エピソード1 タタル渓谷からバチカル
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彼の者はセントビナーまでやって来た。宿屋に部屋を取り、今までの記憶を整理する。
最後に記憶に残っているのは海に廃棄される時、思い出しただけで怒りが込み上げてくる。生きたい、必要とされたい、そんなことではない。
「棄てるくらいなら…何故生み出した…っ」
しかし、自分を生み出した人物を彼は知らない。まずはそれを調べるところから始めなければ…。
「…」
不意にポケットに手を突っ込む。何かに指さきが当たり、取り出したのは石。海に棄てられ時に咄嗟に手に取ったものだろうか。
「これは手掛かりか…」
どこの石かはわからない。だが、そのあたりの石ころとは違う、綺麗な色をしてるので鉱石のようだ。
「…街の人間に聞けばわかるだろうか…」
ぼんやり呟き、窓から見える睨みつけた。
翌日街に出て、情報収集を始める。軍人に聞くのは気が引けるので、行商人に鉱石を見せて聞いてみることにした。
「この鉱石がある場所を知らないか?」
「ん?これは…ワイヨン鏡窟の鉱石じゃないか!」
「ワイヨン…鏡窟…?」
行商人は驚いて声を上げるが、彼は逆に顔をしかめる。
「西のラーデシア大陸にある洞窟さ」
「どうも…」
行商人に礼を言ってマップを見る。
「ラーデシア大陸…か。どうやって海を渡るかだ…いや、海の前に…」
そう…港へ行くには、国境を渡らなければいけない。
「旅券もない…どうしたものか」
悶々と考えつつ、国境の砦カイツール目指して歩き出した。
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