少女椿
名前変換
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日本で生まれ育った名無しは、10になってすぐの頃に母親とイタリアで生活することになる。右も左もわからない状態から始まった日々は目まぐるしく過ぎていった。
1年と少し過ぎたころからだろうか。一週間に1度ほどの頻度で母が帰ってこないことがあった。同時に、口数が減り、やつれていく母。最後に笑顔を見たのはいつだったか。
それはやがて3日に1度家に帰ればいい方になっていく。そしてイタリアへきて3年目のことだった。とうとう母が帰ってこなかった。
母と過ごした小さなワンルームで名無しは待ち続けた。
大丈夫。長引いているだけ。今に帰ってくる―――
どれぐらい日がたったのだろうか。抱えこんだ足元に外部の光が射しこむ。光の先には小綺麗なスーツに身を包んだ男性が立っていた。
「10は過ぎていると聞いていたが…まだほんの子供じゃあないか」
柔和に笑む男の目には13歳の娘ではなく、5歳ほどの幼子が映っている。無意識下で発現した能力は名無しの姿を幼く変えていたのだった。
「さあ、私とおいで」
そのまま連れられ、着いた先は男の自宅だった。使用人がいるような広い屋敷だ。男はその小さな手を引き、迷うことなく足を進める。傷心し、思考の鈍る名無しは抵抗しなかった。
「今日からここが君の家だ…あー、名前は…そうだな…」
名無しに聞くでもなく男は顎に手を当て小さく首をかしげる。
「名無し2だ」
まあ、こんなもんだろう。興味なさそうに呟くと目的の部屋の扉を開けた。
「君の部屋だ。気に入ってもらえるといいが」
少女にあたえるにしては広い部屋であった。寝具やチェスト、テーブルでさえもそこにあるすべてが名無し…もとい名無し2がこれまで使っていたものより大きかった。
それまで何も映すことなく虚ろに開かれていた名無し2の瞳が見開かれる。部屋の広壮さに驚いたのではない。見合わないものが二つ、ベッドの上に転がっていたのだ。
男は真っ直ぐベッドへ近づき、優しく握っていた小さな片腕と片足にそれを嵌める。ベッドの足からのびる鎖はその枷に繋がっていた。
1年と少し過ぎたころからだろうか。一週間に1度ほどの頻度で母が帰ってこないことがあった。同時に、口数が減り、やつれていく母。最後に笑顔を見たのはいつだったか。
それはやがて3日に1度家に帰ればいい方になっていく。そしてイタリアへきて3年目のことだった。とうとう母が帰ってこなかった。
母と過ごした小さなワンルームで名無しは待ち続けた。
大丈夫。長引いているだけ。今に帰ってくる―――
どれぐらい日がたったのだろうか。抱えこんだ足元に外部の光が射しこむ。光の先には小綺麗なスーツに身を包んだ男性が立っていた。
「10は過ぎていると聞いていたが…まだほんの子供じゃあないか」
柔和に笑む男の目には13歳の娘ではなく、5歳ほどの幼子が映っている。無意識下で発現した能力は名無しの姿を幼く変えていたのだった。
「さあ、私とおいで」
そのまま連れられ、着いた先は男の自宅だった。使用人がいるような広い屋敷だ。男はその小さな手を引き、迷うことなく足を進める。傷心し、思考の鈍る名無しは抵抗しなかった。
「今日からここが君の家だ…あー、名前は…そうだな…」
名無しに聞くでもなく男は顎に手を当て小さく首をかしげる。
「名無し2だ」
まあ、こんなもんだろう。興味なさそうに呟くと目的の部屋の扉を開けた。
「君の部屋だ。気に入ってもらえるといいが」
少女にあたえるにしては広い部屋であった。寝具やチェスト、テーブルでさえもそこにあるすべてが名無し…もとい名無し2がこれまで使っていたものより大きかった。
それまで何も映すことなく虚ろに開かれていた名無し2の瞳が見開かれる。部屋の広壮さに驚いたのではない。見合わないものが二つ、ベッドの上に転がっていたのだ。
男は真っ直ぐベッドへ近づき、優しく握っていた小さな片腕と片足にそれを嵌める。ベッドの足からのびる鎖はその枷に繋がっていた。