エピソード2 オアシスからグランコクマまで
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グランコクマへ入るための手続きに多少の時間は取られたが、無事に街に入ることができた。そこから直行で皇帝陛下の元へ向かい、ようやく謁見する。
合間に伝書鳩で手紙を飛ばしたが、念のためにこれまでの経緯を全て説明する。
「…それで?ニッドヘルグのことがバレそうだってか?」
玉座に座ったピオニー皇帝陛下がニッドを視線に捉えてそう言った。
「やはりローレライ教団が抑えていたようです…」
『秘預言に記されていたようだ』
「もしローレライ教団のほうが公表すれば混乱を招きかねませんね」
ニッドたちの報告を聞いた皇帝陛下は難しい顔で考えている。
「うむ、そうか…他にこのことを知る者は?」
「導師は俺のことをご存知です。アクゼリュスでヴァンが呼んでいたのを近くで聞いていたので」
ニッドの後にノルンが続けた。
『導師イオンに相談はしてみよう、だが大詠師やヴァンが公表してくることもあるかもしれない。その時の対応を考えておくべきでしょう』
「わかった、今後の対応を協議しておこう」
ピオニー陛下は大きく頷いた。ニッドはジェイドのほうを見る。
「そろそろルークたちを迎えに行かなきゃじゃないか?」
「ええ、テオルの森で待たせたままですから。陛下、ルークたちの通行許可をいただいてもよろしいでしょうか」
「ああ、通ってもいいぞー。テオルの森まで迎えを寄こそう」
「ありがとうございます。街でルークたちと合流しよう」
陛下に一礼したニッドはジェイドに向き直る。
「そうですね、行きましょう。陛下、ルークたちと合流した後、再び伺います」
「わかった」
皇帝陛下にもう一度頭を下げて2人で街へ向かう。
「ニッド!」
宮殿の通路を歩いていると前から来た軍服の女性に呼ばれた。
「母さん!?なんでここに?」
義母に当たるヒエナ・バーゼライドはニッドとは逆に驚くこともなく2人の前に急いで歩いてきた。
「おや、バーゼライド教官ではありませんか。どうされたのです?」
「カーティス大佐もご一緒だったか。私は軍部に書類を届けに来ただけだ。それより、テオルの森の前で待っておいでる導師の一行が森に入ったようだ」
ニッドとジェイドは顔を見合わせる。バーゼライド教官は続けた。
「森で不審な人物が2人目撃され、うちの兵士が殺されていたらしい。それで彼らは森入ったと。それから、仲間の1人が倒れた」
「!誰!?」
ニッドが驚き食いついた。
「ガイという子よ」
目を見開いてニッドは後退りする。
「カースロットだ…ということは不審な人物はシンクか…」
「恐らくはそうでしょう。もう1人が誰かはこの際は考えなくてもいいです。彼らは今どうしていますか?」
眼鏡の位置を直してジェイドはヒエナに聞いた。
「宿に部屋を取っている、そこで導師と導師守護役がついて解呪しているところだ。他の仲間は落ち着くまで街を見て回っている」
「わかった…母さん、ありがとう」
義母に軽く手を振って急いで宮殿を出て行った。
街に出たところでニッドは立ち止まる。
「ニッド、今は解呪の途中です、行ってもどうにもならないでしょう。落ち着いてください」
「あぁ…そう…だな…」
「私は少し街の様子を見てきます。後で合流しましょう」
「でもそんな時間は…」
『ニッド。冷静にならないと大事な判断はできないぞ』
「……ジェイド、後で合流しよう」
ジェイドと互いに頷いてその場で分かれた。
公園にある噴水の前に立つ。ここはー第四音素を司るヴィースドラゴンーノルンがグランコクマで一番好きな場所だ。
今起こっている問題もこれからのことを、全て置いて頭の中を空にして、滝のように流れる水を眺めている。それだけで高ぶっていた気持ちも収まった。
「ニッド…」
後ろからルークが声をかけてきた。どうやら彼も落ち着いたようだ。
「話は聞いてる。ルーク、何があっても受け止めるしかない。そして信じるんだ」
「う、うん…ガイを、信じたい…」
ルークは力なく答えたが、心からそう願っていた。
『落ち着いたなら宮殿へ。皇帝にセントビナーの話をしなきゃならない』
「行こう!ルーク」
「ああ」
ルークとニッドは待っていた仲間と共に再び宮殿へ向かった。
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