エピソード3 ルグニカ平野からベルケント
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20話 空を駆けろ!
急いでセントビナーへと向かった一行。街のマルクト軍基地へ入ると、マクガヴァン親子がこれからのことを話し合っていた。
「ですから父上!カイツールを突破された今、軍がこの街を離れるわけにはいかんのです!」
「しかし、民間人だけでも逃がさんと地盤沈下でアクゼリュスの二の舞じゃ!」
「皇帝陛下の命令がなければ動けません!」
「ピオニー皇帝の命令なら出たぜ!」
ルークの声に2人は入り口を見た。彼とともに現れたジェイドとニッドにグレン・マクガヴァンは驚いた。
「カーティス大佐!バーゼライド准将…!生きておられたか…!」
老マクガヴァンは冷静に聞いた。
「して、陛下はなんと?」
「民間人をエンゲーブ方面へ避難させるように、とのことです」
ニッドが答えた。
「しかし、それではこの街の守りが…」
渋るグレン・マクガヴァンにルークが声を上げる。
「何言ってるんだ。この辺、崩落が始まってるんだろ!」
「街道の途中で私の軍が民間人の輸送を引き受けます。駐留軍は民間人移送後、東へ進み東ルグニカ平野でノルドハイム将軍旗下へ加わってください」
「了解した。…セントビナーは放棄するということだな」
「よし。わしは街の皆にこの話を伝えてくる」
「手伝います!」
マクガヴァン親子に続きニッドたちも街の人たちの移動を手伝う。手分けして老人や子供を背負い、街の人を先導する。
そんな時、突然空から光線が降り注ぐ。ジェイドとティアが譜術で光線を防いだ。
「逃げなさい!」
ジェイドが声を上げる。走れる住民は急いで離れる。ニッドも両脇に子供を抱えてその場を離れた。振り向くと、男の子が取り残されている。
「!ルーク!その子を!」
一番近くにいたルークに叫ぶ。彼は頷き、男の子を抱えて逃げる。彼らの居た場所に巨大なロボットが乱暴に着地する。
あのロボットは…嫌な予感…。
「ハーッハッハッハッ。ようやく見つけたましたよ!」
「この笑い方は……やっぱりディストか」
がっくりと肩を落としてノルンを構える。
「何ですか、ニッド!今あからさまに嫌な顔をしてましたね!」
ディストががみがみ文句を言っている。
「この忙しい時に…。昔から貴方は空気が読めませんでしたよねぇ」
ジェイドが眼鏡を上げながら、心底嫌そうに言った。
「なんとでも言いなさい!それより導師イオンを渡していただきます」
「断ります。それよりそこをどきなさい」
ディストは眼下の住民たちを見渡す。
「へえ?こんな虫けら共を助けようと言うんですか?ネビリム先生のことは諦めたくせに」
「…お前はまだそんな馬鹿なことを!」
「さっさと音を上げた貴方にそんなこという資格はないっ!さあ、導師を渡しなさい!」
ニッドは彼を見上げる。
「…イオンは渡さない。ディスト、そこを退いてくれ!」
ニッドはノルンを構えて、戦闘態勢を取る。
「ムキー!貴方はまたそちらの味方をするんですか!ニッドを攻撃するのは本意ではありませんが、ジェイドをギッタギタにすれば貴方の目も覚めるでしょう!」
「今回は時間もないし、容赦しないよ」
ため息混じりに小さく呟き、向かってくるロボットに一発、発射する。ロボットにはダメージはないようでお返しにレーザーを発射してくる。回避しながらニッドは目の端で取り残されたセントビナーの住民を捉える。長期戦になれば、あの足場はディバディングラインを超えてしまう。そうなると彼らを救う時間がなくなる。
「長期戦に持ち込むわけにはいかない!一気にケリをつける!凍える彗星よ!イースカミエータ!」
凍らせて動きを鈍くする、ルークとガイがロボットの腕を攻撃し破壊する。
「流水…雪花!」
ニッドはジェイドのロックブレイクで一気に間合いを詰め、下に向けた譜銃剣を上に振り上げロボットを斬る。ロボットは火花を散らして爆発し、その衝撃でセントビナーの正門が壊れる。
「ああああ!私のかわいいカイザーディストRが!覚えてなさい!今度こそお前たちをギタギタにしてやりますから!」
いつもの捨て台詞を吐いてディストは飛んでいく。
「無駄だとは思うが、念のため追跡しろ」
「はっ」
ディストの逃げていく方を見ながらジェイドに命令されマルクト兵はそれを追っていった。
安心する間もなく地面が大きく揺れ、まだ取り残された住民がいるというのにセントビナーが崩落を始める。
「くそ!マクガヴァンさんたちが!」
「待って!ルーク!それなら私が飛び降りて譜歌を詠えば…」
焦る2人をジェイドが宥める。
「待ちなさい!まだ相当数の住民が取り残されています。貴方の譜歌で全員を護るのは難しい。確実な方法を考えましょう」
「わしらのことは気にするなー!それより街のみんなを頼むぞー!」
「くそ!どうすればいいんだ!」
「空を飛べたらいいのにね」
アニスが不意に放った一言でニッドが閃いた。
「空!浮力機関は発掘されてないのか?」
「それって、もしかして教団が発掘したっていう…浮力機関のことか?」
「は?なんだって?」
ガイとニッドの話にルークが首を傾げる。
「大昔の浮力機関だ、二千年前はそれを乗り物につけて空を飛んでたんだ」
「それなら、キムラスカと技術協力すると了承印を押しました。飛行実験は始まっているはずです」
ニッドの説明でイオンも思い出したように言った。
「それだ!飛行実験に使ってる奴を借りてこよう。急げばマクガヴァンさんたちを助けられるかもしれない」
「しかし間に合いますか。アクゼリュスとは状況が違うようですが、それでも…」
「魔界と外殻大地との間にあるディパディングラインという力場を超えなければ大丈夫だ。それを越えたら急激に落下速度が上がる」
「やれるだけやってみよう!何もしないよりはマシだろ!」
「そうですわね、できるだけのことは致しましょう」
ルークとナタリアが強く頷き合う。
「シェリダンはラーデシア大陸のバチカル側にありましたね」
「バチカル側なら…キムラスカ軍に捕まらないように気をつけないとな」
「よし、みんな急いでタルタロスへ戻ろう」
ガイの言葉に続いてみんなはタルタロスへ走り出した。
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