エピソード2 オアシスからグランコクマまで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
焼け付くような暑さと格闘しながら、更に東へ進むとザオ遺跡は見えてきた。
遺跡の入り口の日陰で休憩のために立ち止まる。
「この中か…」
「中は暗そうですわね…」
ルークとナタリアが遺跡の中を覗き込んで呟く。
「ぼくが火を噴くですの!」
「ずっと噴き続けるのか?無理無理」
ミュウがぴょんぴょんと跳ねて言うがルークはそんなミュウを一蹴した。
「風があるせいか周囲に陸艦の痕跡がありませんね」
「立ち去った後か。それともまだ居るのか…」
六神将がいるかもしれないという緊張感が漂い皆が息を飲む。
「とにかく!イオン様の手掛かりがあるかもなんだから、行きましょう!」
アニスが先に入っていく。
「アニス、一人で行ったら危ないよ」
ニッドが彼女を後を追って入っていき、他の仲間もそれに続いた。
遺跡の中は薄暗くひんやりしていた。長い階段を降りていくと、奥は道が迷路のように入り組んでいた。
通路に降りて、ニッドは足元を確認する。
「足跡がある…4人分か」
「六神将の可能性がありそうです、立ち去った後だと良かったのですが、足跡が4人分ですからその中にイオン様もいるかもしれませんね」
ジェイドがそう言うとアニスが電光石火の勢いで食いついて来た。
「はうあ!?ホントですか!早く行きましょうっ」
アニスは再び先頭切って歩いていく。それにルークたちも続き、ニッドも一歩を踏み出した。その瞬間…。
「!」
足元が崩れて下に落ちた。咄嗟に態勢を整えて上手く着地する。
「無事ですか?」
上からジェイドが覗いてくる。
「大丈夫だ」
上に向かって答える。
「ったく、罠に引っかかっるとか何やってんだよ」
「ルーク!」
奥からルークと彼を叱るティアの声が聞こえる。
「何かで吊り上げようか!?」
ガイもジェイドの隣から顔を出す。
「いや、俺は別の道を探して合流するから先に行ってくれ!」
「わかりました」
ジェイドの返事を聞いてニッドは下の通路を走っていく。
「ジェイド、大丈夫なのか?」
顔を上げたガイがそう聞いた。
「彼も軍人ですから、不測の事態にも対応できるはずです」
「…そうだな」
ガイたちは先に歩いていく。ジェイドはニッドが落ちた場所を振り返る。
「ニッドだけが落ちたということは…彼を狙った六神将の仕業か…」
そう呟き、再び歩き始めた。
「やっぱり罠だったか」
しばらく走った先で神託の盾兵が待ち伏せしていた。皆が通っても罠は発動しなかった、ということは神託の盾が自分を狙って張ったものだろう。
『厄介なことを…』
ノルンは倒した神託の盾兵を見て心底忌々しそうに呟く。
とにかく今はジェイドたちと合流することが先決だ。考えるのは後回しにして合流するために走り出した。
走り出したのはいいが、この広い遺跡…道に迷ってしまった。
「そう簡単にはいかないか…」
『無闇に歩き回って迷子なんてことにはならないだろうな』
「いやぁ…恐ろしいこと言わないで…」
ザオ遺跡は二千年前からある、だがニッドは本でしかその詳細を知らず実際に来るのは初めてだ。
『…待て…』
「…どうした?」
『音が聞こえる。これは…呼んでいる…?』
「ノルン、案内頼んだ」
ニッドはノルンの指示通りに通路を歩いていく。最奥まで行くと別の道から来たジェイドたちと合流することができた。
「ニッド!無事だったか!」
ガイが一番に声をかけてくれた。
「ああ、大丈夫だ。皆と合流できて良かったよ」
『音が止んだ…?…あの道の奥から気配を感じる、人の気配だ』
「じゃあ、イオンがいるかもしれないな。行こうぜ」
ルークは躊躇うことなく気配のあるほうへ歩いていく。
彼に続いて遺跡の奥へ行くと、不思議な扉がありその前にはアッシュとイオン、もう少し手前にはラルゴとシンクが控えていた。
「ザオ遺跡のセフィロトか…」
思考を巡らせようとしたニッドだが、ラルゴの一声により現実に引き戻される。
