夫ナリ。周りは自分の相手しか見えとらんぜよ」
「ちょっ…」
あまりの刺激に頭が追いつかず、走ってでも逃げようかとおもったのも束の間、肩を強く掴まれてまたさっきみたいに仁王の顔が近づいてきた。咄嗟にぎゅっと目を瞑ると、また柔かい感触がわたしの唇にその存在を確かめさせるように触れた。なかなか離れないそれに息苦しさを訴えようと仁王の体を押すと、ようやく空気を吸える状態に戻った。
「はぁっ…」
「観覧車で我慢した分」
それだけ言って今度は額に軽く口付けると、仁王は何でもなかったかのように私の手を取って遊園地の出口へと向かい始めた。きっとこんなに余裕がないのはわたしだけ。きっと、もっと触れてたいっておもったのも、わたしだけ。
傍に、もっともっと
悔しいから、ぜったい言葉にはしないもん
title by 妄想ダイバー
