エピソード2 オアシスからグランコクマまで
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宮殿前で待機していたフリングス将軍に連れられ本日二回目の謁見の間に入る。そこにはノルドハイム将軍、ゼーゼマン参謀総長とピオニー陛下の姿があった。
「よう、あんたたちか。俺のジェイドとニッドを連れ回して帰しちゃくれなかったのは」
ルークたちを見たピオニー陛下は軽快な口調で開口一番そう言った。ルークは目が点になる。
「…は?」
「こいつら2人もそろって封印術なんて喰らいやがって。使えない奴らで困っただろう?」
「いや…そんなことは…」
戸惑うルークは何とか言葉を絞り出す。その様子を見たジェイドが皇帝を諌める。
「陛下、客人を戸惑わせてどうされますか」
「ハハ、違いねぇ。アホ話してても始まらんな、本題に入ろう。ジェイドたちから大方の話は聞いている」
皇帝陛下の口調が変わると同時にその場の空気も変わり、張り詰めた緊張感が漂う。
「このままだとセントビナーが魔界に崩落する可能性があります」
「かもしれんな。実際、セントビナーは地盤沈下を起こしている」
「では街の住民を避難させなければ!」
「そうしてやりたいのは山々なんだが、議会では渋る声が多くてな」
「何故ですの、陛下。自国の民が苦しでおられるのに…」
「キムラスカの圧力があるからですよ」
「キムラスカ・ランバルディア王国から声明があったのだ」
「王女ナタリアと第三王位継承者ルークを亡き者にせんとアクゼリュスごと消滅を謀ったマルクトに対し、遺憾の意を表し強く抗議する。そしてローレライとユリアの名の下に直ちに制裁加えるであろう、とな」
ユリアと聞いてニッドが微かに反応する。
「事実上の宣戦布告ですね」
「父は誤解しているのですわ!」
ナタリアが声を上げた。
「果たして誤解であろうか、ナタリア姫。我らはキムラスカが戦争の口実のためアクゼリュスを消滅させたと考えている」
「我が国はそんな卑劣な真似は致しません!」
ナタリアに続いてルークも頷いた。
「そうだぜ!それにアクゼリュスは…俺が…」
ニッドがルークを遮り、興奮気味のナタリアを宥め、ジェイドが続けて言った。
「ルーク、事情は皆知ってる。ナタリアも落ち着いて」
「本当にキムラスカが戦争のため、アクゼリュスを消滅させたのかはこの際重要ではないんです」
「そう、セントビナーの地盤沈下がキムラスカの仕業だと、議会が思い込んでいることが重要なんだ」
ピオニー陛下が頷く。
「住民の避難に差し向けた軍を、街ごと消滅させられるかも知れないと考えているんですね」
「そういうことだ。ジェイドの話を聞くまでキムラスカは超振動を発生させる譜業兵器を開発したと考えていた」
「少なくともアクゼリュス消滅はキムラスカの仕業じゃない。仮にそうだとしてもこのままならセントビナーは崩落する。それなら街の人を助けたほうがいいはずだろ!……あ、いや、いいはずです…。もしもどうしても軍が動かないなら俺たちに行かせて下さい!」
「私からもお願いします。それならマルクト軍も巻き込まれないはずですわ!」
必死になるナタリアとルークに、ピオニー陛下は少し目を見開いた。
「驚いたな、どうして敵国の王族に名を連ねるおまえさんたちが必死になる?」
「敵国ではありません!少なくとも庶民たちは当たり前のように行き来していますわ。それに民を救うのが王族に生まれたものの義務です」
ナタリアは強く凛とした口調で言い放った。
「…そちらは?ルーク殿?」
「俺は…この国にとって大罪人です。今回のことだって、俺のせいだ。俺にできることならなんでもしたい。皆を助けたいんです!」
ルークの心からの叫びを聞いたピオニー陛下は脇に控えている参謀総長を振り返る。
「と、言うことらしい。どうだ、ゼーゼマン。おまえの愛弟子ジェイドもセントビナーの一件に関してはこいつらを信じていいと言ってるぜ」
「陛下、こやつらとは失礼ですじゃよ」
「セントビナーの救出は私の部隊とルークたちで行い、北上してくるキムラスカ軍はノルドハイム将軍が牽制なさるのがよろしいと愚考しますが」
「小生意気を言いよって、まあよかろう。その方向で議会に働きかけておきましょうかな」
「恩に着るぜ、じーさん」
「じゃあセントビナーを見殺しには…」
「無論しないさ、とわいえ助けに行くのは貴公らだがな」
ピオニー陛下は玉座から立ち上がり、ルークたちの前に来る。
「…俺の大事な国民だ。救出に力を貸して欲しい。頼む」
「全力を尽くします」
「私もですわ」
「御意のままに」
ルークたちが答えるのに強く頷いたピオニー陛下は最後にジェイドとニッドを見た。
「俺はこれから議会を招集しなきゃならなん。後は任せた、ジェイド、ニッド」
2人は目だけで頷き、ピオニー陛下は謁見の間を出て行った。
「やれやれ、大仕事ですよ。一つの街の住民全員を避難させるのは」
ジェイドが肩をすくめて言った。
「どうすればいい?俺、何をしたらいいんだろ…」
ルークは俯いて呟く。
「陛下のお話にもありましたが、アクゼリュスの二の舞を恐れて軍が街に入るのを躊躇っています。まずは我々が街に入り、マクガヴァン元元帥にお力をお借りしましょう」
「じゃあ、そう決まったところで、ガイたちのところへ行ってみようか。カースロットの解呪が終わってるかもしれないし」
「そうだな。ガイのところへ行ってみよう」
余程心配なのかルークは早足で先謁見の間を出、駆けて行った。
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