少女椿
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「ホルマジオ、急で悪いが今から偵察に行ってくれ」
リゾットは朝から自室へこもっていた。やっと姿を現したかと思えば任務を口にする。
「おいおい…今帰ってきたばっかりだぜ?」
口ではそう言いつつ、ソファから腰を上げ車のキーを人差し指に引っ掛ける。くるりと向けた背に言葉が投げられた。
「まだ聞いてもねぇのにどこへ行くつもりだ。疲労でイカれたか?それとも元からか?え?」
「ああ、そうだな。おめーの言う通りどうやら疲れてるみてーだ…これならちょ~っと失敗してもしょうがねーよなぁ?リゾット」
イルーゾォの軽口を受け流すホルマジオは笑みを崩さない。
「…悪いな。都合がつくのがおまえだけなんだ」
それは手が空いている、というだけではなく能力的な意味も含まれているのだろう。その証拠にこの場にはリゾットとホルマジオ、イルーゾォのほかにプロシュートとメローネがいた。
ホルマジオはソファに座りなおす。
「で、オレのドライブコースは?」
リゾットはテーブルに資料をばさりと置く。
「そう遠くない。内部の構造と人数の把握を頼む。大まかで構わない」
資料には場所とターゲットであろう男の詳細が記されていた。
Gianni Urbano ”ジャンニ・ウルバーノ”
「あの屋敷か…スグには帰れねえかもな」
横からのぞき込んだプロシュートが憐れむように言う。
「プロシュート、おめー知ってんのかよ?」
「フィレンツェの若い資産家だ…。独り身だがバカみてえに広い屋敷に住んでやがる」
それに対してああ、あいつか。とメローネも反応した。
「たしか加虐嗜好の変態だったな。東洋の女と住んでるって噂だ。……東洋人のベイビィか」
スタンドで息子を産ませる想像したのか目を輝かせるメローネ。変態だなんてこいつもおまえには言われたくないだろうよ。声にこそ出さないが、みんな同じようなことを思う。
「…その女の居場所も探ってくれ」
なぜ暗殺対象なのか。
それは彼らにとって重要なことではなかった。
女を連れる金持ちなどたくさんいる。
依頼が無ければ特に殺す必要はないが、暗殺時に鉢合わせれば手を下す。巻き込んではならない、なんてことはなかった。しかし、リゾットは居場所を確かめろという。それは暗殺対象か殺してはならない保護対象か――資料にない、ということは後者なのだろう。
「東洋の女に興味があるのか?」
メローネが珍しい、といったようにパソコンから目を上げて聞く。
「上の命令だ」
「誰からの命令だ?」
女について聞いても仕方がない――リゾットも知らされていないのだろう――と思ったプロシュートが質問の矛先を転じた。リゾットは伝えていいものか一瞬考え、答えを返す。
「…ポルポだ」
「この男とポルポになんの関係があんだ?」
プロシュートが眉を顰める。ギャングにとって邪魔な人間は少なからずいる。幹部ともなればなおさらだ。しかし何年も独房から出ていないポルポにとって殺してほしい相手がいるなどいるのだろうか。
「暗殺の依頼はボスだ」
「…ムショで飼うつもりか?」
イルーゾォの言う通りポルポが個人的な指令を出すのは珍しく、思い当たる理由はその程度だった。
「とにかく、実行ルートを見繕えばいいんだろ?早く行かなきゃあオレの睡眠はおあずけになっちまう…。プロシュートの言うことが本当ならな」
「女の居場所も、だ」
「わかってる。大丈夫だ」
リゾットの念押しに頷き、ホルマジオは内容を頭に叩き込むと偵察へと向かった。
リゾットは朝から自室へこもっていた。やっと姿を現したかと思えば任務を口にする。
「おいおい…今帰ってきたばっかりだぜ?」
口ではそう言いつつ、ソファから腰を上げ車のキーを人差し指に引っ掛ける。くるりと向けた背に言葉が投げられた。
「まだ聞いてもねぇのにどこへ行くつもりだ。疲労でイカれたか?それとも元からか?え?」
「ああ、そうだな。おめーの言う通りどうやら疲れてるみてーだ…これならちょ~っと失敗してもしょうがねーよなぁ?リゾット」
イルーゾォの軽口を受け流すホルマジオは笑みを崩さない。
「…悪いな。都合がつくのがおまえだけなんだ」
それは手が空いている、というだけではなく能力的な意味も含まれているのだろう。その証拠にこの場にはリゾットとホルマジオ、イルーゾォのほかにプロシュートとメローネがいた。
ホルマジオはソファに座りなおす。
「で、オレのドライブコースは?」
リゾットはテーブルに資料をばさりと置く。
「そう遠くない。内部の構造と人数の把握を頼む。大まかで構わない」
資料には場所とターゲットであろう男の詳細が記されていた。
Gianni Urbano ”ジャンニ・ウルバーノ”
「あの屋敷か…スグには帰れねえかもな」
横からのぞき込んだプロシュートが憐れむように言う。
「プロシュート、おめー知ってんのかよ?」
「フィレンツェの若い資産家だ…。独り身だがバカみてえに広い屋敷に住んでやがる」
それに対してああ、あいつか。とメローネも反応した。
「たしか加虐嗜好の変態だったな。東洋の女と住んでるって噂だ。……東洋人のベイビィか」
スタンドで息子を産ませる想像したのか目を輝かせるメローネ。変態だなんてこいつもおまえには言われたくないだろうよ。声にこそ出さないが、みんな同じようなことを思う。
「…その女の居場所も探ってくれ」
なぜ暗殺対象なのか。
それは彼らにとって重要なことではなかった。
女を連れる金持ちなどたくさんいる。
依頼が無ければ特に殺す必要はないが、暗殺時に鉢合わせれば手を下す。巻き込んではならない、なんてことはなかった。しかし、リゾットは居場所を確かめろという。それは暗殺対象か殺してはならない保護対象か――資料にない、ということは後者なのだろう。
「東洋の女に興味があるのか?」
メローネが珍しい、といったようにパソコンから目を上げて聞く。
「上の命令だ」
「誰からの命令だ?」
女について聞いても仕方がない――リゾットも知らされていないのだろう――と思ったプロシュートが質問の矛先を転じた。リゾットは伝えていいものか一瞬考え、答えを返す。
「…ポルポだ」
「この男とポルポになんの関係があんだ?」
プロシュートが眉を顰める。ギャングにとって邪魔な人間は少なからずいる。幹部ともなればなおさらだ。しかし何年も独房から出ていないポルポにとって殺してほしい相手がいるなどいるのだろうか。
「暗殺の依頼はボスだ」
「…ムショで飼うつもりか?」
イルーゾォの言う通りポルポが個人的な指令を出すのは珍しく、思い当たる理由はその程度だった。
「とにかく、実行ルートを見繕えばいいんだろ?早く行かなきゃあオレの睡眠はおあずけになっちまう…。プロシュートの言うことが本当ならな」
「女の居場所も、だ」
「わかってる。大丈夫だ」
リゾットの念押しに頷き、ホルマジオは内容を頭に叩き込むと偵察へと向かった。