お菓子大好き丸井くん
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「じゃあ、またね」
友達に手を振って教室を後にした。今日ずっとテンションが低かったのは、明日、私の彼氏であるブン太の誕生日だからだ。彼氏の誕生日なのになんでテンション低いの?なんて思われるかもしれないけど、無理もない。私はブン太と学校が違う。ここは立海から少し距離のある学校だ。ブン太が女の子から人気があることは知ってる。知ってるからこそ、明日の彼の誕生日が怖くもあった。私よりずっと長く彼の近くに居る女の子たちが彼を精一杯祝うんだから、不安になったって無理もないでしょ。
やきもきしながらも校門まで歩くと、なにやら見慣れた二人が目に入った。銀髪の男と、男のくせに無駄に美しい顔立ちをした男。二人とも黄色いジャージを着ていた。
「よ」
「やあ」
「え、どうしたの?こんなところで」
「んー…あれじゃ、ランニングのついで」
言葉を濁しながらごにょごにょと言う仁王くんに首を傾げていると、幸村くんがやたらとにこにこしていることに気付いた。この人はいつもにこにこしてるけど…なんなのこの二人。どう考えても怪しい。
「はな、単刀直入に言うけど、明日一日、立海に忍び込んでみないかい?」
「…はい…?」
「明日はブン太の誕生日じゃろ?おまんも色々と不安じゃろうしな」
二人が何を言ってるのかよくわからなかったけど、仁王くんがわたしの気持ちを見透かしているのはすぐにわかった。悔しいながらもその通りだ。いや、だけど忍び込むなんてそんなこと簡単に出来るのか。二人がこんなに楽しそうにしている計画に簡単に乗るのも少し気が引けた。私の気持ちをからかっているのか、それともほんとに気遣ってくれているのか。
「どうする?もちろん無理にとは言わないよ」
「……行く」
無意識に返事をしていた自分に少し呆れた。だってブン太のことが心配なのは本当のことだ。じゃあ明日、朝6時に立海に来てね。そう言って幸村くんと仁王くんは嵐のように去っていった。
思ってもみなかった展開に頭がついて行けなかった。明日立海に忍び込むってことは、ブン太の様子が見れるんだよね?緊張するし不安もあるけど、少し楽しみかもしれない。
*
これは本当に私ですか。約束通り朝の6時に立海の校門に着くと、仁王くんに部室まで連れていってもらった。そしたらすぐに幸村くんから預かった立海の制服に着替えさせられて、仁王くんからもらったロングヘアのパーマのかかったウイッグを着けて、しかも軽く化粧までしてもらって。
自分で言うのもなんだけど、普段の私よりずっとずっとかわいい。だけど少しだけ疑問が。
「幸村くん、なんで女子の制服持ってるの…」
「妹のスペアだよ」
「…そうですか」
「仁王くん、なんで化粧出来るの?ウイッグはまあ、分かるとして…」
「姉貴に教わったんじゃ」
「…そうですか」
そんなことを考えていると、学校にチャイムが鳴り響いた。幸村くんは8時だ、と言って鞄を肩に掛けた。8時ってことは…ここに来てからもうそんなに時間が経ったのか。幸村くんと仁王くんに隠してもらうように挟まれて、こそこそと校舎へ向かった。というか、幸村くんと仁王くんに挟まれてる時点でものすごく目立つと思うんですけど。
校舎に入って三年生の階までやってくると、目立つ赤髪がすぐ目に入った。ブン太は予想通りたくさん女の子たちに囲まれていて、お祝いの言葉やらプレゼントやらたくさんのものを受け取っていた。
うわうわうわ。覚悟はしてたけどいざ目の前にすると、ものすごくイライラする。何でれでれしちゃってんのよ、ブン太め!ものすごい形相で彼に視線を送るも、ブン太には届くはずがなかった。女の子の群れの中から出てきたかと思うと、また別の女の子がブン太に駆け寄っていった。くっそ、ブン太のやつ何人から貰うつもりなんだ。
「丸井くん!これ、昨日作ったんだけど…」
「あー…悪りい。手作りのもんは受け取れねえんだ。あいつがやきもち焼くし」
