汗も滴る王子様たち
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「わーかし!」
「…なんですか」
「やだ、冷たい!」
だいすきな若と少しでも長く一緒にいたくて、昼休みには必ず向かう2年の教室。見つけたとおもって勢いよく抱き着いても、返ってくる反応は毎回おんなじ。だけどいいんだ。若がそういう性格だってことは知ってるし、何より拒否されていないことがうれしいから。騒がしいわたしと冷めてる若なら、いい具合の組み合わせだとおもう。うん、そう思いたい。
「今日も部活終わるの待ってていい?」
「先輩が退屈じゃないんならいいですけど」
「じゃあ待ってる」
わたしが退屈に思うことなんてあるわけない。でも、若にとって嫌なことはしたくないからこうして確認してる。本当はマネージャーにでもなってずっと傍にいたいんだけど、氷帝のテニス部はそれはそれは人気のある部活だからか、マネージャーはもう定員オーバー。わたしと同じようにマネージャーになりたいって言ってた女の子が、ついこの間にもうこれ以上は必要ないって言われちゃったんだとか。あーあ。わたしも早く入っておけばよかった。あっという間に放課後がやってきて、わたしは寒さ凌ぎのためにいつもと同じように教室で彼を待っていた。時間を無駄にしないように、今日果せられた宿題を熟していると、机の上に置いてあった携帯がぶるぶると震えた。それは若からのメールで、部活が終わったとのこと。わたしは机に広げていたものを急いで鞄に仕舞うと、すぐに若の待つ校門へと向かった。
「ごめん、若」
「いや、俺の方こそいつも待たせてすみません」
「そんなの全然いいってば!今日も練習お疲れ様」
「ありがとうございます」
二人で帰り道をゆっくり歩いていると、目に飛び込んできたのは真っ暗な空に浮かぶ綺麗な星たち。それを見たわたしは、今日友達と話していた内容を思い出した。
「そういえば今日流れ星いっぱい流れるんだって」
「ああ、俺も聞きました」
「流れ星見れたらロマンチックだよねー、って、あ!」
空を見上げながら流れ星が流れたらいいなあなんて考えてたら、一瞬だったけどきらっと光って星が流れた。ああ、願い事言わないと!三回言うんだっけ?あれ、それは飛行機見たときだっけ。ああもうなんでもいいや!急に立ち止まって手を合わせてお願い事を三回ぶつぶつと唱えていると、若が足を止めたわたしをおかしな目で見遣った。
「何してるんですか」
「お願いしてたの、流れ星に」
「へえ、何を?」
「若がわたしにメロメロになりますように!って」
わたしが胸を張ってそう言うと、若はしばらくぽかんとしていた口元で、ぷっと吹き出した。あ、今絶対わたしのこと馬鹿にしたなこの子は。これでも結構真面目な願い事だったんだけどなあ。なんて思いながら空を見上げていると、急に若の手によって肩を抱き寄せられた。
「寒くないですか?」
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
「あ、でも口元が寒いかなあ、なーんて」
その言葉のあとに続いたのはしばらくの沈黙。うわ、自分で言っておきながら恥ずかしい。なんなんだこの女って思われてるに違いない。恥ずかしくて顔が真っ赤になるのを感じながら顔を俯かせると、頭上から若の低い声が聞こえた。
「初めから願い事する必要なんかないですよ」
「……え」
若の口にした言葉の意味がよくわからなくて顔をあげると、すぐに口元に若の温もりを感じた。
「好きですよ、はな先輩」
もう真っ暗な景色の中では若の表情はあまり見えなかった。だけど若は、わたしがどんな顔してるか分かってるんだろうなあ。
きらきらと光る星たちはまるでわたしたちを祝ってくれているみたいだった。
「…なんですか」
「やだ、冷たい!」
だいすきな若と少しでも長く一緒にいたくて、昼休みには必ず向かう2年の教室。見つけたとおもって勢いよく抱き着いても、返ってくる反応は毎回おんなじ。だけどいいんだ。若がそういう性格だってことは知ってるし、何より拒否されていないことがうれしいから。騒がしいわたしと冷めてる若なら、いい具合の組み合わせだとおもう。うん、そう思いたい。
「今日も部活終わるの待ってていい?」
「先輩が退屈じゃないんならいいですけど」
「じゃあ待ってる」
わたしが退屈に思うことなんてあるわけない。でも、若にとって嫌なことはしたくないからこうして確認してる。本当はマネージャーにでもなってずっと傍にいたいんだけど、氷帝のテニス部はそれはそれは人気のある部活だからか、マネージャーはもう定員オーバー。わたしと同じようにマネージャーになりたいって言ってた女の子が、ついこの間にもうこれ以上は必要ないって言われちゃったんだとか。あーあ。わたしも早く入っておけばよかった。あっという間に放課後がやってきて、わたしは寒さ凌ぎのためにいつもと同じように教室で彼を待っていた。時間を無駄にしないように、今日果せられた宿題を熟していると、机の上に置いてあった携帯がぶるぶると震えた。それは若からのメールで、部活が終わったとのこと。わたしは机に広げていたものを急いで鞄に仕舞うと、すぐに若の待つ校門へと向かった。
「ごめん、若」
「いや、俺の方こそいつも待たせてすみません」
「そんなの全然いいってば!今日も練習お疲れ様」
「ありがとうございます」
二人で帰り道をゆっくり歩いていると、目に飛び込んできたのは真っ暗な空に浮かぶ綺麗な星たち。それを見たわたしは、今日友達と話していた内容を思い出した。
「そういえば今日流れ星いっぱい流れるんだって」
「ああ、俺も聞きました」
「流れ星見れたらロマンチックだよねー、って、あ!」
空を見上げながら流れ星が流れたらいいなあなんて考えてたら、一瞬だったけどきらっと光って星が流れた。ああ、願い事言わないと!三回言うんだっけ?あれ、それは飛行機見たときだっけ。ああもうなんでもいいや!急に立ち止まって手を合わせてお願い事を三回ぶつぶつと唱えていると、若が足を止めたわたしをおかしな目で見遣った。
「何してるんですか」
「お願いしてたの、流れ星に」
「へえ、何を?」
「若がわたしにメロメロになりますように!って」
わたしが胸を張ってそう言うと、若はしばらくぽかんとしていた口元で、ぷっと吹き出した。あ、今絶対わたしのこと馬鹿にしたなこの子は。これでも結構真面目な願い事だったんだけどなあ。なんて思いながら空を見上げていると、急に若の手によって肩を抱き寄せられた。
「寒くないですか?」
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
「あ、でも口元が寒いかなあ、なーんて」
その言葉のあとに続いたのはしばらくの沈黙。うわ、自分で言っておきながら恥ずかしい。なんなんだこの女って思われてるに違いない。恥ずかしくて顔が真っ赤になるのを感じながら顔を俯かせると、頭上から若の低い声が聞こえた。
「初めから願い事する必要なんかないですよ」
「……え」
若の口にした言葉の意味がよくわからなくて顔をあげると、すぐに口元に若の温もりを感じた。
「好きですよ、はな先輩」
もう真っ暗な景色の中では若の表情はあまり見えなかった。だけど若は、わたしがどんな顔してるか分かってるんだろうなあ。
きらきらと光る星たちはまるでわたしたちを祝ってくれているみたいだった。