「導師イオンは儀式の真っ最中だ。大人しくしてもらおう」
「六神将…!」
ティアは警戒の声を上げ、ナタリアは怒りを含んだ言葉を放つ。
「なんです!おまえたちは!仕えるべき相手を拐かしておきながらふてぶてしい!」
「シンク!ラルゴ!イオン様を返して!」
アニスは前に出てきて懇願するように叫ぶ。だが、シンクはそれを跳ね除けるように言い返した。
「そうは行かない。奴にはまだ働いてもらう」
「なら力づくでも…!」
ルークは剣を抜き、他の皆も武器を抜いて構える。
「こいつは面白い。タルタロスでのへっぴり腰からどう成長したのか、見せてもらおうか」
「はん!ジェイドに負けて死にかけた奴が!でかい口叩くな」
「わははははっ、違いない!今回はそう簡単には負けぬぞ小僧…」
ラルゴの重みのある戦線布告により緊張感が増す。
「六神将烈風のシンク…本気で行くよ」
「同じく黒獅子ラルゴ。いざ、尋常に勝負!」
戦闘開始と同時にシンクの姿が消える。
「どこへ…」
『右!』
ノルンの声に背中から譜銃剣を抜いて銃身でシンクの蹴りを流す。
「あの程度の罠じゃアンタを止められなかったようだね!」
「…セフィロトで何をするつもりだ!」
「答える義理はないねっ」
次に繰り出された拳もニッドは体を反らして避ける。避けながらノルンの剣先を振り上げる。
「流水雪花!」
「くっ!」
シンクは身を翻して回避する。態勢を立て直すニッドにシンクはすぐさま間合いに入ってくる。
「隙だらけだよ……奥義!昴龍礫破!」
「…っ…!ノルン!」
奥義で吹き飛ばされ、宙を舞う。
着地した先でシンクは次の一手を繰り出す。
「…タービュランス!」
「…スプラッシュ!」
彼の譜術をニッドは別の譜術で打ち消す。一進一退の攻防が続く。
「アンタはなんで奴らと居るのさ?あの“ルーク”のこと知ってるんだろ」
『人の質問には答えないくせに自分の聞きたいことは質問するのか…』
「知ってたら何だって言うんだ。俺はあいつに賭ける、ただそれだけだ」
「アンタは教団に来るべきなのにさ!」
「教団が俺を何かに利用しようとしてるのは知ってる、けど好きにはさせない。俺は負けられないんだよ!…無幻氷帝!」
封印術が一つ解けるのを感じる。シンクを振り払い、ノルンを地面に立てる。
「…凍える彗星よ!降り注げ!イースカミエータ!」
彼方の宇宙より氷の粒が彗星のように降り注ぐ。
「しまった…動かない…!」
シンクはまともに食らい、体が半分凍る。
「ジェイド!」
「…狂乱せし地霊の宴よ!ロックブレイク!」
ジェイドは何も聞かず、ニッドの足元に発動させる。地面から飛び出す岩を利用してシンクに向かって刃を突き出す。
「『氷柱月華!』」
シンクを覆っていた氷が砕け、彼は完璧に吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。
「なんて威力だ…死竜…」
何とか絞り出した言葉はそれだけだった。
シンクが立てないことを確認したニッドはルークたちの応援に向かう。
「クラスターショット!」
自身に向かってくるニッドを確認したラルゴは大鎌を振い、銃弾を相殺する。
「瞬迅剣!」
「真空破斬!」
「ノクターナルライト!」
「獅子戦孔!」
3人の技がかき消される。
「荒れ狂う流れよ!スプラッシュ!」
「っ!」
ジェイドの譜術でダメージが入る。それでも倒れず、ラルゴは大鎌を振り上げる。
「紫光雷牙閃!」
ニッドは横に回避し、振り下ろした一瞬の隙を見て技をかける。
「氷結斬!」
「死竜はそう簡単にはいかぬか…!」
ラルゴはニッドの技を大鎌で受けるが、それでも全てを防ぎ切れなかった。
勝負は決した。ラルゴとシンクは片膝をついている。
「…くっ…」
「ぬぅ…」
そんな2人を見てニッドは一言放つ。
「言っただろ、俺は負けないってさ」
アッシュが声を荒げる。
「2人がかりで何やってんだ!屑!」
