とぐろ巻く群青
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何故、怖がらせ屋になりたいか。
その理由は人それぞれだと思う。
私はどうだろうか。正直言って特にコレといった理由はない。
誰かに憧れた訳でもないし、怖がらせ屋の家系でも小さな分家に当たるくらいである。
強いて言うなら、「有意義な大学生活をエンジョイしたかった」から…あとは「回りの流れに任せて優秀な成績でそれなりの大学に行けば、後々楽だろう」から。
そんな夢の無い今時な若者思考の私は、ここらで一番大きい名門校『モンスターズユニバーシティー』の難関『怖がらせ学部』を志望した。
人並みの努力で入る事が難しい大学の進学には私も少々手を焼いた。今までの一夜漬けの勉強じゃあ間に合わないもの。
入学許可書が郵便受けに届いた時は正直嬉しかったし、自分に自信も持てた。
でも、大学に入って、怖がらせ学部に入って私は何がしたいんだろう??
怖がらせ屋に本当になりたいかと問われれば即答できないのが現実。他の学科よりもエリートを出しているから、ここを選んだ。これが本音。
このお話は、そんな目的を見出だせない、私の最後の学生生活を綴った物語……。
…………なぁんて。
そんな、青春にどっぷり浸かったハートフルでセンチメンタルな話だと思いました?
残念っ!!この物語は夢主が、原作沿いで如何に逆ハー学園生活を満喫しつつ、愛しのランドールに胸の奥のヤンデレ魂を暴露するかを書き殴ったギャグ小説でした!!
期待外れな薄い内容で申し訳ないけれども、まだ耐えられる方は続きをどうぞ。
私はそのキャンパスの敷地内にいた。
広大な敷地に伝統有り気で荘厳さ漂う各学部の学部練、芝生でくつろぐ個性的な容姿の学生達、どれも初めて見る光景にやはり心踊る 。
『…と、来たは良いけど、何をしようとしてたんだっけ…。』
目の前の光景に圧倒されて呆けていたらしい。
戸惑いながら辺りを見回していると、"ほほえみ隊"と印刷されたTシャツを着た愛嬌のある女性モンスターが近寄って来た。
「ハァイ、新入生ね?私はリム。登録アシスタントなの。手続きは終わった?まだならあっちが受付よ。」
どうやら、まごついている新入生をガイドするボランティアらしい。非常にありがたい。
『ありがとう!!早速行って来るわ!』
リム先輩に教えて貰った校舎前のテントには、新入生達がずらりと並んでいた。
適当に近くの列に並び、順番が回ってくると、先程リムが着ていたTシャツと同じものを着た男性モンスターが愛想よく対応してくれた。
テンション高いッスね、先輩方。
「やぁ!!僕の名前はジェイコブ!!これがオリエンテーションの書類一式だよ!!しっかり読んでね!!」
ずっしりとした書類の束を渡され、彼の笑顔にこちらも答えると次に写真撮影場所へと誘導された。
「次はトレイに写真を撮って貰ってね!!」
指差す方向にカメラの前に立っているトレイだと思われるモンスターが手招きしている。
荷物を傍らに置き、カメラ前の椅子に座ると同時に突然フラッシュが焚かれた。
ホアアァァァァアアアア………ちょ…、早過ぎだって。
ちゃんと写ってなかったらどうしようか、と心配になったが、次々に新入生がこちらにやって来るのを見て慌てて席を立った。
大量の新入生に対応するため、撮影は流れ作業で行われているようだ。
背後のテーブルで学生証を受け取り、 署名をして写真と共にラミネートされたそれには……
"モンスターズ大学
怖がらせ学部:怖がらせ学専攻
フランシスカ・ラミアス"
としっかり印刷されていた。
写真はまぁ、最高とは言えないが問題はないだろう。とりあえず、ひと安心。
なんだか、曖昧だった感覚が一気にリアルになる感じ。
大学生になった実感が身体から沸々と湧いてくる。
何とも言えない高揚感を覚えたのだった。
次は…
入学手続きの後の予定を思い出す前に視界の隅で揺れる青い小旗が見えた。
「はい、みなさん!!私はオリエンテーション・ツアー担当のフェイです!!私が大学のあらゆる場所へご案内します!!」
青い髪の隙間から突き出た大きな目玉が特徴的な女子学生が大学のロゴの入ったフラッグを振っていた。
寮に行くまで時間はたっぷりあるので、私は彼女の作る列の最後尾に着いた。
まず、最初に向かったのはドア工学部。
広くて清潔な廊下をしばらく歩くと、ガラス張りになった一画があり、中で小柄なモンスター達が作業している。
「このラボで、学生達が人間界へと通じるドアの設計をして組み立てています。」
色とりどりの様々な形をしたドアが次々と製作され、天井から吊るされている。
すると、真っ白な防護服で頭から爪先まで覆ったモンスターが二人、別のエリアに移動する姿が見えた。
「教授がドアのテストをするようですよ!!ラッキーですね!!なかなか見られないのよ!!」
