続
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保護者といえる人を失った少女はポルポというギャングに保護される。もっとも、何も知らされることなく連れてこられたため、名無し2はポルポの名前はおろか存在すら知らない。ここはどこなのか、誰が、一体何故、自分を保護したのか。名無し2には見当がつかない。だが、一部屋で完結するように整われた設備。外部から運ばれる食事。これらが監禁されていることを暗に示していた。
それだけではない。部屋の影から影へと移動する異形のもの。人型だが人は明らかに違う。初めて目の前に現れたときはとうとう気が狂ったのだと思った。なにもせずただひたすら部屋の中を徘徊するソレ。
外を少しだけ覗こうと扉の前の影に足を踏み入れた途端、目の前にソレが現れる。とっさに身を引くと急に興味を失ったように再び徘徊する。触れる勇気はなかった。
他の人には見えているのだろうか。食事を運ぶ人たちは気に留める様子はない。少女の気が触れたのでないとすれば、ソレの正体は。何のためにここにいるのか。
そして名無し2は夜にやってきた女によって、ここに連れてこられた理由を悟ることになる。
「名無し2の様子はどうかね?」
大きく首をかしげてポルポは尋ねる。
「ええ、相変わらずよ。…ただ、彼女はちょっとお喋りが苦手みたいね」
女はパッショーネの構成員ではなくポルポの個人的な‟女‟であった。ポルポが彼女に名無し2の世話をさせているのにはわけがあった。
ジャンニ・ウルバーノ。組織で彼の暗殺が企てられた。目的はあくまで殺すこと。財産を狙っての暗殺ではなかった。そのためポルポは彼の死後、残されたその財産を得ようとしていた。
ジャンニの人脈は広く、彼を知る人間に悪い印象を話す者はいない。しかし彼は独り身で、プライベートは謎に包まれていた。人は良いが誰も深入りさせない。彼の財産は誰に受け継がれるのか…。そこへ名無し2という少女の情報をポルポは手にした。ジャンニが名無し2にただならぬ感情を抱いていることは明白だった。少女には何かあるはずだ…。
計画通り少女を捉えたポルポは刑務所にいる自身に代わり、ブチャラティとこの女に面倒を任せていた。だが名無し2への責問は実はポルポの指示ではない。ポルポは”お気に入り”の女のことをよく分かっていた。ジャンニの財産と、彼と名無し2の関係性をそれとなく伝え、自ら責問をするように差し向けたのだ。金に糸目を付けぬ彼女は喉から手が出るほど欲しいはずだ…。必ず行動すると踏んでいた。
少女は訓練されているわけでもない普通の子供だ。
ちょっと甚振ればすぐに口を割るだろう。
ブチャラティは信頼する部下だったが、少女を責問するには彼は優しすぎる。しかし女は知らない。どのくらいで人は死ぬのか、子供がどれほど脆いか…。たとえ少女自身は財産について知らないとしても、ジャンニにとって重要な存在だったのは確かだ。財産の行方が分かるまでは生かしておきたかった。ポルポは女を分かっていたからこそ信用せず、部下に少女の様子を報告させた。
名無し2を保護して数週間後。
ジャンニの財産を得るというポルポの目論見は外れてしまう。もとより、名無し2は財産など知らない。だがそれよりも不幸なことが彼の身に降りかかる。
ジョルノ・ジョバァーナ。パッショーネの入団試験に挑んだ彼の手にかかってしまったのだ。ジョルノの能力により自殺と判断された死はポルポ自身も予測できなかったものだろう。
そしてポルポが死んだ今、名無し2のもとにいたスタンドも消滅するのだった。
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