剣を抜き、アッシュは電光石火のごとく走り出す。それにルークが応える。そこからは同じ動き、同じ剣筋、同じ技。本当に鏡を見ているかのようにそっくりだ。
「今の…今のはヴァン師匠の技だ。どうしてお前が使えるんだ!」
「決まってるだろ!同じ流派だからだろ、ボケが!俺は…!」
「アッシュ!止めろ!」
アッシュの言葉をシンクは彼の肩を掴み、低い声で遮る。アッシュはそれを振り払い背を向ける。
シンクはルークたちに向き直る。
「取引だ。こちらは導師を引き渡す。その代わりここでの戦いを打ち切りたい」
「わかった、応じる」
ニッドは即答する。ガイが彼の隣に来る。
「お、おい…そんな簡単に言っていいのかよ。ここであいつらをぶっ潰せばいいだろ」
「ガイ、ここは砂漠の下だぞ」
「そうだ、このままアンタたちを生き埋めにすることだってできるんだよ」
「むろんこちらも巻き添えとなるが、我々はそれで問題ない」
「ここで戦闘続行して時間を食うわけにもいかないだろ。一刻も早くアクゼリュスに急がなきゃいけないから」
「確かに…そうだな…」
ガイは納得してくれたようだ。
ニッドは後ろを振り返る。
「陸路を進んでいる分遅れていますからね」
ジェイドはニッドに頷く。
「ルーク、ここは准将の言う通り取引に応じましょう」
「…ち、わかったよ」
ルークは勝手に決められてお怒りのようで舌打ちする。ゆっくり歩いてきたイオンにアニスが駆け寄ってくる。
「イオン様、心配しました」
「迷惑をかけてしまいましたね」
イオンは申し訳なさそうに言った。
「そのまま外に出ろ。もしも引き返してきたら、その時は本当に生き埋めにするよ」
シンクの警告を受け、一行は出口に向かう。ガイは振り返りシンクとイオンを見比べる。
「やっぱり似ている…」
「あのような下賎な輩に命令されるとは腹立しいですわ」
しかし、それ以上詮索はできず歩きながらぷりぷり怒るナタリアを宥める。
「え、ああ…そうだな。でもナタリア、こらえてくれよ」
「わかっていますわ。私は王女の身分を棄てて旅をしているんですもの」
ニッドも踵を返し、ノルンを背中に担いで後を追おうと歩き出す。
「本当に行くんだね?街が崩落すること、知ってるんでしょ」
「亡くすのは勿体ない存在だな」
「知ってるからこそ、俺が止めなきゃならないんだ」
振り返らずにシンクたちに答え、その場を離れた。
少し歩いているニッドの背のノルンは背後を見る。
『何か…見られている気がする…六神将じゃない別の何か…』
当のニッドは胸の辺りを抑えている。
「どうしたんだ?」
前を歩いていたガイがこちらを向く。
『いや…何でもない。すまないな、行こう』
ニッドはノルンを担ぎ直して皆の後を追った。
「ふぅー!やっぱり暑くても砂だらけで埃だらけでも外のほうがいい!」
ようやく遺跡から外へ出ると、アニスがうんと背伸びして言った。
「皆さん。ご迷惑をおかけましました。僕が油断したばかりに…」
イオンは申し訳なさそうに謝る。
「そうですよ、イオン様!ホント大変だったんですから!」
そう言うアニスだがイオンが戻って来て安心しているようだった。
「イオン、ここにもセフィロトがあるな?あいつらに何をさせられていたんだ?」
少し考え事をしていたニッドが口を開いた。
「は、はい。ローレライ教団ではダアト式封咒という封印を施しています。これは歴代導師にしか解呪できないのですが…彼らにそれを開けるようにと…」
「なんでセフィロトを護ってるんだ?」
ガイがそう聞くがイオンは教団の最高機密だからと答えることはできなかった。
「なんでもいいけどよ、とっとと街へ行こうぜ。干からびちまう」
ルークが声を上げた。それにティア、ミュウ、ナタリアが賛成する。皆が歩き出し、少し離れるとジェイドが声をかけてきた。
「セフィロトが引っかかっているのですか」
「あぁ…セフィロトを開けても何もない。あるのはパッセージリンクだけだ、あれで何をしようとしているんだ…」
「もう少し情報が欲しいところですね…」
「そうだな…」
曖昧に返事をしてニッドは再び灼熱の大地に足を踏み入れた。
.