教授とその助手と見られるモンスター達はドア工学研究室にIDカードを使って入り、それと同時にテストするドアがフロアに設置された。
設置されたピンクのドアは女の子の子供部屋らしい。
装置を起動させるとすぐにドアの上のランプが点灯した。人間界への接続が完了したのだ。
そこで次のフロアに行くために新入生の団体が動き始めた。
次はカフェテリアらしい。
「ここが我がモンスター大学のカフェテリアです。一日に三度、ここでビュッフェ形式の食事を取る事が出来ます。」
フェイの指差した方向、ビュッフェ台に目をやり、唖然とした。
作業員がゴミ箱を片付けるふりをしながら、残飯を再びビュッフェのトレイに戻していたのだ。
しかも、そんな事は我関せずとガツガツとむさぼる学生がいる。
微妙な吐き気を覚えながら目を背け、フェイの話に耳を傾ける。
「個人的にはうちのシェフは世界屈指だと思ってるわ。」
恐らくフェイは新入生をからかっているのだろう。それが証拠に席を立った学生達が食事のほとんどをゴミ箱に捨てている。
大学の食事がまずいのは覚悟していたが、予想以上だった。コレは本当に無い。有り得ない。
私はカフェテリアには二度と来ないと心から誓った。
だが、その覚悟が後ほど易々と壊されることになり、また、自らの人生に関係深い人物と出会うとは夢にも思うまい。
「さぁ、みなさん!!ここが当モンスター大学の要!!怖がらせ学部です!!」
ガイドのフェイが高らかに告げて、怖がらせ学部の校舎を指し示す。
敷地内には十数練の校舎があり、そのいずれも立派な建物だったが、怖がらせ学部の校舎は一際目を惹いた。全面が真っ白で巨大な石柱が8本そびえ立つギリシャ風の建築様式で、随所に牙の彫刻が施されている。
もっとも歴史があり、優秀な学生が集うモンスター大学の至高の存在。それを象徴する最高に巨大で厳めしい建物だ。
「モンスター大学には様々なクラブや課外活動があるんですよ!!」
移動し始めた団体について行く際に、緑色のボールのようなモンスターが怖がらせ学部の校舎前で恍惚とした表情で立ち尽くしているのに気がついた。
遅れては困るだろうと声をかけようとした瞬間に我に帰ったらしく、慌ててフェイの元に走り寄った。
この大学に入れたことが本当に嬉しいんだろう。
微笑ましいと同時に羨ましい。
フェイの案内で着いた中庭にはテーブルの列が出来ていた。
寮へ向かう新入生を勧誘しようと、各クラブが盛んにアピールしている。
時間もあるのでゆっくり見て回ることにした。
・
・
・
様々なクラブがあったが、コレと言ってすぐに入りたいクラブはなかった。
そういえば、グリークカウンシルという男女それぞれに複数ある友愛会をまとめる生徒会のような組織があった。対称的な生徒二人が「怖がらせ大会」がなんちゃらかんちゃらとか言ってたけど、半年も後のことだし、まぁ、いっか。
先程から言っている友愛会というのは大学敷地内の友愛会地区に立派な宿舎を持ち、会員となるとそこに部屋を与えられ、他のメンバーと"兄弟"となり寝起きを共にするグループのことらしい。
この大学で一番有名なのは"ロアー・オメガ・ロアー"、学内きってのエリート集団で入会には厳しい条件があるという噂だったが、特に秘密主義で入会条件も公にされていない。だが、会員となったあかつきにはその結び付きは強く、関係は生涯を亘って持続する。もちろん、就職などの際には同じ友愛会の出身者が社員だった場合、有利になるという話だ。
映画やドラマで見る友愛会で暮らす学生はパーティー三昧の日々を送っているが、それが本当かは定かではない。
それなりに楽しいのだろうし、素敵なパートナーに出会えるチャンスだと高校の頃の友人ははしゃいでいたのを覚えている。
まぁ、私は授業が始まってから仲良くなった子に誘われでもしない限りフリーだろう。流れに身を任せよう。
そんなこんなでひとまず、私は寮へと向かう道のりへと歩を進めたのであった。
その理由は人それぞれだと思う。
私はどうだろうか。正直言って特にコレといった理由はない。
誰かに憧れた訳でもないし、怖がらせ屋の家系でも小さな分家に当たるくらいである。
強いて言うなら、「有意義な大学生活をエンジョイしたかった」から…あとは「回りの流れに任せて優秀な成績でそれなりの大学に行けば、後々楽だろう」から。
そんな夢の無い今時な若者思考の私は、ここらで一番大きい名門校『モンスターズユニバーシティー』の難関『怖がらせ学部』を志望した。
人並みの努力で入る事が難しい大学の進学には私も少々手を焼いた。今までの一夜漬けの勉強じゃあ間に合わないもの。
入学許可書が郵便受けに届いた時は正直嬉しかったし、自分に自信も持てた。
でも、大学に入って、怖がらせ学部に入って私は何がしたいんだろう??
