エピソード3 ルグニカ平野からベルケント
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25話 思わぬ助力
ダアトで皆と離されたニッドは両手を拘束されて本部の地下牢に押し込まれた。ノルンはディストに取り上げられてしまった、内部を解体されていたらと思うとノルンが心配で仕方がない。それにルークたちのこともある。
「戦争再開のため…バチカルでルークとナタリアを殺す気だな…こんなところで足止めを食らっていられない」
ニッドは周りを見渡して脱出の方法を考える。
*****
いくつもの船に密航し、ニッドレプリカを生み出したとされるヴァンという人物がいるらしいダアトにたどり着いた。街に入り、教会内に侵入できそうな経路を探す。今は夜だ、街も教会の外も静まり返っている。
「おい、死竜はどうしている?」
「今のところは大人しくいているらしい」
兵士たちが何やら話している。死竜とはオリジナルのことだろう、聞いたことがある…。
何があったかわからないがどうやらここに捕まっているらしい。
「捕まるなんてマヌケめ」
嫌味を込めて吐き捨てるように言った。すると頭上から丸まった紙が落ちてきた。見上げるとワイヨン鏡窟で会った少年が窓から顔を出して手招きしている。仕方なく木に登って窓から部屋に入る。
「なんでオレを中に入れた?侵入者だぞ」
「貴方は…悪人には見えませんから…」
「それはオリジナルと重ねているのか」
「違います。本当の悪人ならタルタロスで声をかけた時に僕のことを斬っていたでしょう」
それには言い返す言葉がなく、ニッドレプリカは黙り込んだ。
「それで…なんでオレを呼んだんだ?」
「…お願いがあります。僕の仲間が2人、ここに捕まっているんです」
「オリジナルなら助けないぞ。そうする理由がない」
「直接的でなくていいんです、ただ教会内で暴れてオラクル兵を引き付けてくれればそれで…」
「…断る」
「…貴方は生きる意味がないと言いましたね、世界や仲間に必要とされているなら良かった、と。僕もイオンのレプリカです」
「お前も…?」
驚いて目を見開く。
「今、貴方が必要なんです。どうかお願いします」
真っ直ぐにこちらを見つめてくるので戸惑う。確かに、オリジナルとその仲間を助ける理由はない。だが、このイオンという少年にはタルタロスに密航していたことを黙っていてくれた借りがある。
「…わかった。だが、今回限りだ」
そう答えるとイオンの顔がぱっと明るくなった。
「ありがとう…!」
無垢な笑顔を見ていられなくなって顔を逸らしてしまう。
「オレの仕事を無駄にするなよ、ちゃんと、友達を助け出せ」
「はい…!」
イオンの元気いっぱいの返事を背に部屋を出て行く。程なくして兵士たちが叫ぶ声と譜術が爆発する音が聞こえてきた。
イオンは自室を出、混乱に乗じてディストの部屋に入った。
作業台に無造作に置かれた譜銃剣に近づく。
『イオン…!』
「助けに来ましたよ、ノルン」
『ありがたい…!一人では動けなくてな。あの子は大丈夫だろうか…』
「地下牢に入れられてしまったようです。とにかくここを出ましょう」
イオンはノルンを抱えてディストの部屋を出る。
『しかし、この騒ぎはなんだ?』
「わかりません、侵入者のようですが…。でも、これでアッシュも入って来れます」
『アッシュが来るのか!?』
「僕ではニッドもルークたちも助けに行くことができませんから…」
『そうか、どちらにしてもありがたい』
礼拝堂の近くに行くとイオンの言う通りアッシュが来てくれていた。
「導師」
「アッシュ、ノルンをニッドに渡してください。彼はオラクル本部の地下牢にいます。それからルークたちのことを…」
『ワタシからも頼む!』
「わかっている」
アッシュはイオンからノルンを受け取り、ぶっきらぼうに返事をして、神託の盾本部に入って行った。
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