ブン太が言ったその言葉に不覚にもときめいてしまって、不思議とさっきまでの苛々がどこかへ飛んでいってしまった。うわ、あんなこと言うとか反則だよ。そんな彼に見とれていると、ブン太が幸村くんに気付いてこっちに向かって走ってきた。
「幸村くん、仁王、おはよー」
「やあ、おはよう」
「おはようナリ」
「あれ、そいつは?」
「一年生だよ。見掛けたことないかい?」
「いや、ねえな。こんな可愛い子いたら忘れるはずねぇし」
ブン太はわたしを不思議そうな表情で見たあとににかっと笑った。うそ。ほんとに気付かないのかな。結構長い間付き合ってるのに、それは少しかなしい。ていうかだれにでもかわいいとか言っちゃうの?しばらく三人の会話を聞いていたけど、こんなに近くにいるのに距離を感じて、寂しくて、悲しくなった。
「ちょっと私トイレに…」
「あー、待てよぃ」
「え、うわっ」
泣きそうになるのを見られたくなくてブン太に背を向けて走りだそうとしたとき、突然後ろから伸びて来た両手に抱き寄せられた。
「…き、気付いてたの?」
「当たり前。お前見た瞬間すぐに分かったっての。俺をなめんなよぃ」
「う、ごめんなさ…」
「忍び込みたくなるほど俺が好きでたまらないってやつ?」
「ち、違う!そうじゃなくて不安だったの」
「一緒だろぃ?」
ブン太がそう言ったときにはもう幸村くんと仁王くんの姿はなくなっていた。仮にも廊下でこんなことをしているとさすがに周りの視線が気になる。だけど気付いてくれてたことが嬉しくて嬉しくてもうどうでもよかった。
「そのカッコもすげえかわいい」
「えっ…!」
「今日ありがとな。すっげいいプレゼント貰った」
私の肩から顔を覗かせたブン太は、頬に優しくキスを落とした。今日はブン太の誕生日なのにこっちがプレゼントをもらった気分だ。
私、ブン太の彼女でよかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
丸井ブン太誕生日企画。過去にリクエストにてアイデアを頂きました。
友達に手を振って教室を後にした。今日ずっとテンションが低かったのは、明日、私の彼氏であるブン太の誕生日だからだ。彼氏の誕生日なのになんでテンション低いの?なんて思われるかもしれないけど、無理もない。私はブン太と学校が違う。ここは立海から少し距離のある学校だ。ブン太が女の子から人気があることは知ってる。知ってるからこそ、明日の彼の誕生日が怖くもあった。私よりずっと長く彼の近くに居る女の子たちが彼を精一杯祝うんだから、不安になったって無理もないでしょ。
やきもきしながらも校門まで歩くと、なにやら見慣れた二人が目に入った。銀髪の男と、男のくせに無駄に美しい顔立ちをした男。二人とも黄色いジャージを着ていた。
「よ」
「やあ」
「え、どうしたの?こんなところで」
「んー…あれじゃ、ランニングのついで」
言葉を濁しながらごにょごにょと言う仁王くんに首を傾げていると、幸村くんがやたらとにこにこしていることに気付いた。この人はいつもにこにこしてるけど…なんなのこの二人。どう考えても怪しい。
「はな、単刀直入に言うけど、明日一日、立海に忍び込んでみないかい?」
「…はい…?」
「明日はブン太の誕生日じゃろ?おまんも色々と不安じゃろうしな」
二人が何を言ってるのかよくわからなかったけど、仁王くんがわたしの気持ちを見透かしているのはすぐにわかった。悔しいながらもその通りだ。いや、だけど忍び込むなんてそんなこと簡単に出来るのか。二人がこんなに楽しそうにしている計画に簡単に乗るのも少し気が引けた。私の気持ちをからかっているのか、それともほんとに気遣ってくれているのか。
「どうする?もちろん無理にとは言わないよ」
「……行く」
無意識に返事をしていた自分に少し呆れた。だってブン太のことが心配なのは本当のことだ。じゃあ明日、朝6時に立海に来てね。そう言って幸村くんと仁王くんは嵐のように去っていった。