怖がらせ屋に本当になりたいかと問われれば即答できないのが現実。他の学科よりもエリートを出しているから、ここを選んだ。これが本音。
このお話は、そんな目的を見出だせない、私の最後の学生生活を綴った物語……。
…………なぁんて。
そんな、青春にどっぷり浸かったハートフルでセンチメンタルな話だと思いました?
残念っ!!この物語は夢主が、原作沿いで如何に逆ハー学園生活を満喫しつつ、愛しのランドールに胸の奥のヤンデレ魂を暴露するかを書き殴ったギャグ小説でした!!
期待外れな薄い内容で申し訳ないけれども、まだ耐えられる方は続きをどうぞ。
私はそのキャンパスの敷地内にいた。
広大な敷地に伝統有り気で荘厳さ漂う各学部の学部練、芝生でくつろぐ個性的な容姿の学生達、どれも初めて見る光景にやはり心踊る 。
『…と、来たは良いけど、何をしようとしてたんだっけ…。』
目の前の光景に圧倒されて呆けていたらしい。
戸惑いながら辺りを見回していると、"ほほえみ隊"と印刷されたTシャツを着た愛嬌のある女性モンスターが近寄って来た。
「ハァイ、新入生ね?私はリム。登録アシスタントなの。手続きは終わった?まだならあっちが受付よ。」
どうやら、まごついている新入生をガイドするボランティアらしい。非常にありがたい。
『ありがとう!!早速行って来るわ!』
リム先輩に教えて貰った校舎前のテントには、新入生達がずらりと並んでいた。
適当に近くの列に並び、順番が回ってくると、先程リムが着ていたTシャツと同じものを着た男性モンスターが愛想よく対応してくれた。
テンション高いッスね、先輩方。
「やぁ!!僕の名前はジェイコブ!!これがオリエンテーションの書類一式だよ!!しっかり読んでね!!」
ずっしりとした書類の束を渡され、彼の笑顔にこちらも答えると次に写真撮影場所へと誘導された。
「次はトレイに写真を撮って貰ってね!!」
指差す方向にカメラの前に立っているトレイだと思われるモンスターが手招きしている。
荷物を傍らに置き、カメラ前の椅子に座ると同時に突然フラッシュが焚かれた。
ホアアァァァァアアアア………ちょ…、早過ぎだって。
ちゃんと写ってなかったらどうしようか、と心配になったが、次々に新入生がこちらにやって来るのを見て慌てて席を立った。
大量の新入生に対応するため、撮影は流れ作業で行われているようだ。
背後のテーブルで学生証を受け取り、 署名をして写真と共にラミネートされたそれには……
"モンスターズ大学
怖がらせ学部:怖がらせ学専攻
フランシスカ・ラミアス"
としっかり印刷されていた。
写真はまぁ、最高とは言えないが問題はないだろう。とりあえず、ひと安心。
なんだか、曖昧だった感覚が一気にリアルになる感じ。
大学生になった実感が身体から沸々と湧いてくる。
何とも言えない高揚感を覚えたのだった。
次は…
入学手続きの後の予定を思い出す前に視界の隅で揺れる青い小旗が見えた。
「はい、みなさん!!私はオリエンテーション・ツアー担当のフェイです!!私が大学のあらゆる場所へご案内します!!」
青い髪の隙間から突き出た大きな目玉が特徴的な女子学生が大学のロゴの入ったフラッグを振っていた。
寮に行くまで時間はたっぷりあるので、私は彼女の作る列の最後尾に着いた。
まず、最初に向かったのはドア工学部。
広くて清潔な廊下をしばらく歩くと、ガラス張りになった一画があり、中で小柄なモンスター達が作業している。
「このラボで、学生達が人間界へと通じるドアの設計をして組み立てています。」
色とりどりの様々な形をしたドアが次々と製作され、天井から吊るされている。
すると、真っ白な防護服で頭から爪先まで覆ったモンスターが二人、別のエリアに移動する姿が見えた。
「教授がドアのテストをするようですよ!!ラッキーですね!!なかなか見られないのよ!!」
教授とその助手と見られるモンスター達はドア工学研究室にIDカードを使って入り、それと同時にテストするドアがフロアに設置された。
