エピソード2 オアシスからグランコクマまで
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魔物や神託の盾兵を倒して坑道の最奥へ到着する。突き当たりには道が出来ている。
「セフィロトの扉が開いている…?イオンが一緒なのか…!」
急いでセフィロトの内部に入る、道はずっと下まで伸びている。下を覗くとルークとイオン、それにヴァンの姿が見えた。
「ルーク!それ以上行くな!」
声は届いたのか足が一瞬止まる。だが、ヴァンに促されすぐに歩き出す。
「ええい、セフィロトはなんでこんな作りなんだなよっ!」
この急いでいる時に下まで続く長い道を降りるのは煩わしい。ニッドは苛立ちながら下へ向かう。
『このままでは間に合わないぞ!』
「わかってるってば!…凍てつく彗星よ!イースカミエータ!」
『何を……ま、まさか!譜術で降りる気か!』
「その通りさ!」
落下する彗星に飛び乗って下へ降りていく。
『まったく無茶をする…っ』
ノルンは息を吐く。ルークたちはパッセージリングの前に到着している。
「ヴァン!」
ニッドは彗星から飛び降り、ノルンを振り上げてヴァンに斬りかかる。
「ルーク!イオン様と下がっていなさい!」
ヴァンは剣を抜いて譜術を打ち消し、ノルンの刃を受け止める。
「ニッド⁉︎なんでヴァン師匠を襲うんだよ!」
上空から現れたニッドにルークは驚いている。
「ヴァン!止めろ、アクゼリュスが崩落する!そうしたら住民が死んでしまうだろ!」
「!…ニッドは崩落することを知っているのですか…!」
イオンが驚くが、その声は剣撃の音にかき消される。
「預言を詠んだユリアの弟とは思えない言葉だな!ニッドヘルグっ」
ヴァンはニッドを振り払い、ニッドは後ろへ後退する。
「今はその名で呼ぶな!ルーク、アッシュも言ってるだろ!超振動をパッセージリングに使うのを止めるんだ!」
「ルーク!惑わされるなっ。私を信じろ、超振動で瘴気は中和できる」
「わかった、師匠!」
ルークはパッセージリングの前に向き直る。
「止めろ!ルーク!!」
ニッドは自分の超振動でルークの超振動を掻き消す。一瞬の隙を見逃さず、ヴァンが剣を抜いた。
「邪魔をしないでいただきたい、ニッドヘルグ!光龍槍!」
「ぐっ…」
ルークの元に走ろうとしたニッドはヴァンに技を叩き込まれ、吹き飛ばされる。ルークの超振動が発動する。
「よし、そのまま集中しろ」
「本当に止めるんだ…皆死んでしまう…っ」
ノルンを地面に突き立てる、ダメージを受けてニッドは立ち上がる力がなかった。ルークの全身のフォンスロットが解放される。イオンもルークの放つ力によって吹き飛ばされて気を失った。
「さあ、“愚かなレプリカルーク”、力を解放するのだ」
ヴァンの口調が変わる。パッセージリングが光を失う、超振動によってアクゼリュスを支えていた柱が消えたのだ。
「くそっ…くそっ…!」
ニッドは悔しくて拳で地面を殴る。ルークは力尽きて座り込む。
「ようやく役に立ってくれたなレプリカ」
「せん…せい…?」
ニッドは理解した、この時のためにルーク生み出され、そしてこの後は…捨てられるのだと…。セフィロト全体が大きく揺れて崩れ始める。
「イオン!」
ニッドはなんとか立ち上がり、気を失ったイオンを担ぎ、次にルークの元に向かい、肩を貸していつのまにか気を失って倒れたルークを支える。
アッシュが一番に駆け込んでくる。
「くそっ、間に合わなかったか!」
惨状を見たアッシュが舌打ちする。
「アッシュ!何故ここに居る!来るなと言ったはずだ!」
「残念だったな。俺だけじゃない。あんたが助けようとした妹も連れてきてやったぜ!」
