エピソード3 ルグニカ平野からベルケント
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ベヒモスから逃げ切った一行。だが、ナタリアは自分の事実を受け入れられずに足を止めて考えがち。それを見かねたガイがジェイドに提案する。
「…ジェイド。休憩!」
聞かずとも何故ガイが休憩と言ったか理解しているジェイドが振り返り、肩をすくめる。
「やれやれ。貴方もお人好しですね。さっきのこともありますから周りには気をつけて下さい」
「じゃあ見張りしながら次のラフレスの花粉の弾丸用意しておく」
ニッドは銃身をいじってラフレスの花粉を詰めた弾丸を入れていく。
「ああ、こんなところでナタリアが怪我でもしたら、バチカルの皆が泣くからな」
「そうだよねぇ、ナタリアって愛されていたんだって、びっくりしたもん」
ガイの言葉にアニスが頷く。
「ナタリアは公共事業を取り仕切っているんだ。その収益を病気の人とかに施したりとか…。尊敬されてたんだよ」
「ルークが王子だったら、ただ王室で贅沢三昧だな」
ガイに言われたルークにはそれが少し刺さったようだ。
「為政者も個人の資質が重要ってことね」
「ナタリアは自信持っていい。あれだけの国民の味方が居るんだから」
「そう。バチカルのみんなはキムラスカの王女じゃなくてナタリアが好きなんだよな」
ガイとニッドが背中を押してくれるような言葉をかけてくれたが、ナタリアは俯いてしまう。
「でもお父様は…」
「陛下がどうしてもキミを拒絶するなら、マルクトにおいで。キミなら大歓迎さ」
ガイのセリフにナタリアは赤面する。彼女の表情が少しだけ明るくなる。
「あなた…よく真顔でそんなことを言えますのね」
「でも、俺も大歓迎だよ」
『そうだ、ワタシもだ。マルクトは見るところが沢山あるぞ』
ガイとニッドとノルンも加わり、ナタリアをマルクトに亡命させようとする。
「おーい、ガイたちにたぶらかされてマルクトに亡命するなよ」
ルークが横から引き戻すよう声をかけてきた。
「それより、インゴベルト陛下に退位してもらって、ナタリアが女王になれば?」
「…ふふ」
アニスからのそんな提案にナタリアは微笑む、同時に涙が溢れる。
「…ごめん…なさい…いやですわ、泣くつもりでは…」
こぼれ落ちる涙を拭う彼女にガイとノルンが優しく言葉をかける。
「いいんだよ。色々あって、びっくりしたよな」
『慌てなくていい、気持ちが落ち着くまで待っているからね』
しばらくしてナタリアは落ち着きを取り戻した。
「ごめんなさい、みんな。もう…大丈夫ですわ。ガイも…ニッドとノルンもありがとう」
「ナタリアの笑顔を取り戻す手伝いができて嬉しいよ」
「相変わらず真顔で言えるのな、それ。まあ良かったよ」
『笑顔のほうがかわいいのう』
ノルンがにこにこしている。ナタリアも落ち着き、一行は再び歩き始める。
湿原の終わりが見えてきたところでルークが安堵するように言った。
「なんとか湿原を抜けれそうだな」
全員が一息ついたのも束の間、最後尾のニッドの背後からベヒモスが現れる。ニッドはベヒモスを認識するとすぐに近くにいたナタリアを遠ざけるために突き飛ばす。
「きゃあ!」
ナタリアは前に居たティアに抱き抱えられた。
「…っ!」
ニッドは構える隙がなく、ノルンを弾き飛ばされてベヒモスに握り潰されそうになっていた。
「准将!」
「ニッド!」
ティアとルークが武器を構える。
「どうしましょう…私を庇って…」
ナタリアは慌てている。
「ノルンの銃弾が必要です。ティアは譜歌を!こちらは抑えておくのでルークかガイ、どちらかでノルンを拾ってください」
「音機関はガイのほうが得意だろ!俺もこいつを抑える!」
「わかった、俺がノルンを拾ってくる!」
ルークはアニスとともに最前線へ向かい、ガイはノルンが飛ばされたほうへ走っていく。
「ノルン!無事か!」
地面に落ちていたノルンを拾い上げる。
『ガイ!あぁ、拾ってくれて助かる!あの子は!?』
「ベヒモスにがっつり掴まれてる。ルークたちが時間を稼いでいるが…」
『ガイ、ベヒモスに向かってワタシを構えてくれ!しっかり持っていてくれればラフレスの花粉の弾丸を打ち出せる!』
「わかった」
ガイはノルンを持ってベヒモスに近づく。射程距離に入るとノルンを構えた。
『皆、下がって』
ノルンの声にルークとアニスは射程距離から離れる。ティアの譜歌のおかげでベヒモスの動きが止まっている。
『ガイ、準備は?』
「いつでもいいぜ!』
『では…あの子を返してもらおう!』
「…っ!」
ノルンの銃口から発射された弾はベヒモスの顔面に直撃した。ベヒモスはもがきながらニッドを離した。
「ニッド!立てますか」
「ああ、どこも折れてないから走れる…!」
ジェイドに答えたニッドは立ち上がる。ルークがもう一度ベヒモスを斬りつける。
「やったか!」
「とどめは刺してないかもしれませんが、今は十分です!行きますよ!」
「わかった」
出口のすぐ側まで走ってきた一行、ベヒモスはようやく撒いたようだ。
「ふぅ〜なんとか逃げ切れたな」
「ふぁ〜超やばかったぁ…」
ルークとアニスが息を整えている。
「ニッド…すみません…私を庇って…」
ナタリアが真っ先にニッドに駆け寄り、ヒールをかけてくれた。
「気にするな…大事な身なんだから怪我させるわけにはいかないだろ…。突き飛ばして悪かったな」
「いえ、そんな…助けてくれてありがとうございます」
「ほら、ニッド」
「ありがとう、ガイ」
『ニッド!ああ、無事で良かった…』
ガイからノルンを受け取り、彼の手に戻るとノルンは心の底から安堵した。
「ベヒモスはほとんど攻撃が効かないって話だったがルークの技は効いてたな」
「ルークの超振動が影響しているのかしら」
「ご主人様!すごいですの!」
ミュウが跳ねて喜んでいる。ルークは照れ臭そうに笑っていた。
「へ…へへ…まあな…」
「攻撃が効いたのは二回ですね。どちらの時もティアの譜歌が発動中でした。その辺りも考慮したほうがしたほうが良さそうですね」
「まあ、ベヒモスはやり過ごせたわけだし…ベルケンドへ向おう」
ニッドはノルンをかけ直して言った。ベルケンドは山沿いを西に進んだ場所にあるらしい、皆は街に向けて歩き始めた。
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