エピソード3 ルグニカ平野からベルケント
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26話 明かされた正体
イニスタ湿原にたどり着いたニッドたち。入り口で休憩するために足を止め、ナタリアは不安げな顔をしている。
「…アッシュは無事でしょうか…」
「大丈夫よ。彼にはキムラスカの人たちも味方してくれているわ」
ティアの言葉にナタリアは必死で兵士たちを抑えてくれた市民たちを思い出す。
「そうですわね。私のためにみんな…」
「感謝の気持ちはオールドラントを救うことで表せばいい。今この大地に危機が迫っていることを知っているのは俺たちだけだ」
「…ええ」
まだ心に偽者と呼ばれたことが引っかかっているのかナタリアの返事はどこか弱々しい。
「この湿原の先はどこへ繋がっているんだ?」
「確かベルケンドだよね」
「ああ、ベルケンドでアッシュと落ち合う約束をしたから。後から来るだろう」
ノルンとニッドはすでにアルビオール内で落ち合う場所を聞いていた。
「だが、ベルケンドはファブレ侯爵の領地だ。気は抜けないぞ」
「わかってる」
ガイに忠告され、ルークはしっかりと頷く。
ニッドは先ほどから物静かなノルンとミュウを少しだけ振り返る。
「ノルン?ミュウも…どうしたんだ?」
ミュウのかわいらしい眉は下がってしまって体は震えているようだ。
『…ここの湿原、なんだかいやな気配がするですの』
『ミュウの言う通り…嫌な気配がする』
「…そうですね。タチの悪い魔物に出会わないことを祈りましょう」
「タチの悪い魔物…」
ジェイドの言葉にニッドは嫌な予感を覚える。そして、一行はベルケンドを目指して歩き出す。
しばらく歩いたところでニッドが立ち止まって周りを見渡した。同時にジェイドとガイも立ち止まった。
「どうしたんだ?三人とも…」
ルークが不思議がって振り返る。
「ジェイドの言っていたタチの悪い魔物なんだが…」
「やはりただの噂ではないようですね」
「何か居るって言うのか?」
「かなり昔の話なんだが…この辺りで旅人を襲う魔物が居たらしい」
「退治しようと、何回も討伐隊が組まれたようですが、結局それはかなわず、その魔物が苦手だと言う花を植えることによって、湿原に閉じ込めたという話です」
「ただの迷信かと思ってたけど、さっきの花、見ただろ?どうやら…」
「マジ話ってことか…?」
ガイとジェイドの話を聞いたルークが青ざめる。
「え〜もう死んじゃったんじゃない?」
「だといいのですが…」
皆でそのタチの悪い魔物に出会わないことを祈りながらベルケンドを目指した。
*****
湿原を進む一行の前方から巨大な魔物が姿を現した。それに気づいてすぐに引き返した。
「じょ、冗談じゃねーよ!」
魔物を見たルークが驚愕する。
「あの魔物が…さっきの話の…?」
『ベヒモスだ。あれは相当強いぞ』
「あれと戦ってもこちらに利益はありません。それに今の私たちでは倒せないでしょう。戦いを避けて湿原を抜けるべきですね」
「どうして倒せないと言い切れますの?」
「単純な強さだけで倒せるなら過去の討伐隊が倒してしまってるってことだよ」
ノルンを担ぎ直したニッドが言った。
「そういうことです。ラフレスの花粉が苦手なことはわかっています。それを利用すれば湿原を抜けることが可能なはず」
「もし遭遇してもこいつを投げつけてやればいいんだな」
ニッドがラフレスの花を持つと花粉がついた、彼はそれを見て思いついた。
それからも一行はベヒモスに遭遇するたび逃げながら湿原を突き進む。ジェイドに先頭を頼み、ニッドは後方で作業しながら歩いている。
「ニッド、何してるんだよ。歩きながらだと、危ないぞ」
ルークが首を傾げながら手元を覗き込む。
「…まあ、後で分かるさ」
『ニッド、ナタリアが…』
ノルンに呼ばれて後ろを振り返るとナタリアが立ち止まって考え込んでいる。みんなもそれに気づき、足を止めた。ルークが声をかける。
「どうした?ナタリア」
「いえ…なんでもありませんわ」
「体調でもよくないの?」
ナタリアがティアの問いに答えようとした時ノルンが鋭い声を上げた。
『ベヒモス!』
ベヒモスは一行から少し離れているナタリア目掛けて突撃してくる。
「きゃあっ!」
「ニッド!ノルンの発射準備を!」
「はいはい!ティア、譜歌を!ルークはナタリアを頼む!」
「は、はい!」
「わかった!」
ジェイドに呼ばれたニッドはすぐさま、ベヒモスとナタリアの間に入り、ティアは譜歌で動きを鈍らせる。ルークはナタリアを安全圏へと移動させる。ニッドは先ほど詰めた弾を発射してベヒモスの顔面に命中させた。
「もう一発喰らえ!」
ニッドは念のために顔面に再び弾を命中させる。
「今のうちにここを離れよう!」
ルークの声に皆んなは錯乱してるベヒモスを確認して一斉にその場を後にした。
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