ヴァンは飼っている魔物を呼び寄せる。鳥の魔物にヴァンは飛び乗り、アッシュはくわえられて上空へ連れ去られる。
「離せ!俺もここで朽ちる!」
「イオンを救うつもりだっが仕方ない。お前を失うわけにはいかない」
後からティア、ジェイド、ガイとアニス、ナタリアもやって来る。
「ガイ!ルークを頼む」
「ああ…っ」
ガイにルークを預け、駆け寄ってきたジェイドにイオンを預ける。
「兄さん!やっぱり裏切ったのね!この外殻大地を存続させるって言っていたじゃない!これじゃ、アクゼリュスの人もタルタロスにいるオラクルもみんな死んでしまうわ!」
ティアはヴァンを見上げ悲痛そうに叫んだ。
「メシュティアリカ、お前にもわかるはずだ。この世界の愚かさと醜さが。それを見届けるためにも、生きてほしい。お前には譜歌がある…それで…」
「待て!ヴァン!どういうことだっ」
呼び止めたニッドをヴァンは見、そして言った。
「預言通りに生きることがどれだけ愚かなことか、貴方にはよく見ていてほしい」
それだけ言い残し魔物に乗って飛んでいってしまった。
「まずい!坑道が潰れます!」
ジェイドの声にニッドは我に返る。
「ティア!譜歌を頼む!皆集まって」
「は、はい!」
ティアが譜歌を歌い始め、皆はそばへ走って来る。光のバリアが広がっていくがどこか弱々しい。
「…っ」
「(ティア…ちょっと苦しそうだな…少しだけ手を貸そう…)」
小さな声で譜歌を口ずさむと光のバリアがすっぽりと皆を覆った。
やがて、ニッドたちが立っていた大地は赤黒い世界に落ちていき、どろどろの海の上に着地した。そばにはタルタロスも落ちてきていた。
ルークは目を覚ました。皆は生き残りを捜していたが、自分たち以外生きているものはなかった。
「止められなかった…何のために俺は居るんだっ」
吐き捨るように言ってニッドはどこまでも広がる泥の海を睨む。
「…う…ぅ…」
微かにうめき声が聞こえる。
「誰かいるわ!」
ティアが周りを見渡す。泥の海を捜すと板の上に親子が乗っている。
「あそこだ!」
ニッドが走ってくる。
『あれはエンゲーブから来た少年か!』
「怪我しているのか…!」
「父ちゃん…痛いよぅ…父ちゃ…」
「お待ちなさい!今助けます!」
飛び込もうとするナタリアをニッドが止める。
「ダメだ!この海は瘴気を含んでるんだ、入ったら助からないぞ!」
「では、あの子をどうしますの!」
「ここから治癒術をかけましょう!届くかもしれないわ!」
ティアが隣から言う。
「おい、まずいぞ!」
ガイに言われ、少年を見ると、乗っている板がゆっくり沈んでいく。
「いかん!」
「…せめて…まだ息のある…あの子だけでも!」
ニッドたちが助けようと走り出した途端に大地が大きく揺れ、皆がよろめく。子供は手を伸ばしてくる、ニッドもそれに応えようと手を伸ばすが届くはずはなく親子は泥の海に沈んで見えなくなった。
ガイは悔しさのあまり拳を大地に打ちつけ、ニッドは届くことのなかった手を見つめ拳を握りしめた。
「ここも壊れちゃうの!?」
アニスが不安な声を上げる。
「タルタロスへ行きましょう。緊急用の浮標が作動して泥の海でも持ちこたえています」
タルタロスへ移動し、泥の海を彷徨う。
艦橋を見ていたジェイドが戻ってくる。
「何とか動きそうですね」
「良かった。ティア、魔界には街とか…あるか?」
ニッドはティアのほうを振り向いて聞いた。
「そ、そうですね…ユリアシティは多分ここから西になります」
戸惑いながらもティアは答え、彼女の案内でタルタロスは西へ進路を向けた。
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