思ってもみなかった展開に頭がついて行けなかった。明日立海に忍び込むってことは、ブン太の様子が見れるんだよね?緊張するし不安もあるけど、少し楽しみかもしれない。
*
これは本当に私ですか。約束通り朝の6時に立海の校門に着くと、仁王くんに部室まで連れていってもらった。そしたらすぐに幸村くんから預かった立海の制服に着替えさせられて、仁王くんからもらったロングヘアのパーマのかかったウイッグを着けて、しかも軽く化粧までしてもらって。
自分で言うのもなんだけど、普段の私よりずっとずっとかわいい。だけど少しだけ疑問が。
「幸村くん、なんで女子の制服持ってるの…」
「妹のスペアだよ」
「…そうですか」
「仁王くん、なんで化粧出来るの?ウイッグはまあ、分かるとして…」
「姉貴に教わったんじゃ」
「…そうですか」
そんなことを考えていると、学校にチャイムが鳴り響いた。幸村くんは8時だ、と言って鞄を肩に掛けた。8時ってことは…ここに来てからもうそんなに時間が経ったのか。幸村くんと仁王くんに隠してもらうように挟まれて、こそこそと校舎へ向かった。というか、幸村くんと仁王くんに挟まれてる時点でものすごく目立つと思うんですけど。
校舎に入って三年生の階までやってくると、目立つ赤髪がすぐ目に入った。ブン太は予想通りたくさん女の子たちに囲まれていて、お祝いの言葉やらプレゼントやらたくさんのものを受け取っていた。
うわうわうわ。覚悟はしてたけどいざ目の前にすると、ものすごくイライラする。何でれでれしちゃってんのよ、ブン太め!ものすごい形相で彼に視線を送るも、ブン太には届くはずがなかった。女の子の群れの中から出てきたかと思うと、また別の女の子がブン太に駆け寄っていった。くっそ、ブン太のやつ何人から貰うつもりなんだ。
「丸井くん!これ、昨日作ったんだけど…」
「あー…悪りい。手作りのもんは受け取れねえんだ。あいつがやきもち焼くし」
ブン太が言ったその言葉に不覚にもときめいてしまって、不思議とさっきまでの苛々がどこかへ飛んでいってしまった。うわ、あんなこと言うとか反則だよ。そんな彼に見とれていると、ブン太が幸村くんに気付いてこっちに向かって走ってきた。
「幸村くん、仁王、おはよー」
「やあ、おはよう」
「おはようナリ」
「あれ、そいつは?」
「一年生だよ。見掛けたことないかい?」
「いや、ねえな。こんな可愛い子いたら忘れるはずねぇし」
ブン太はわたしを不思議そうな表情で見たあとににかっと笑った。うそ。ほんとに気付かないのかな。結構長い間付き合ってるのに、それは少しかなしい。ていうかだれにでもかわいいとか言っちゃうの?しばらく三人の会話を聞いていたけど、こんなに近くにいるのに距離を感じて、寂しくて、悲しくなった。
「ちょっと私トイレに…」
「あー、待てよぃ」
「え、うわっ」
泣きそうになるのを見られたくなくてブン太に背を向けて走りだそうとしたとき、突然後ろから伸びて来た両手に抱き寄せられた。
「…き、気付いてたの?」
「当たり前。お前見た瞬間すぐに分かったっての。俺をなめんなよぃ」
「う、ごめんなさ…」
「忍び込みたくなるほど俺が好きでたまらないってやつ?」
「ち、違う!そうじゃなくて不安だったの」
「一緒だろぃ?」
ブン太がそう言ったときにはもう幸村くんと仁王くんの姿はなくなっていた。仮にも廊下でこんなことをしているとさすがに周りの視線が気になる。だけど気付いてくれてたことが嬉しくて嬉しくてもうどうでもよかった。
「そのカッコもすげえかわいい」
「えっ…!」
「今日ありがとな。すっげいいプレゼント貰った」
私の肩から顔を覗かせたブン太は、頬に優しくキスを落とした。今日はブン太の誕生日なのにこっちがプレゼントをもらった気分だ。
私、ブン太の彼女でよかった。
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丸井ブン太誕生日企画。過去にリクエストにてアイデアを頂きました。