設置されたピンクのドアは女の子の子供部屋らしい。
装置を起動させるとすぐにドアの上のランプが点灯した。人間界への接続が完了したのだ。
そこで次のフロアに行くために新入生の団体が動き始めた。
次はカフェテリアらしい。
「ここが我がモンスター大学のカフェテリアです。一日に三度、ここでビュッフェ形式の食事を取る事が出来ます。」
フェイの指差した方向、ビュッフェ台に目をやり、唖然とした。
作業員がゴミ箱を片付けるふりをしながら、残飯を再びビュッフェのトレイに戻していたのだ。
しかも、そんな事は我関せずとガツガツとむさぼる学生がいる。
微妙な吐き気を覚えながら目を背け、フェイの話に耳を傾ける。
「個人的にはうちのシェフは世界屈指だと思ってるわ。」
恐らくフェイは新入生をからかっているのだろう。それが証拠に席を立った学生達が食事のほとんどをゴミ箱に捨てている。
大学の食事がまずいのは覚悟していたが、予想以上だった。コレは本当に無い。有り得ない。
私はカフェテリアには二度と来ないと心から誓った。
だが、その覚悟が後ほど易々と壊されることになり、また、自らの人生に関係深い人物と出会うとは夢にも思うまい。
「さぁ、みなさん!!ここが当モンスター大学の要!!怖がらせ学部です!!」
ガイドのフェイが高らかに告げて、怖がらせ学部の校舎を指し示す。
敷地内には十数練の校舎があり、そのいずれも立派な建物だったが、怖がらせ学部の校舎は一際目を惹いた。全面が真っ白で巨大な石柱が8本そびえ立つギリシャ風の建築様式で、随所に牙の彫刻が施されている。
もっとも歴史があり、優秀な学生が集うモンスター大学の至高の存在。それを象徴する最高に巨大で厳めしい建物だ。
「モンスター大学には様々なクラブや課外活動があるんですよ!!」
移動し始めた団体について行く際に、緑色のボールのようなモンスターが怖がらせ学部の校舎前で恍惚とした表情で立ち尽くしているのに気がついた。
遅れては困るだろうと声をかけようとした瞬間に我に帰ったらしく、慌ててフェイの元に走り寄った。
この大学に入れたことが本当に嬉しいんだろう。
微笑ましいと同時に羨ましい。
フェイの案内で着いた中庭にはテーブルの列が出来ていた。
寮へ向かう新入生を勧誘しようと、各クラブが盛んにアピールしている。
時間もあるのでゆっくり見て回ることにした。
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様々なクラブがあったが、コレと言ってすぐに入りたいクラブはなかった。
そういえば、グリークカウンシルという男女それぞれに複数ある友愛会をまとめる生徒会のような組織があった。対称的な生徒二人が「怖がらせ大会」がなんちゃらかんちゃらとか言ってたけど、半年も後のことだし、まぁ、いっか。
先程から言っている友愛会というのは大学敷地内の友愛会地区に立派な宿舎を持ち、会員となるとそこに部屋を与えられ、他のメンバーと"兄弟"となり寝起きを共にするグループのことらしい。
この大学で一番有名なのは"ロアー・オメガ・ロアー"、学内きってのエリート集団で入会には厳しい条件があるという噂だったが、特に秘密主義で入会条件も公にされていない。だが、会員となったあかつきにはその結び付きは強く、関係は生涯を亘って持続する。もちろん、就職などの際には同じ友愛会の出身者が社員だった場合、有利になるという話だ。
映画やドラマで見る友愛会で暮らす学生はパーティー三昧の日々を送っているが、それが本当かは定かではない。
それなりに楽しいのだろうし、素敵なパートナーに出会えるチャンスだと高校の頃の友人ははしゃいでいたのを覚えている。
まぁ、私は授業が始まってから仲良くなった子に誘われでもしない限りフリーだろう。流れに身を任せよう。
そんなこんなでひとまず、私は寮へと向かう道のりへと歩を進めたのであった。