エピソード2 オアシスからグランコクマまで
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16話 赤と黒の世界
アクゼリュスに到着した一行は、想像以上に酷い惨状に絶句する。それでもナタリアは近くの怪我人に駆け寄る。
「お、おい。ナタリア、汚ねえからやめろよ。伝染るかも知れないぞ」
ルークの信じられない発言にナタリアは鋭い目線で言い放つ。
「…何が汚いの!何が伝染るの!馬鹿なこと仰らないで!」
ナタリアは治療を続ける。彼女に怒られたルークは助けを求めるかのようにニッドを見た。だが、ニッドもルークに厳しい視線で見返した。
「あんたたちキムラスカ側から来たのかい?」
体格のいい男が話しかけてきた。ニッドはルークからそちらへ視線を移した。ナタリアがこちらへ走ってくる。
「私はキムラスカの王女ナタリアです。ピオニー陛下から依頼を受けて皆を救出に来ました」
「ああ!グランツさんって人から話を聞いてます!自分はパイロープです、そこの坑道で現場監督をしてます、村長が倒れてるんで自分が代理で雑務を請け負ってるんでさぁ」
『やはり、ヴァンは先に来ているのだな』
ノルンの声が聞こえたのか、ジェイドがヴァンの居場所をパイロープに聞く。
「グランツ謡将と先遣隊は?」
「グランツさんなら坑道の奥でさあ。あっちで倒れてる仲間を助けてくださってます」
少し考え事をしていたニッドが顔を上げた。
「俺は先に奥へ行くよ…何となく…セフィロトが気になるから…」
「わかりました。この辺りの住民の様子を見てから追いかけます」
「わかった」
ジェイドの返事を聞いたニッドは走って坑道へ入っていった。瘴気が一番酷いとされる14番坑道を降りていくと、先遣隊と思わしき人に声をかけられた。
「アクゼリュス救援隊の方ですか!」
「そうだけど?」
「こちらに重傷者がいるんです!手伝っていただけませんか?」
本当はセフィロトに急いで行きたかったが、本来の任務は住民の救助である。
「わかった、手伝おう」
「案内します」
先遣隊の隊員に案内されたのは開けた場所だった。目の前の大きな鉄の塊を見てニッドは目を見開く。
「タルタロス!?まさか!」
『オラクル!罠だったか!』
神託の盾兵たちに取り囲まれる。
「くそ。先遣隊の中にスパイでも居たってのかよっ」
ニッドは舌打ちし、ノルンに手を伸ばす。
「モース様のご命令です!貴方はこちらへ!」
「モース?ヴァンじゃないのか!いや…そんなことは後だ、そこを退け!邪魔だ!」
ノルンを構えると、神託の盾兵たちも剣を構える。
「大人しくタルタロスに乗ってください!」
「断る!」
「では多少痛い目に遭ってもらいますよ!」
『ニッド!譜術士だ、避けろ!』
足元に譜陣が現れる。ニッドはバックステップで回避する。
「くっ、数が多い…急いでセフィロトに行かなきゃいけないのに…!」
「これはどういうこと!?」
ティアの叫び声が聞こえる。どうやら彼女もここに連れてこられたようだ。
『ニッド!あれを見ろ!』
ノルンが示した方を見る。神託の盾兵とも違う服を着た人間が数名倒れている。
「先遣隊!?殺されているのか!…ティア!」
「准将!?どうしてここに…」
神託の盾兵を蹴散らしてティアの元に走り、彼女を背に隠してノルンを構え直す。
「大丈夫か!」
「は、はい…第七譜石を確認するように言われてオラクル兵に案内されたのですが結局、あれは第七譜石ではありませんでしたが…その時にここに無理矢理連れてこられて…」
「なるほど。ティア、先遣隊が殺されていた。おそらくタルタロスを襲撃したオラクルの仕業だ」
神託の盾兵の剣を弾きながらニッドはティアに言った。
「先遣隊が!?」
『ティアをタルタロスへ連れて来たのはヴァンの命令ならやはり、ヴァンはアクゼリュスを…』
「おい!!こんなところで何をしてやがる!」
坑道の方からアッシュが現れた。
「アッシュ!?」
「どうして貴方がここに…?」
「遊んでる場合か!早くあの屑を止めねえと大変なことになるぞ!」
神託の盾兵を斬り倒しながらこちらへ向かってきた。
「ルークはどうしてる?」
「それが言うことを聞きやがらねえんだよっ」
苛立ちながらアッシュが答える。
「くそ、ヴァンめ!一体セフィロトで何を…いや、どうやってアクゼリュスを崩落させるつもりだ…」
アッシュとティアとともに神託の盾兵を倒しながらニッドは思考を巡らせる。
『セフィロト、パッセージリング……超振動』
ノルンの言葉にニッドはケセドニア行きの連絡船でヴァンとルークが話していたことを思い出す。しっかりと聞こえていたわけではないが、超振動という単語だけははっきりと覚えている。
「超振動…そうか!アッシュ、諦めないでルークに話しかけ続けろ!後、ティアを頼む!」
「お、おい!俺をダシに使う気か!」
「准将!どこへ行くんですか!」
「すまない!ジェイドたちと合流してくれ!」
2人の止める声にそれだけ言い残して坑道に戻っていった。
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